1月13日の上映会に続き、翌週の1月20日に「A.I.C.O. Incarnation」の第7話~第12話の舞台挨拶付き上映会が新宿ピカデリーにて行なわれた。上映会の後に行なわれた舞台挨拶の模様をレポートする。

上映会1の模様はこちら → https://online.stereosound.co.jp/_ct/17243616

人工生体の暴走事故の発生源へと迫るなか、次々に謎が解き明かされていく

(注)以下の文章の中には、物語のネタバレが含まれています

 「A.I.C.O. Incarnation」の前半では、人工生体の暴走事故の発生現場へ向かうまでが描かれたが、発生現場へと近づくにつれ、物語で提示されていた数々の謎が明かされていく。主人公の橘アイコが、暴走した人工生体の接近を察知できるのは何故か、人工生体が攻撃を受けると、アイコ自身の身体にも反応が現れる理由とは……。

 アイコにとっては謎の転校生であり、ダイバーたちにとっては正体不明のクライアントであった神崎雄哉についてもその正体が明らかになるほか、人類を脅かす大事件である人工生体の暴走の理由が解き明かされていく。さらに、人工生体も人型に近い新種が現れるなど、戦いも緊迫度を増し、アイコたちはついに事件の真相へとたどり着く。

 ますます迫力を増すバトルはもちろんだが、これまでの戦いで結束を深めたダイバーたちのリーダー、篠山大輔が戦死してしまう衝撃の展開もあり、明らかになる謎とともに、物語は緊迫の度合いを増していく。そして、橘アイコも暴走事故を沈静化するために重大な決断を強いられることになる。

 テンションの高いドラマがテンポよく展開していくこともあり、6話分を一気に観てしまった。筆者は昨年3月9日にNETFLIXで配信された時点で全話を観ていたため、謎解きの構造が実によく練られていることに改めて感心した。

「今回はしっかり“ウィルコー”を決めますよ」(小林裕介)

 上映後の舞台挨拶では、橘アイコ役の白石晴香、神崎雄哉役の小林裕介、ダイバーである相模芳彦役の古川慎、水瀬一樹役の村田太志、そして監督の村田和也の5人が登壇。最初の挨拶では、小林裕介さんが、ダイバーたちの使う“了解”を意味する作中のセリフである“ウィルコー”(“I will comply”の略)を観客の皆と決めようと呼びかけ、場内に“ウィルコー”の声が響き渡る。前回の上映で前振りをしていたため、前半と後半の両方に足を運んでいた人も多く、きれいに決まった。

舞台挨拶に登壇したメンバー。左から古川慎、小林裕介、白石晴香、村田太志、村田和也監督

 舞台挨拶ではまず、今回登壇の古川慎さんと村田太志さんが、自分の役について印象を語った。
 「ダイバーたちの兄貴分というか、戦闘のプロというイメージの強い役でした。シビアな発言もしますが、仲間を大事にする気持ちが表れたものですし、クライマックスではチームを引っ張るリーダー役を引き継ぐ姿が良かったです」(古川慎さん)

 「初登場時から“アイコちゃん大好き”で、何度となく死亡フラグを重ねながらも最後まで生き残れてよかったです。プロフェッショナル集団であるダイバーの中では、いかにもお坊ちゃんという感じで浮いていましたね」(村田太志さん)

 神崎雄哉を演じた小林裕介さんも二人の演じた役についてコメント。
 「自分の役柄としては、ダイバーたちと深く関わろうとしないキャラでしたから。仲間として気持ちが一つになれたのは最後の最後でしたね」(小林裕介さん)

 そんな小林さんについて古川さんは、アフレコ現場でも物語については何も語らず、冷たかったと暴露。実は、小林さんだけは、第1話のアフレコが始まる前に村田監督から、神崎雄哉の正体や物語の鍵となる数々の謎がすべて説明されていたという。もちろん、他のキャストには絶対秘密だ。

 「小林さんの役は物語の鍵なので、すべてを知った上で演じてもらいたかった。説明もスタジオではなく、二人きりになれる場所まで連れていって、秘密厳守の元で行ないました」(村田和也監督)

 「アフレコ現場で、この先の展開が気になって小林くんに聞いても、クールにかわされてしまって(笑)」(古川慎さん)

 「アフレコが進むほどに、うまく聞きだそうとしてくるんですよ。秘密にするのは大変でしたし、まわりに振り回される役を演じることが多いので逆にまわりを振り回したり、巻き込んでいくキャラを演じることはあまり経験がなかったので、プレッシャーはありましたね」(小林裕介さん)

 「一人だけ序盤から没入度が違うんだから、気になりますよ。村田監督が僕らには先の展開を秘密にしたことで、後半は緊迫感も増しましたし、良い手法だったと思います」(古川慎さん)

 数々の謎や衝撃の展開に驚きっぱなしのアフレコ現場だったようだ。そんな、生の感覚に近い驚きや怒りが交錯する様子も、じっくりと観直すとさらに魅力が増すはずだ。

 そして、主人公の橘アイコも終盤では難しい演技を求められた。詳しくは本編を見てほしいが、最大で5つの役柄を演じ分け、しかも異なる役(アイコ1とアイコ2)で語り合うようなシーンもあったのだ。
 「ふたりのアイコが出会うシーンの収録ですが、異なるアイコ同士の会話は別録りではなく、その場で演じ分けながら録音しました。かなり大変でしたが、キャラごとに演じ方を変えているので、そうした部分も改めてじっくりと観てください」(白石晴香さん)

「最後まで観た後で、第1話から観直すと新しい発見があります」(村田監督)

 最後は村田監督のアピール。「この作品は謎解き構造になっていて、すべての謎がわかった後で観直すと、いろいろな発見があります。NETFLIXでの配信に加えて、Blu-ray BOXも発売されますから、何度も観てほしい」。

 「僕はNETFLIXで5回は見ていますが、見方によって主人公が変わる作品だと思います。1回目は橘アイコが主人公ですが、2回目は神崎雄哉が主人公に感じたし、登場するダイバーたちひとりひとりの視点で観直すともっと面白くなるので、じっくりと味わってほしいです」(小林裕介さん)

 すでに紹介したように、豪華ブックレットの封入など、特典満載のBlu-ray Boxは1巻が2月26日、2巻が3月28日に発売される。2巻セットのBlu-ray Box Collector's Edition(初回限定版)も2月26日発売(バンダイナムコアーツ公式通販サイト・バンダイビジュアルクラブ(BVC)の専用商品)。

 また、NETFLIXでは現在も全12話を配信中で、会員ならば何度でも観放題だ。ぜひ、「A.I.C.O. Incarnation」の世界に何度もダイブして、監督の語る“発見”を楽しんでほしい。

『A.I.C.O. Incarnation』Blu-ray Box

Blu-ray Box特装限定版 第1巻
2月26日発売 18,000円(税別)

Blu-ray Box特装限定版 第2巻
3月28日発売 18,000円(税別)

BVC限定 Blu-ray Box Collector's Edition(初回限定生産)
2月26日発売 38,000円(税別)

(C) BONES/Project A.I.C.O.

公式サイト http://project-aico.com/