デジタルシネマや劇場音響設備のインスタレーションを手がけるジーベックスの展示会では、クリスティの新型RGBレーザー光源プロジェクターも注目を集めていた。

 クリスティは、劇場用デジタルシネマプロジェクターを多くラインナップしているが、最近はRGBレーザー光源プロジェクターに注力しているそうだ。

 2018年の段階で、デジタルシネマは世界中に約19万スクリーンあるという。そのうち光源にランプを使ったプロジェクターは17万5500スクリーンほどで、今でも主流になっている。その一方でレーザー光源プロジェクターは4000スクリーンほどながら、着実に数を増やしている。中でもRGBタイプの伸びが多いが、その理由のひとつに色域の広さがある。

新製品の上位モデル「CP4325-RGB」。1.38インチのシネマサイズ4K DMDパネルを搭載している

 劇場ではDCI P3という色域が使われることが多いが、クリスティのRGBレーザー光源機ではそれより広いREC2020の色域を広くカバーしているので、より自然な色を楽しめるわけだ。

 加えてコントラスト、集光特性が優れていて効率がいい点もポイントという。今回展示されていた「CP4325-RGB」では最高輝度は25000ルーメン、コントラストは最大6000:1をクリアーしている。

 なお「CP4325-RGB」は、1.38インチのシネマ用4K(水平4096×垂直2160画素)DLPチップを使った3板式で、4K/48pや2K/120pの上映が可能という(アップグレードにより4K/120p上映まで可能)。RGBレーザー光源も内蔵した一体型という点も人気の要因だろう。

同時展示されていた「CP2315-RGB」は、シネマサイズの2K(水平2048×垂直1080画素)DMDパネルを3枚使ったDLPプロジェクターとなる。最高輝度は13500ルーメンで、コントラスト比は3000:1

 今回のデモでは、秋葉原UDXシアターに4Kモデルの「CP4325-RGB」と2Kモデルの「CP2315-RGB」が設置され、大画面スクリーンに映画本編を上映していた。

 UDXシアターは一般的な映画館よりはスクリーンサイズが小さめ(横幅10m弱)だが、それでもひじょうに解像感の高い、クリアーな映像が再現された。引の風景のディテイル感はもとより、爆撃シーンの炎の色のグラデーションやくすんだ色の再現性など、まったく不満なく楽しめた(CP4325-RGBの印象)。

 デモ終了後、会場を訪れていた劇場関係者の多くが展示機の側に集まり、担当者に細かい仕様について質問をしていた。このデジタルシネマの映像を国内の映画館で楽しめる日も近いかもしれない。

その他の展示内容

一台のサーバーからネットワーク経由で複数のプロジェクターに映画を配信する「未来シネマ」のデモ。会場では3台のプロジェクターで別々の作品を上映しており、音量調整などもアプリで操作していた。シネコンの上映環境を大きく変えそうな提案だ

展示会場にはカスタムメイドの劇場用スピーカーも展示されていた。手がけたのは、StereoSound ONLINE読者にもお馴染のイースタン・サウンド・ファクトリーだ

シートのフレームにトランスデューサーを取り付けるだけで、作品に連動した振動を感じることができる「Vsound TD」も展示されていた。既存のシートがそのまま使えるので費用的なメリットも大きいという

ドルビージャパンは高出力2ウェイ同軸スピーカー「SLS 3-Axis Speaker MA460/480AS」を展示。ドルビーアトモスのトップ用としても使いやすいよう、3軸角度調整ができる金具が標準装備されている

JBLプロフェッショナルの劇場用システムも出展されていた。写真右の「9350」は、小さく見えるが、381mmウーファーを搭載した3ウェイのサラウンドスピーカーだ。左側のC221はよりよい音体験を可能にする新型ステージスピーカー