毎年、那須で開催されている「NASU SHORT FILM FESTIVAL」の、2018年度の短編映画賞「那須アワード」ノミネート作「量子の夏」が、今年1月19、20日に、東京は田端にある「シネマ・チュプキ・タバタ」にて上映されることが決まった。主演は、本作と同じ近藤勇一監督作「さよならキツネ姫」(那須アワード2014)にも主演した、山田あみだ。「鹿沼に行きたくなるショートフィルム」というテーマに沿って作られた本作の魅力を、山田にインタビューした。

――出演おめでうとうございます。
 ありがとうございます。前作「さよならキツネ姫」から、もう5年(2014年に取材)も経っているんですね。今日はよろしくお願いします。

――まずは、決まった時のことを教えてください。
 オファーをいただいた時にはまだ配役は決まっていなくて、本読みを重ねていく段階で、徐々に役が決まっていったという感じです。監督も結構迷っていたようで、ギリギリまで(役は)決まりませんでした。

――山田さんが主演の量子になった決め手は?
 特には聞いていないんですけど、AI役の中泉(日南子)さんが、よりAIに向いていたようで、それも決め手の一つになったのかなって思います。

――中泉さんへの現場でのアドバイスなどは?
 プライベートでも仲がよかったので、特に私が引っ張っていくというよりは、普段通りの自然体で、楽しく撮影したいと思って、二人して臨みました。ただ、現場では一緒に過ごす時間も多かったので、台本の読み合わせをしたり、セリフの言い回しについても、こうしたほうが言いやすいよねっていうことは、二人で考えました。

――さて、今回演じた量子は、実は一人二役的な人物ですね。
 そうなんです。白衣を着た科学者の量子は20代前半という設定で、監督から、(量子は)あまり他人と話さないし、ネクラな子だって聞いていたので、そういう風に演じました。一方、AIの世界に入り込む方の量子は、見ていただくと分かりますが、女子高校生なんです! なので、無邪気な感じで演じました。楽しかったです。

――本作は「鹿沼に行きたくなる……」というテーマに沿って作られています。
 はい、撮影ではいろいろなところに行かせて(撮影して)もらいました。メインの舞台となる学校は、映画など多くの作品にも使われているだけあって、校舎には趣きがありましたし、遊園地や商店街など、さまざまな場所で撮影できて楽しかったです。本当に素敵な場所でしたので、映像を通してその魅力をお伝えできたらいいなって思います。

――前作「さよなら~」は、那須が舞台でした。那須と鹿沼で印象に残っているのは?
 どちらも素敵な風景が楽しめるのはもちろん、那須では温泉のイメージが強く残っています。一方、今回の鹿沼は、映像にも映っている大きな橋が印象深いです。食のほうではニラが有名で、現地ではニラそばばっかり食べていました(笑)。

――ところで、本作では「鹿沼に行きたくなる……」気にさせないといけないのに、すごい展開になっていますね(笑)。
 そうなんですよ(笑)。SF作ということで、劇中ではAIとか仮想世界とか難しい言葉がいっぱい出てきて、初めて台本を読んだ時は、頭の中に???しかなかったです。読み合わせの時に監督にたくさん質問して、やっと理解できたぐらいなんです。

――前回の取材から5年、ご自身で成長したと感じる部分はありますか?
 昔は、考えるよりもまず行動っていう感じでしたけど、最近はふと踏み止まって、考えてから行動したり、発言するようになれたかなって思います。落ち着いて物事を考える習慣もできましたし、そうした面では、成長できたのかなって感じています。

――怒られた?
 いえいえそういうことではなく、二十歳になったことが大きいと思います。二十歳になったんだから、大人にならなくちゃ! っていうことですね(笑)。

――映画に話を戻しまして、印象に残っているシーンを教えてください。
 ネタばれにならないようにお話すると、後半にあることをするんです。それは初めてでしたし、その状況も普通ではあまり考えられないことなので、見どころというか、強く記憶に残っていますね。ぜひ、劇場でチェックしてほしいです。

――今月、東京で上映されます。
 上映会では、本作「量子の夏」と一緒に、4年前の「さよならきつね姫」も上映されます。4年前の高校生になりたての頃の私と、二十歳になった今の私を見比べていただけると思います。個人的には顔はあまり変わってないと思うんですけど、痩せたねって言ってもらうことも多いので、みなさんの目で変わったかどうか確認してみてください(笑)。あと、19日のイベントではゲストとして出席させていただきます。

――当時思っていた二十歳になれていますか?
 いえまったく! 当時は、二十歳ってもっと大人だと思っていたんですよ。まだまだ子供です。

――とは言え、二十歳になっているので、抱負をお願いします。
 10代のころは、青春を楽しもうって思いっきりはしゃいでいましたけど、二十歳になって、大人になるためにはもう少し落ち着かないといけない……とは思いつつ、まだまだはしゃぎたいなっていう気持ちは強いです。なので、両者をうまく使い分けられるようになりたいです。

 そうそう、初めてお酒を飲んだときは、不思議な感覚でしたけど、徐々に味を楽しめるようになって、最近はビールも飲めるようになりました。強くはありませんけど、打ち上げなどでは、おいしくいただいて、楽しい時間を過ごしています。

――では、今年の抱負をお願いします。
 2019年は、自分の人生の分岐点になる気がしているんです。なので、物事をちゃんと考えて行動できるようになりたいです。とにかくお仕事をたくさんしたいです。

――最後に、告知などがあれば。
 はい! 今月中旬から配信されるHONDAの除雪機のwebCMに出演させていただきました。北海道で撮影した映像をお楽しみに。

●上映会「ファンタジック・カヌマ 近藤勇一&水野博章 短編上映会」
会期:1月19日~20日
時間:19:00~20:45(予定)
会場:シネマ・チュプタ・タバタ
料金:1500円

1/19上映作(プログラムK)
・「田園の小さな恋」
・「さよならキツネ姫」(主演:山田あみ)
・「量子の夏」(主演:山田あみ 山田はゲストとして登壇)
・水野監督最新作も上映予定

1/20上映作(プログラムM)
・「咲夏~鹿沼フォトラリー~」
・「Re」
・「遥かに続く」(以上、鹿沼3部作)
・「量子の夏」

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