いよいよ明日(2018年12月1日)の午前10時から、新4K8K衛星放送がスタートします。StereoSound ONLINEでも放送内容や受信機器についての連載をお届けしていますが、皆さんもう視聴の準備はできましたか?

 今回は、地デジのように基幹放送が大きく入れ替わるわけではありませんが、さっき渋谷の家電量販店をのぞいてみたら、単体4Kチューナーを買うか4Kチューナー内蔵BDレコーダーを買うか店員に相談しているお父さんがいて、やっぱり気にしている人が多いんだなぁと実感した次第です(結局、単体4KチューナーとUSB HDDを購入した模様)。

 さて、もちろん4K放送も注目なんですが、StereoSound ONLINE読者の皆さんには、こと明日に限っては13時10分からの8K版『2001年宇宙の旅』を見逃して欲しくないですね。

 上のリポートで紹介した通り、8K/60p/SDRというフォーマットではありますが、あの情報量、精密さ、フィルムライクな映像は一見の価値ありです。NHKの各放送局や家電量販店ではきっとデモしているはずですので、時間を調整してぜひ体験してみて下さい。

 と、そんな8K版『2001年〜』について、試写を観た麻倉さんから推薦のメッセージをいただいています。これを読んだら、じっとしていられないはず。ぜひみんなで8K『2001年〜』で盛り上がりましょう!

NHKとワーナーの熱意がよくわかる映像に感動します …… 麻倉怜士

 今回の8K版『2001年宇宙の旅』は、NHKとワーナーのこの作品にかける熱意がよくわかる映像に仕上げっていました。

 先日地デジで放送されたメイキングでも紹介されていましたが、今回はなんとオリジナルネガから8Kスキャンを実施しています。さらにその補正を含めてマスター製作に2年近い時間をかけていたことにも驚きました。

 しかもキューブリック監督の意図を正確につかむために、オリジナルネガから上映用ポジフィルムを作成し、それとスキャンデータを見比べながら補正を進めたという点も素晴らしいですね。その時に、補正作業をしている部屋と試写室が離れていたので、毎回移動がたいへんだったというのもユニークです。

 この作品は、映画史の金字塔ともいうべき傑作ですから、徹底的に監督の意図、ディレクターズインテンションを重視して見せていくべきだという熱意が、そこからも伝わってきます。

 『2001年〜』はこれまでもLDやDVD、BDで繰り返し観てきましたが、今回の8K映像からはそれらがいったい何だったのかというくらいの情報性とメッセージ性が感じられました。

 8Kではヴェールが剥がれて、すさまじいディテイルが出てきます。それに比べると、BDであっても、ディテイルの再現、輪郭や色の出方やグラデーションなどで野暮ったい感じがしました。

『2001年宇宙の旅』(C)Turner Entertainment Company

 これもメイキング番組で紹介されていましが、アリエス1B型月シャトルの着陸シーンでは、月面基地内の作業員たちの様子まで再現されましたし、ディスカバリー号の壁面の汚れ方や、遠近感の違いもはっきりわかります。文字の視認性も格段に進化していて、無重力トイレの説明書きが読めるようになったのも驚きでした。

 作品としても、そういった細かい部分にまで気を配って作られていたということが改めてよくわかり、まさにディテイルに神が宿るという言葉を思い出しました。8Kではその熱意が画面全体から再現されるので、トータルで映し出されたときの監督のメッセージ、狙いが伝わってきます。

 それこそが8Kというフォーマットが持つ映像描写力であり、メッセージ性なのです。2Kや4Kとも違う、8Kならではのスペシャルな体験ができるのは間違いありません。NHKでは“8Kは体験”だとアピールしていますが、この作品を観ると、それがよくわかります。

 スクリーンの中の被写体を客観的に眺めていると言うよりも、自分がそこに引き込まれていく。特にスターゲートの光の輝き、彩度のクリアーさは秀逸です。ひじょうに早い色転換にも関わらず、ひとつひとつがしっかり見えて、吸い込まれるように、意識が中に入っていきます。

 8Kでは、ひとつひとつの粒子のサイズが2Kや4Kとはまったく違います。ということは、フィルムグレインも小さくなり、まさに70mmフォルムを観ているような印象にもなるのです。電子映像でありながら、フィルムのような綺麗な輪郭、さらに光のエネルギーまで体験できる。これは8Kならではだと感じました。

 いよいよ明日、BS 8Kでこの待望の作品が放送されるわけですが、さすがに自宅で8Kを楽しめる人はまだ少ないでしょう。でもなんとか機会を見つけて、ぜひ異次元の映像を体験していただきたいと思います。