JOHN CARPENTER'S HALLOWEEN - 4K UHD BLU-RAY with DOLBY VISION
It's a dark, autumn night. You're alone in the house, and the wind is playing all sorts of tricks on your mind. You hear a noise. Sitting bolt upright, you check for a presence. Nothing. And then, in the corner of your eye... SOMETHING!
Release Dates (Theater):October 25, 1978 (USA)
Domestic Total Gross:$47,000,000
(Foreign: N/A)
FILM
『ダーク・スター』『ジョン・カーペンターの要塞警察』で評価されながらTVムービーに活躍の場を移していた監督ジョン・カーペンターが、起死回生のホームランを打った傑作ホラー・サスペンス。15年前に実の姉を殺害し、精神病院に収容されていたマイケルが脱走した。故郷のハドンフィールドへと向かったマイケルは、ハロウィンの夜にふたたび無差別殺人を繰り広げる。基本的にはそれだけの話だが、贅肉を削いだシンプルな構成で世のシネフィルをあっと言わせてしまった。80年代に流行した殺人鬼ホラーの始祖であるばかりか、ローバジェット・ムービーながら快調なカーペンター演出によって関係者の予想を上回るヒットを記録。 続編は続々と作られているが(2018年版は全米興収1億5千万ドル超のメガヒット)、第1作の衝撃を上回る作品は皆無だ。
『ハロウィン』のもっとも凄いところは、マイケル少年の殺人から約1時間、殺人が起きないことだ。成人して精神病院から脱走したマイケル。彼がもたらすであろう恐怖。それを観客は理解しているが、登場人物たちはそれを知らない。殺人鬼はただ見つめているだけ。なにかとても酷いコトが起きるだろうと予感させるが、事態は急変しない。なだらかな坂をゆっくり上るような緊張感。こうした恐怖縛りの演出は今日ではほとんど見かけることがない。ここが凄いのだ。
出演は『大脱走』『ミクロの決死圏』『007は二度死ぬ』ほか、名バイプレイヤーとして名高いドナルド・プレザンス。そして本作の演技でニュー・スクリーミング・クイーンの称号に輝いたジェイミー・リー・カーティス。製作はカーペンターとの名コンビで知られるデブラ・ヒル(脚本もカーペンターと共同執筆/惜しくも2005年他界)。
VIDEO
撮影は『ロジャー・ラビット』(オスカー・ノミネート)『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(3部作)『ジュラシック・パーク』『アポロ13』のディーン・カンディ。35mm/パナビジョン・アナモフィック撮影。ライオンズゲートでは4Kデジタルレストア/製作35周年記念BLU-RAY(2013)をリリースしているが、UHD BLU-RAY化においては新たな4Kスキャン、カラーグレーディング、HDRグレーディングが施されており、カーペンターとカンディが監修、最終承認している。ドルビービジョンHDR採用。映像平均転送レート67.8Mbps(HDR10)+7.3 Mbps(ドルビービジョン=DV)を記録するハイレート盤となる。ちなみに2013年BLU-RAY版の映像平均転送レート36.2Mbps(SDR)。
予算の限られたロー・バジェット作品であり、今日ほどのフィルム感度を持たず(デジタル全盛となったが)、増感現像の痕跡、加えてアナモフィック・レンズの特徴(光学的な柔和感、周辺のフォーカスレス、画像歪み等)も視認できる。こうした映像キャラクターをまずは理解されたい。そのうえで本盤を鑑賞すれば、細部のディテイル、カメラやキャラクターの動作の確実性が改善されていることに気づくであろう。暗闇に潜む灰白色のマスクと、粘板岩のような濃い青灰色のオーバーオールを組み合わせたカーペンターのスキルに唸らせ、色褪せることのない脅威的な死の象徴を描き出している。深度描写も良好(お馴染みPOVショットも素敵)。
だが本盤における功績はHDRにあり、ナイトショットや暗い室内ショットを改善し、暗部情報を飽和させており、これまで以上に多くの映像情報を視認できよう。DVでは黒がより深く伸長、暗闇の中で微妙なニュアンスも引き上げられ、ハイライトにナチュラルな明部情報を加えている。マイケル少年の衣装や包丁に始まり、雷光、ランプ、ヘッドライト、日の出の暖かい陽光、明るさを残した曇天などなど、前半パートを観るだけでも映像トーンの改善は明快。カボチャのジャック・オ・ランタンは観どころのひとつ。カラフルなカラーパレットの作品ではないが、色域拡張の恩恵はクールな秋の外観、ナイトショットのクールブルーの色合いに表れる。肌質の描写に乱れはない、いくぶんクールトーンで描出されている。
AUDIO
サウンドデザインと音響編集監修は『ザ・フォッグ』『ジャズ・シンガー』『マネキン』のウィリアム・スティーヴンソン。前述の35周年記念版でリミックス7.1chマスターが制作されたが、残念ながら16ビット仕様で収録。UHD BLU-RAYでは24ビット仕様に改善された。音声平均転送レートは5Mbps(35周年記念版は3Mbps/いずれもドルビーTrueHD 7.1)。音楽はもちろんジョン・カーペンターが担当。ファンが待望するロスレス・オリジナル・モノーラル音声は未採用。ロッシー・モノラール音声もオリジナル・バージョンではなく、5.1chマスターからのモノーラル・ダウンミックスとなる(35周年記念版も同様/オリジナル・モノーラル音声は2014年シャウト・ファクトリーからリリースされた『ハロウィン』コンプリートBOXのみに収録される)。
24ビット仕様変更、平均転送レートのアップグレードの恩恵は随所で確認できる。同時録音素材を多用したダイアローグの再現は良好(一部不明瞭な箇所もある)。フロントステージ重視のシネソニックながら、サラウンドはホラー・サスペンスをアシスト。10月下旬の大気アンビエント、車中の雨音、轟く雷鳴も快調だ。最大の聴きどころはカーペンター作曲のミニマル・スコア。ピアノ、アナログ・シンセ、リズム・ボックスというシンプルすぎる構成ながら、ただならぬ緊張感の増減や変調を操演している。ブーミー感を伴うローエンドの響きも胸を震えさせ、サラウンドサポートのサジ加減も絶妙だ。ドルビーアトモスやDTS:Xといった最新立体ソニックは未採用だが、トップスピーカー設置環境にある方はアップミックス再生を楽しまれたい。前述のスコアや雷鳴などの効果音が、より緊迫感を高めてくれよう。
FINAL THOUGHTS
35周年記念BLU-RAY版は高品位な出来栄えではあったが、オリジナル映像トーンの再現はSDRでは限界があった。UHD BLU-RAYではHDR採用によって可能な限りの「映像補修」を行ったと捉えていただく方がよかろう。だがそのメンテネス精度は予想を遥かに上回るものである。公開から40年に及ぶ時の流れを、しばし忘れていただこう。
SPECIAL FEATURES AND TECHNICAL SPECS - BLU-RAY
- Audio Commentary with Writer/Director John Carpenter and Actor Jamie Lee Curtis
- "The Night She Came Home" Featurette
- "On Location: 25 Years Later" Featurette
- TV Version Footage
- Trailer
- TV Spots
- Radio Spots
SCREEN CAPTURES(1280 × 720 pix)
DISC SPECS
Title | JOHN CARPENTER'S HALLOWEEN |
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Released | Sep 25, 2018 (from Lionsgate Films) |
SRP | $22.99 |
Run Time | 1:31:35.865 (h:m:s.ms) |
Codec | HEVC / H.265 (Resolution: 4K / DOLBY VISION / HDR10 compatible) |
Aspect Ratio | 2.35:1 |
Audio Formats | English Dolby TrueHD 7.1 (48kHz/24bit), English Dolby Digital 1.0 |
Subtitles | English, Spanish |
FILM SPECS
タイトル | ハロウィン |
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年 | 1978 |
監督 | ジョン・カーペンター |
製作 | デブラ・ヒル |
製作総指揮 | アーウィン・ヤブランス, ムスタファ・アッカド |
脚本 | ジョン・カーペンター, デブラ・ヒル |
撮影 | ディーン・カンディ |
音楽 | ジョン・カーペンター |
出演 | ドナルド・プレザンス, ジェイミー・リー・カーティス, ナンシー・キーズ, チャールズ・サイファーズ, トニー・モラン, P・J・ソールズ, カイル・リチャーズ |
4K画質評価
解像感 | ★★★★★★★★☆☆8 |
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S/N感 | ★★★★★★★★☆☆8 |
HDR効果 | ★★★★★★★★☆☆8 |
色調 | ★★★★★★★★☆☆8 |
階調 | ★★★★★★★★☆☆8 |
音質評価
解像感 | ★★★★★★★★☆☆8 |
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S/N感 | ★★★★★★★★☆☆8 |
サラウンド効果 | ★★★★★★★★☆☆8 |
低音の迫力 | ★★★★★★★★☆☆8 |
SCORE
Film | ★★★★★★★★★★10 |
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Image | ★★★★★★★★☆☆8 |
Sound | ★★★★★★★★☆☆8 |
Overall | ★★★★★★★★★☆9 |