西田大輔 原作・脚本・監督の映画『ONLY SILVER FISH -WATER TANK OF MARY’S ROOM』が、11月24日より公開される。年初に上演された舞台版と同じ役者を起用し、物語の核となる部分は同じながら、異なる展開、異なる役柄を演じさせるという意欲作だ。映画版では“バレッタの女”として、各所でキーとなる芝居を見せた小槙まこにインタビューした。
――出演おめでとうございます。出演が決まった時のことを教えてください。
ありがとうございます。映画と舞台を同時に作ると聞いた時は、どうなるのか全く想像がつかなかったですね。しかも、話の核は同じでも、展開やキャラクターは違うので、難しそうというより、どんな仕上がりになるんだろうっていうワクワク感が強かったです。
――「魚」と「過去を振り返れる」という設定は同じでも、ほかは異なります。
観て下さる方には、舞台とはまた別の作品として楽しんでもらえると思います。
――役づくりというか、制作の流れはどんな感じだったのでしょう？
先に映画の撮影を始めて、その撮影の途中に舞台の稽古が始まった、という感じです。えっいま、どっちやってるんだっけ？ って結構こんがらがりました（笑）。
しかも、話の軸は同じでも、映画版は展開が入り組んでいるので、いまどうなっているんだっけ？ って、キャストみんなで話し合ったり、西田監督に相談したりしながら、撮影を進めていきました。
――今回、取材のために2回観て、ようやく各所に張り巡らされている伏線を回収できました。
そうなんですよ。1回目で？と思った部分も、2回観ることで、いろいろなことが分かってきて、より楽しめると思います。1月の舞台版をご覧になった方も、映画版では物語の展開や登場人物の造形はまったく違いますので、新たな作品として、体験していただけるはずです。
――ところで、小槙さんが演じる“バレッタの女”は、いつ命名されたんでしょう？
劇中には、みんなの名前を決めていくシーンがあるんですけど、私はいつの間にか決まっているし、劇中ではその名前で呼ばれないし、エンディングまで名前が分からないんです（笑）。しかも、バレッタ（髪飾り）はうなじのあたりに付いているので見えないし。最後の最後まで謎キャラなんです。
――そのバレッタの女はどのように作っていきましたか？
とにかく難しかったです。いろいろなところで問題？が起きるし、物語の後半に出てくる“アレ”とも関係してくるし……。なので、作り込むというか、台本を読んだ時の感情そのままで演じました。
――少し計算高い感じも受けました。
周囲の登場人物たちの感情を読んで、それに反応するようにしていたからなんです（コレ伏線です）。どんな状況においても冷静で、実は頭のいいキャラなんです。
――初めは、皆本麻帆さん演じるユキが怪しく見えました。
観て下さる方のいろいろな期待を、いい意味で裏切る作品なのかなって思います。西田監督の世界観が存分に詰まってますよね。
――撮影は順撮りなんですか？
シーンごとにまとめて撮ったので、みんなで指名し合うところはもう、いま何回目だったっけ？って、みんなで悩みながら撮影していました。
――ネタバレにならないように聞きます。後半で見せ場がありました。
自分で観ても、怖！って思いましたね。でも、無心での芝居はすっごく楽しかったです。これ以上は、ネタバレ……ですね。
――ところで、記憶に残っているシーンは？
中盤で、ユキと二人でいるところです。少しだけバラすと、お互いの表情を見ながら腹の探り合いをしているっぽい感じなんですよ。後に明らかになることを思うと、ゾクッとするはずです。ぜひ、2度観てほしいですし、2度目にはまったく違う印象を受けると思います。
とにかく、全部のシーンを、セリフを、見逃さず、聞き逃さないようにして、頭をフル回転させながら観てください。
――先日（取材の数日前）、誕生日を迎えられました。抱負をお願いします。
ありがとうございます。本作では、今までにない役を演じさせていただけて、すごく楽しかったし、芝居の幅も広がったのかなって思います。今後は、もっと多彩なキャラクターを演じられる女優になりたいです。
――ところで、ホームシアターには興味はありますか？
いいですね。自宅で、電気を消して、一人で、夜な夜な……飲むお酒はおいしいです。冗談はさておき、暗くして音楽を聴くのが好きなので、映画を観るシステムは自宅にほしいなって思います。
映画『ONLY SILVER FISH -WATER TANK OF MARY’S ROOM』
11月24日（土）よりシネリーブル池袋にて公開他、全国順次公開
＜キャスト＞
松田凌 皆本麻帆 玉城裕規 ほか
＜スタッフ＞
●原作・脚本・監督：西田大輔
●配給：ベストブレーン
（C）2018「ONLY SILVER FISH」
公式サイト https://www.mmj-pro.co.jp/onlysilverfish/
ヘアメイク：瀬戸口清香（S-SIZE）
衣装：瓢子ちあき
小槙まこプロフィール
1994年10月6日生まれ。主な出演作は、CM「NTT西日本」、「三井ダイレクト損保」、ドラマ「青春探偵ハルヤ」（読売テレビ）、「スミカスミレ～45歳若返った女～」（テレビ朝日）、「特命係長只野仁」（AbemaTVオリジナル）、舞台『浪漫活劇譚艶漢』（演出：ほさかよう）、『ポセイドンの牙』（演出：伊藤靖朗）、『青の祓魔師～島根イルミナティ篇』（演出：西田大輔）、映画『名前』（監督：戸田彬弘）、雑誌「るるぶ東京ベスト100」など。2018年12月の舞台『ジーザス・クライスト・レディオスター』でも、西田大輔演出作に出演
小槙まこ https://twitter.com/mako_komaki