高画質テレビの代名詞となった有機ELテレビ。パナソニックTH-55FZ1000は、その最先端を走る話題のモデルである。ラインナップにもうワンサイズ大きい65V型を擁するFZ1000シリーズだが、TH-55FZ1000は使い勝手のいいサイズ感と、緻密な映像表現力が魅力。さらに、仰角を付けたスタンドと一体化した独自のスピーカーシステムが品位の高いダイレクトなサウンドを耳元へと運ぶ。

 有機ELテレビの特徴は、画素のひとつひとつが自ら発光するためコントラストレンジが液晶テレビに比べてきわめて広いことである。階調性に優れた暗部の表現にも、そうしたパネルの特性が反映されている。そしてこの部分に絵づくりの妙味が隠されている。暗部における色再現の正確性こそ、大型テレビ用有機ELテレビの画質を決定づけていると言ってもいいだろう。

 読者の方々もご存知の通り、大型テレビ用の有機ELパネルのベンダーは一社である。パネルが同じということは、それだけ画質差が出にくい。だからこそパナソニックは3D-LUT(ルックアップテーブル)など高画質処理を行なう画質エンジン「ヘキサクロマドライブ プラス」により、輝度レンジに応じた映像の補正を行なってきた。FZ1000では暗部を中心に補正ポイントを、前作EZ1000シリーズ比1.6倍に高め、さらにはダイナミック3D-LUTの導入により、シーンの明るさに応じて補正量を動的に変化させるなど、パネルを徹底して使いこなすことに力を注いだのである。EZ1000シリーズでどの程度の補正点数が設けられていたのか詳細は不明だが、その能力が大幅に改善されていることは、再現される映像を観ればよくわかる。

本機の画質の注目点は色再現の向上。カラーマネジメント回路「ヘキサクロマドライブ プラス」を進化させ、心臓部である「ダイナミック 3D-LUT(ルックアップテーブル)」の暗部を中心に補正ポイントを従来の1.6倍に拡大。明るさの変化に応じた補正で階調表現力をさらに向上させている

 現行の有機ELパネルでは、RGBに加えてWの画素を持つ独特の構造が取り入れられているため、中間輝度から高輝度部にかけてノイズが出やすい。こうした部分にも彼らは独自のパネル制御や画質処理を施し、効果的にノイズを低減することで高画質化を促している。

 また映像再現力だけでなく、その映像に合わせた音質を獲得するため、フロント下部にサウンドバーを進化させたスラント式のバッフルを設け、ここに一新したスピーカー・ユニットを配置、80Wのアンプでドライブして大画面に相応しい音響パワーを獲得している。

リアリティを醸成するビエラ独自の4K映像とテクニクスサウンド

 最初にパナソニックが製作したデモ用の映像で画質をチェックしてみたが、暗部におけるグリーンの再現性に優れていることがすぐにわかった。ともすると褐色系が入り込む難しい色味を、苦も無く描き出す点に彼らの意地が見て取れる。黒側に引き込み過ぎず実に微妙なトーンで夜の森のシーンを描き出す。フェイストーンにも偏りがなくバンディングノイズも見当たらない。UHDブルーレイ『マリアンヌ』でも、暗部における色味の豊かさを確認することができた。序盤に登場する2台の車の汚れの違いもよくわかるし、独自の制御技術でパネルのポテンシャルを最大限に引き出したというピーク輝度がデイライトのシーンを明快に描き出す。

 UHDブルーレイ『トゥームレイダー ファースト・ミッション』で観る香港の水上生活者を描いたカットでは、その猥雑さから臭いが漂ってきそうだ。明るいシーンでもひとつひとつの色が際立つし、一転して夜間を航行する漁船と背景の海のコントラストもていねいに描き分ける。また、UHDブルーレイ『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』では、放送局のオンエアを示す赤いランプの中に浮かぶチャーチルの切迫した表情をはっきりと切り取って見せた。実際の4K放送を受信した映像ではないが、HLGの放送波に模したベルリン・フィルの演奏風景も、金管楽器のテクスチャーがきめ細かく再現されるし、照明に反射するバイオリンのニスの艶やかさがリアリティを醸成する。

 スピーカーのエンクロージャーを拡大して新設計ユニットを採用することで、低域にかけての量感をアップさせていることも進化した部分である。オーディオシステムと組み合わせれば、さらにこの画質が引き立つとも思うが、一体システムのサウンドとしては充分期待に応える内容である。

新設計「Tuned by Technics」スピーカーシステム。テクニクス技術者との協業で前モデル(EZ1000)に続く第2弾。FZ1000では前モデル比で、キャビネット容量1.4倍となり、ウーファーユニットは40mm×4基から70mm×2基構成に、パッシブラジエーター振動板面積1.5倍に増強され、低音の音圧感と会話の明瞭感がさらに向上した

 テクニクスでも使われるパーツの採用、また電源ラインのノイズを低減し、グランドを分けるといったオーディオ的な作り込みを行なった成果が、ローレベルの細やかな音の描き出しにはっきりと表れているし、映画ソフトにおけるダイアローグもニュアンス豊かに再現する。

 最後に、ウルトラアートレコードのCD『バルーション』で音楽だけを試聴してみた。ピアノの音色やギターのリフも表情が曇らずしっかりと前に出てくるあたり、テクニクスの技術陣とのコラボレーションが確かに息づいている。

 12月から始まる4K放送も楽しみだが、BDソフトからも素晴らしい映像を引き出してくれる実に懐の深い4K有機ELテレビである。

提供:パナソニック

4K OLED DISPLAY PANASONIC TH-55FZ1000 オープン価格
●画面サイズ:55型
●解像度:水平3840×垂直2160画素
●内蔵チューナー:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3
●音声実用最大出力:80W
●接続端子: HDMI入力4系統、色差コンポーネント入力1系統(3RCA、ビデオ入力兼用)、デジタル音声出力1系統(光)、USB タイプA 3系統、LAN 1系統、他
●寸法/質量:W1228×H785×D330mm/約29.0Kg(スタンド含)
●ラインナップ:TH-65FZ1000(65型)
http://viera.jp