フランスを代表するオーディオメーカー・フォーカルは、Kanta(カンタ)シリーズの新モデル「Kanta N1」を発表した。価格は¥740,000(ペア・税別)で、12月の発売予定だ。

 「Kanta」は、同社では「Utopia」(ユートピア)そして「Sopra」(ソプラ)に次ぐ、上から3番目にあたるシリーズで、主な技術は2015年発売の上位シリーズ「Sopra」で開発されたものがベースになっている。

 シリーズ名の由来となったのはイタリア語で“歌う”という意味のカンターレ(Cantare)で、頭文字が「K」になっているのは、製品の形がアルファベットのKに似ていることから来ているそうだ。今回発表になった「Kanta N1」は、今年3月に発表された同シリーズのトールボーイ型「Kanta N2」の弟にあたるモデルで、シリーズ唯一のブックシェルフ型だ。

Kanta N1

 搭載される27mm口径のトゥイーターは、本シリーズで開発されたIAL3(インフィニット・アコースティカル・ローディング3)と呼ばれる新型のもの。振動板にベリリウムを使い逆ドーム型とするのはお馴染みの手法だが、材質違いの3層構造で背圧のコントロールと吸音(消音)を行なっている点が新しい。ベリリウム素材は、アルミニウムの約13倍の剛性を持つとされ、応答速度に優れ、繊細で細やかな表現力を持つようだ。このユニットは同一のものが「Kanta N2」にも搭載されている。

トゥイーターはパンチングメタルの保護カバーが備え付けられている

IAL3トゥイーターの説明図。①〜③まで番号が振ってある箇所の素材がそれぞれに異なる

 16.5cm口径ウーファーの振動板には、フランス産の天然亜麻をグラスファイバーでサンドしたフラックス素材を採用。さらにエッジ部分には、厚みの異なる2本の円形リブで相違する共振を作り出して歪みを減少させる独自のサスペンション構造TMD(チューンド・マス・ダンパー)が搭載されている。これはSopraシリーズで新たに開発された技術だ。

 さらに、磁気回路の磁界乱れを抑えるショートリング・NIC(ニュートラル・インダクタンス・サーキット)の搭載もキーポイントにあげられる。この16.5cm口径ユニットは「Kanta N2」ではミッドレンジユニットに採用されていたものだ。

ウーファーユニットのエッジ部が段違いになっているのがお分かりいただけるだろうか

Kanta N1で使われるフラックス・サンドイッチ・コーンは左のミッドレンジと書かれたもの。右で説明されている厚みの異なるものは、Kanta N2のウーファー振動板で使われている

 エンクロージャーはフロントバッフルに高密度ポリマーを使用し、サイドとリアは合板の一体成型とすることで、剛性を高めているという。バスレフポートはリア側に配置され、ポート調整用のスポンジも付属する。専用スタンドは別売で、価格は¥160,000(ペア・税別)になっている。

入力端子はシングルワイヤリング仕様。上位モデル同様にケーブルを強いトルクで締められるようにウイング型の端子が搭載されている

専用スタンドに取り付けた状態。Kanta N1のカラリングはゴロワーズブルー・マットのほか、全8種類用意する

Kanta N1の主な仕様
●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:27mm逆ドーム型トゥイーター、165mmコーン型ウーファー
●クロスオーバー周波数:2.4kHz
●インピーダンス:8Ω
●再生周波数帯域:46Hz〜40kHz
●寸法/質量:W234×H422×D391mm/13kg(スタンド含まず)