2018年のヤマハ新製品が充実している。先に発表されたセパレート型AVセンターCX-A5200+MX-A5200に続き、プリアンプC-5000とパワーアンプM-5000、さらにはレコードプレーヤーGT-5000も登場し、HiFi(ハイファイ)オーディオも盤石のラインナップとなった。StereoSound ONLINEでは今回、それら新5000シリーズ開発陣へのインタビューを実施したので詳細をお伝えしたい。第一回で採り上げるのはC-5000+M-5000で、インタビュアーは山本浩司さんにお願いした。(編集部)

プリアンプ C-5000 ¥900,000(税別、写真上)
パワーアンプ M-5000 ¥900,000(税別、写真下) ※どちらも12月上旬発売

山本 今年のヤマハは元気がいいですね。AVセンターに続いてHiFiコンポでもフラッグシップを発表し、しかもどれも完成度が高い。まずは、今回の皆さんの担当業務を教えてください。

熊澤 こちらの荒巻がプリアンプのC-5000、隣の森井がパワーアンプM-5000の音決めを担当しました。私は企画としてそれを統括するという立場です。

山本 今のヤマハの製品開発体制はどうなっているのですか?

熊澤 われわれHiFiチームはスピーカー、アンプ、プレーヤーを開発しており、HiFi商品全般の商品企画、戦略担当である私と、それぞれの商品を担当しているメンバーが一体となって開発しています。

山本 熊澤さんがスピーカーからアンプまで最終的な音質をジャッジする立場ですか?

熊澤 音質の全体の方向性を決めるディレクター的な立場です。HiFi製品の企画という立場で考えると、今の国内オーディオメーカーで、入り口から出口まで通して手がけている会社はほとんど見当たりません。弊社にはせっかくそんな環境があるのだから、活かさない手はないだろうと考えています。

山本 その方向性を指し示すキャッチフレーズはありますか?

熊澤 「True Sound」という言葉を提唱していきたいと思っています。われわれがお客様に提供できる音楽体験として、音楽を聴くときの没入感、アーティストとリスナーの距離を無くし、表現の場にいるような感覚、そういう体験をヤマハのオーディオは提供していく、という意味を込めた言葉です。そのTrue Soundを象徴する製品が5000シリーズです。

インタビューに応じてくれた皆さん。左からヤマハ株式会社 音響事業本部 事業統括部 AV事業推進部 AV商品企画グループ 主事 熊澤進さん、音響事業本部 開発統括部 AV開発部 電気グループ 主事 荒巻英寿さん、音響事業本部 開発統括部 AV開発部 電気グループ 主事 森井太朗さん

ヤマハとして初めての開発体制が実現した

山本 さて、ヤマハは2006年に「HiFi復活」を宣言したわけですが、その時の製品というと?

熊澤 スピーカーのSoavo-1でした。エレクトロニクス機器は、翌2007年にA-S2000とCD-S2000を発売しました。

山本 スピーカーのNS-5000が発売されたのが2016年ですから、HiFi復活から10年が過ぎていたわけですね。そして今回、5000シリーズとしてプリアンプC-5000とパワーアンプM-5000、さらにアナログプレーヤーのGT-5000までラインナップされた。まずはプリ、パワーアンプの企画意図やコンセプトについて教えてください。

熊澤 総合楽器メーカーとしてのヤマハがHiFiコンポを手がける以上は、圧倒的な音楽表現、低域のメロディ感とリズム感の両立、キックバスの質感や箱鳴り感等が表現できなくてはならないと考えていました。

山本 楽器メーカーを母体とする会社のオーディオ表現というのは、他社にはないテーマです。

熊澤 われわれとしては、理想的な音楽再生、聴いていてハードウェアの存在が気にならなくなるような音を実現したいと思っていました。ヤマハとしてそんな音を再現するシステムを5000シリーズで揃えたいという点も、開発の大きなモチベーションになっていました。

山本 シリーズとしてはNS-5000が第一号機。その時からアンプやレコードプレーヤーまで揃えようという考えはあったのですか?

熊澤 4年ほど前からターンテーブルを構想していましたし、アンプについてもA-S3000の開発が終わったタイミングで、アンプを一体型からセパレートにしたら本当に狙った低域が出せるのかを、まず森井と検証を始めました。

森井 2016年末頃にA-S3000を2台入手し、それぞれをプリアンプ、パワーアンプとして改造しました。それで一体型と本当にどれくらい違うのかを調べてみたのです。

山本 まず、セパレート化する意味があるかを検証したんですね。

森井 小信号系と大電流系を分けて、お互いにどれくらい影響があるかを調べれば、次の展開が見えてくるだろうと思ったのです。その結果、A-S3000で出し切れなかった音が確かにあり、セパレート化すればそれを表現できると確信しました。

熊澤 僕個人としては、この時にヤマハとして初めてのことができるかもしれない、と考えました。

山本 初めて、というと?

熊澤 スピーカー・エンジニアとアンプ・エンジニアが同じ方向を向いて開発することです。これまでは、いい意味でも悪い意味でもそれぞれのこだわりがあって、同じゴール、同じ音を目指した開発はできていませんでした。

山本 なるほど、これはきわめて重要なポイントですね。でも、それぞれの製品には担当者がいて、開発を進めていますよね。そんな中でヤマハの音、True Soundとしての方向性の統一を計るのはたいへんだったのではないですか?

熊澤 まず目指すべき音があり、その中で各担当者が表現したい要素が入ってくれればいいと考えていました。私が大枠、目指すべきストーリーを決めて、あとは荒巻や森井の考えを入れていけばいいと。

森井 試作の重要なターニングポイントでは熊澤にも音を聴いてもらい、方向性が違っていないかを確認しながら開発を進めました。

プリアンプは電源と低インピーダンス化にこだわった

C-5000では角ノブスイッチの形状や質感まで厳しく吟味された

山本 ではここから具体的な製品についてうかがいます。荒巻さんはプリアンプC-5000を担当されたわけですね。今回C-5000で特徴的な技術を挙げるとすると、何でしょう?

荒巻 C-5000では「フローティング&バランスアンプ」回路という、これまでパワーアンプに採用していたヤマハオリジナルの回路を、初めてプリアンプに搭載しました。フローティングと呼ぶ以上は、電源を分離しないといけません。これを単純にやろうとするとトランスをいくつも準備しないとできないのですが、今回は単電源でも分離できる回路を実現した点が新しいと思います。

山本 それはトランスの二次巻き線から分けるのですか?

荒巻 トランスから電源を作りますが、回路で仮想的にフローティングするという方法です。具体的にはアンプの電源部を上下定電流回路で挟み込むと、電源を分離できます。このフローティングさせた電源を用いて完全対称のアンプを駆動するという発想です。C-5000では、フォノイコライザ、入力/出力ラインアンプとヘッドフォンアンプの合計4つに入っています。

山本 なるほど。

荒巻 フローティング&バランスアンプ回路はグランドから解放され、バランス信号HotとColdの信号のみで動作します。その結果、これまで表現したくてもできなかった、低域の質感の向上が可能になりました。

山本 確かにそれは音を聴いて感じました。ところで、この回路はずいぶん前からヤマハの特許だったそうですね。

荒巻 当社の技術者が、20年くらい前に雑誌の投稿をヒントに考え出したものです。A-S2000を開発するときに彼に相談したところ、こんな特許があるよというアドバイスをもらって、私が回路を起こしました。

山本 なるほど、ヤマハの歴史と伝統が生きていますね。その他にどんな点にこだわったのでしょうか?

荒巻 低インピーダンス化に注力しました。例えばC-5000では電源部にひじょうに太いケーブルを使っていますが、実際に流れる電流は100mAくらいしかありません。電気的にはコネクターで問題ないのですが、今回は太いケーブルをネジでがっちり固定しました。その結果はきちんと音に現れたと思います。

 さらに今回はすべてのネジを真鍮製に変更しました。すると、凄くヌケのいい音になったんです。実際の製造工程では、真鍮ネジはマグネットドライバーにくっつかないので扱いにくいのですが、今回は製造現場の皆さんに頭を下げてお願いしました(笑)。

森井 工場のスタッフにも製品の音を聴いてもらって、こういう素晴らしい機器を作っているから、頑張ってくださいと説明したのです。このような地道な取り組みをすることにより、現場でも誇りを持って仕事をすることが出来て、製品品質の向上へつながるのだと思います。

山本 基本的には低域の表情をいかに豊かにするか、ヌケをよくするかという目標があり、その方向性に沿って追い込んでいったわけですね。あと、ボリュウムも結構凝っているようですが。

荒巻 ボリュウム回路としては、A-S3000の頃から基本的には変わっていません。今回はそこに、新日本無線さんの音質に特化したICをカスタマイズしてもらって搭載しました。それにより色づけの少ない、とても素直な音のボリュウムが実現できたと思います。

山本 C-5000は90万円という高級プリアンプですから、ノブの手触りや感触も重要です。そのあたりはどんな工夫をされたのでしょうか。

荒巻 ボリュウム機構から社内で設計しなおし、遊びのない構造を作りました。まず、ボリュウムノブを留める位置を二ヵ所にしています。これにより、偏心がなく、真円で回るようになりました。さらにボリュウムはボールベアリングの回転でスムーズに動きます。

ヤマハ開発陣のこだわりに感心する山本さん

山本 なるほど、ヤマハらしいこだわりですね。もうひとつプリアンプとして注目すべきは、バランス対応フォノ入力だと思います。

荒巻 5000シリーズでは入り口から出口まで完全バランス伝送をコンセプトにしましたので、フォノ入力もバランス化することを目指しました。MC回路についてはトランジスターを複数並べてS/Nを上げるという手法を使い、カートリッジからの信号を極力殺さないように注力しました。

 MMのフォノイコライザーアンプにはフローティング&バランスアンプ技術を使い、グランドから解放することで、より正確な信号再現を目指しました。結果として低域のパワー感もあり、周波数特性の良好な音が実現できたと思っています。

山本 基板の「ブックマッチ・コンストラクション」は初めての採用ですね。この発想はどこから?

荒巻 これも、つい先日退職した社内エンジニアのアイデアです。他社製品でも同じ基板を2枚重ねてL/Rを分けているものはよく見かけますが、それだと部品の高さの関係で基板自体は2〜3cm離れてしまいます。

 C-5000ではできるだけL/R基板を離したくなかったので、基板をひっくり返して背中あわせにすればいいだろうと考えたのです。ただ実際に試作して音を聴いてみたら、音像がずれてしまい、ヴォーカルの定位が不安定になってしまいました。ここはかなり悩みました。

山本 しかし製品版ではきちんと改善されていました。そのポイントはどこにあったのでしょう?

荒巻 基板をシャーシに固定していますが、その止め方が上側と下側で差があったのです。リアパネル側は同じ条件でしたが、フロント側が違っていた。そこで、フロント側にアルミのスタビライザーブロックを入れて、ネジでふたつの基板を貫通させて止めるようにしました。すると音像が揃って、奥行感も出てくるようになりました。

山本 基板が揺れないように、アナログ的に安定させることで音がよくなったと。スタビライザーブロックはアルミがよかった?

荒巻 プリアンプは繊細で、ゴムダンパーを使うととたんに響きが死んでしまうんです。そこで今回はアルミをしっかり作り込んで支えたところ、楽器やヴォーカルの位置を正確に表現できるようになりました。

山本 パーツはすべて表面実装ですか?

荒巻 いえ、コンデンサーはリードタイプを使っています。表面実装タイプのコンデンサーだと選択肢が限られてしまいますが、われわれとしてはこれまで経験から音のいい部品がわかっていますので、そこから選びました。

 あとは電源用のヒートシンクも1本のアルミのバーにしました。フロントパネルと同じ9mm厚のブロックを作り、それを取り付けることで基板の強度を上げています。

山本 音楽信号は基板のパターンを通るわけですが、そこには何か工夫がありますか?

荒巻 コネクター接続による音質劣化を考え、入り口から出口まで信号が1枚の基板上で完結するようにしました。基板は4層基板とし、パターンの箔厚も通常は35ミクロンのところを、60ミクロンに変えています。これも低インピーダンス化に効果的でした。

低域の表現力を上げるため、アナログ的な強化も施す

M-5000のイルミネーションはオン/オフも可能

山本 続いてM-5000についてお聞きします。基本的な音の狙いは決まっているとして、それをパワーアンプとしてどうまとめていくかがポイントだったと思いますが、森井さんが一番こだわった点はどこだったのでしょう?

森井 低域の表現力に注意しました。私はA-S3000からHiFiチームに参加して、A-S2100やA-S1100を担当しましたが、
その時から低域の表現力向上に取り組んでおり、その時に得た知見を今回の開発にも活かすことが出来ました。

山本 電源周りも真鍮ネジでしっかり留めていくといったことをしているわけですが、そういった細かい配慮が効いてくるんですね。

森井 もともと大電流が流れる部分に非磁性体を使うというアイデアはあったのですが、それを徹底してやり尽くしました。

山本 電源は、こちらもフローティング&バランスアンプ回路ですね。

森井 M-5000では、パワーを上げるために出力素子をパラレルで使っている点が新しくなっています。出力素子にFETをパラレル使いすると、アイドリング電流調整が難しいのですが、今回は細かく調整して仕上げています。

山本 それは、アイドリング電流のかけ方が難しいという意味ですか?

熊澤 素子にばらつきがあるので、増幅率が変わってしまうんです。

荒巻 パラレルで使った場合に、同じアイドリング電流でも、片方は電流が流れるのに、もう片方は止まったままという状態もあります。それを均等になるように調整する必要があるのです。

森井 素子のスペックの許容値が広いので、単純に取り付けただけではきちんとした製品にはなりません。その調整には苦労しました。

山本 出力素子の数を2パラよりも増やして、もっとパワーを上げていくという発想もあったと思いますが?

森井 セパレートパワーアンプとしては低インピーダンスのスピーカーも鳴らさなくてはいけませんから、シングル駆動では物足りないという意見はありました。しかしパラレル駆動なら大型スピーカーでも充分鳴らせますし、出力素子を3パラ/4パラとパラレル数を増やしていくと製品毎のバラつき要因が大きくなってきます。バラつきを抑えた上で低インピーダンスを両立するために、今回はパラレル駆動を選択しました。

山本 先ほど話にあった、ばらつきの調整は全セットで行なっているんですね。

森井 はい、現場ではユニットに組んだ後、風よけプロテクターに収めて、その中で調整しています。一台を調整するのに10分以上かかっています。

山本 内部配線材にPC Triple-Cを使っているのも5000シリーズ共通のコンセプトですが、PC Triple-Cを選んだ理由は何だったのでしょう?

森井 音がナチュラルで、情報量が多いという点が一番の特長だと思います。音楽性がしっかり出るという意味で、5000シリーズのコンセプトにもあっていました。

山本 電源トランスも大型ですが、容量はどれくらいですか?

森井 1200VAです。さらに一次側と二次側のどちらの巻き線を太くするかなども試聴して決めていきました。

今回の取材はヤマハミュージックジャパンの試聴室で行なった。プリアンプのC-5000+パワーアンプM-5000に、スピーカーがNS-5000というシステムだ。ソース機器はレコードプレーヤーのGT-5000とSACD/CDプレーヤーのCD-S3000を使っている

山本 機械的、熱的な均衡なども重要になってくると思いますが、そのあたりで注意されたことはありますか?

森井 機構的にはメカニカル・グランド・コンセプトの採用でしょうか。トランスの真ん中にボルトが入っていますが、そのボルトが下まで突き出ていて、シャーシにがっちり留めています。震動源であるトランスとシャーシを一体化させて、そのシャーシからレッグ(脚)が生えていて地面にしっかり設置する、という構造です。

山本 レッグも新設計ですね。

森井 はい、今回は7〜8種類試作しました。

荒巻 もともとはA-S3000で使っていたレッグの構造で、試しに真鍮製も作ってみたのです。

森井 すると音はよかったのですが、真鍮なのでA-S3000のようにスパイクカバーをマグネットで付けることが出来なくなりました。そのままではユーザーさんのラックを傷つけてしまうかも知れません。

荒巻 そこで何か解決策がないかと考えて、初めはネジでキャップを固定したのです。しかし音がよくなかった。そこでキャップの止め方を色々試した結果、レッグのベースになる部分の厚みが重要であることが分かりました。

 ベース部の肉を削ると、変な響きが付き、しっかりした低音が出なかったのです。最終的にベース部の肉を残し、キャップをふたの様にねじ込む構造にしたところ、無垢材よりもいいんじゃないかというくらいの音になりました。

山本 スピーカーターミナルはNS-5000と同じですか?

森井 はい。ただしターミナルの下にあるプレートは3mm厚の真鍮製です。これも鉄とアルミ、真鍮で比較して、真鍮が一番よかったので選んでいます。

5000シリーズへの熱い想いを語る開発陣の皆さん

5000シリーズの音で、グルーヴして欲しい

山本 さて、今日は5000シリーズを聴かせていただき、ひじょうにパワフルで、それでいて繊細な表現力をもった音に仕上がっていると実感させられました。では最後に皆さんから、読者の方々に新製品に対する思いをアピールしてください。

森井 いい音って、集中して聴くとひとつひとつの要素、ヴォーカルやドラム、ベースなどが分離よく鳴っているのに、全体としてはきちんと楽曲を形作っていますよね。つまりひとつの音情報を深くも楽しめるし、リラックスして全体を聴けるようにもなる。今回のM-5000は、そんな音楽性がしっかり表現できるように突き詰めていけたと思っています。

山本 どんなスピーカーでも来いと。

森井 実際にドイツのウェブ媒体の取材で、10本くらいの海外製スピーカーと組み合わせてみたのですが、どれもよく鳴りました。それぞれのスピーカーのキャラクターもしっかり再現できていたと思います。

荒巻 抽象的になってしまいますが、音楽を聴いているときに感じることは人によって違うと思います。私は音楽の消え際の美しさや、ヴォーカルの生々しい表情が聴き取れたときに背筋がぞわっとすることがあります。そんな感じを自分が手がけた製品で再現したいと思っていました。

 今回のC-5000はそれがちゃんと表現できていると思っていますので、ぜひユーザーさんにも楽しんでいただきたいですね。そうすれば90万円という価格も、お買い得に感じていただけるんじゃないかと(笑)。

熊澤 この音を聴いて、グルーヴして欲しいと思っています。分析的な要素としては低域の再現性などももちろん大切ですが、実際のライブ会場でそんな事を考えてはいないでしょう。心からコンサートやライブを楽しんだ後は言葉はいらない、5000シリーズではそんな音を感じて欲しいと、心から思っています。

C-5000とM-5000が、NS-5000の新たな一面を聴かせた。
あらゆる音楽にしなやかに対応する、素晴らしいアンプだ …… 山本浩司

 30cmウーファー搭載機のNS-5000をこれまで様々なアンプで鳴らしてみたが、いまひとつピンとこないことが多かった。NS-5000の実力はこんなものじゃないはず……というモヤモヤが、今回C-5000+M-5000で鳴らしてみて一気に晴れた思いがした。

 C-5000+M-5000で駆動したNS-5000の音は情報量がきわめて多く、これまで聴き取れていなかった演奏の細かなニュアンスがふっと浮き上がってくるのである。弱音部のかそけき衣擦れの音も精妙に描写し、その写実力の高さに息をのんだ。

 称揚したいこのペアのもうひとつの美点が、低音の解像感の高さだ。充分な量感を維持しながら、再生の難しいキックドラムとベースの鮮やかなコンビネーションをくっきりと浮かび上がらせ、あらゆる音楽にしなやかに対応できるすばらしいセパレートアンプであると確信した次第。

 今度はぜひ世評の高い内外の高級スピーカーとの鳴き合わせを実践してみたい。