映画評論家 久保田明さんが注目する、きらりと光る名作を毎月、公開に合わせてタイムリーに紹介する映画コラム【コレミヨ映画館】の第15回をお送りします。今回取り上げるのは『search/サーチ』。現代生活にもはや不可欠になったデバイス上で起こる事件を、POVの手法を駆使して描いた必見作。とくとご賞味ください。(Stereo Sound ONLINE 編集部)

【PICK UP MOVIE】
『search/サーチ』
10月26日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー 

 モキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)の『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』。怪獣映画の『クローバーフィールド/HAKAISHA』。感染者ホラーの『REC/レック』やM・ナイト・シャマラン監督が挑んだサスペンス『ヴィジット』など、近年流行りのPOV(ポイント・オブ・ビュー=主観映像)映画。

 画面が揺れるほどの大パニック! なのにキミはなぜカメラを構えつづけているのだ? と突っ込みたくなるときもあるけれど、FPSゲームと掛け合わせた完全一人称視点の爆裂バイオレンス映画『ハードコア』(2016年)など拾い物も少なくない。

 その新形態として届けられたのがコレ。全篇が(本当に)PC画面上だけで展開するサスペンス映画『search/サーチ』だ。

 深夜、就寝中で娘からの着信に気がつかなかった父親のデヴィッド。その夜を境に、高校生の娘マーゴットは消息不明になってしまう。警察に捜索願を出し、娘の友人たちに連絡を取るデヴィッドだが、行方はようとして知れない。やがて事件はTVニュースに乗り、ネットにはいくつものスレッドが立つ。親の責任を巡って炎上もする。――自分は娘の何を知っていたのか。彼女はどこへ消えたのか。

 ツイッターやフェイスブック、ビデオ通話アプリのフェイスタイム。スタッフが“スクリーンライフ”と呼ぶ1日の大半をデバイスの前で過ごす現代人の生活を利用して、新しい手法で犯罪ミステリーが語られてゆく。

 警察が観客よりもお馬鹿さん(かも)という少しのキズはあるけれど、POV映画の新展開としては合格点だ。演出は、ジョージ・ルーカスやロン・ハワードも通った南カリフォルニア大学(USC)映画学科出身のインド系アメリカ人、アニーシュ・チャガンティで、これが劇場映画第一作。リブート版『スター・トレック』の航宙士ヒカル・スールー役で知られるジョン・チョーが父親を演じて、冷や汗&脂汗を流している。

『search/サーチ』

10月26日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー 
監督:アニーシュ・チャガンティ
原題:SEARCHING
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
2018年/アメリカ/1時間42分/ビスタサイズ
公式サイト http://www.search-movie.jp/

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