19日(金)まで開催されている「CEATEC JAPAN 2018」。その展示の中からオーディオビジュアルファン向のデモを紹介するリポート第二弾をお届けする。今回は第一弾に続いてシャープブースのその他の展示について。

 先に紹介した通り、シャープブースでは8Kチューナー内蔵テレビや単体チューナー、録画用HDDなどが展示されていた。しかしこれらはすべて12月1日から始まる4K8K放送に向けた内容だ。

▲8K IP配信のデモは、チューナーレスモデルで行なわれていた

 しかし8Kコンテンツは放送に限ったものではない。その一例としてシャープでは、自社クラウドを使った8K IP配信をデモしていた。具体的にはシャープが設置したサーバーに8Kコンテンツを保存しておき、それをクラウド(インターネット回線)経由で対応テレビが受信、再生するというものだ。

 クラウドは公衆回線を前提としているので転送レートも極端に大きくならないように想定されている。会場のデモは再生時の転送レートを表示していたが、多い場合で160〜170Mbps、少ない場合は30〜40Mbpsという状態だった。

▲会場での転送レートは30Mbps〜170Mbpsと揺れ幅が大きかった

 コンテンツ自体は8K/60pなので、さすがに30〜40Mbpsでは厳しく、映像がフリーズしたり、コマ落ちする場合もあるという(会場ではそのような症状は発生しなかった)。ただ、日本国内で光回線を使っていれば問題なく楽しめそうだと感じた。ちなみに音声は22.2chまで対応できる。

 シャープとしては、8Kなどの高品位放送が決まっていないアジア圏などでこのサービスを展開し、8Kテレビの付加価値として訴求していこうという狙いなのだろう。IP配信であればVOD(ビデオオンデマンド)も可能なので、ユーザー側のメリットも大きい。

▲8K映像と3Dを合成した没入体験も提案されていた

 その他で面白かったのは、8Kパネルをベースとした様々な体験提案だ。例えば8Kと3Dを組み合わせた没入体験もデモされていた。

 こちらはCGで作った映像を8Kで表示し、タブレットなどを使って視点を自由に切り替えられるというものだ。デモでは車の映像が使われていたが、実際にサーキット等にその製品を置いたらどう見えるかが一目瞭然で、とても自然な没入感、リアリティが確認できた。

 他にも8Kミュージアムのデモも行なわれている。こちらは8Kやそれ以上の解像度をもつデータをサーバーに保存し、テレビ側からそこにアクセスして絵画や美術品を「本物以上」に楽しんでもらうという提案だ。会場ではシャープが撮影した昆虫の映像も写されていたが、繊毛まで鮮明に再現されていた。

▲ネックスピーカーAN-SS1。88gという軽さがポイント

 その他にもAQUOSサウンドパートナー「AN-SS1」も人気を集めていた。こちらは肩に乗せて音楽を楽しむ、いわゆるネックスピーカーで、重量がわずか88g、連続再生約14時間という点も普段使いには喜ばれるだろう。

 音声伝送方式はBluetoothを使っており、付属のUBSコネクター型送信機との間では遅延を抑えたファストストリームで、スマホ等とつないだ場合はSBCでの再生が可能だという。

 ちなみに付属送信機はUBSコネクターに3.5mmアナログミニジャックがついており、ミニジャックをテレビのヘッドホン出力につなぐとその音がBluetoothで送信される仕組だ。この送信機ひとつで2台のAN-SS1をペアリングできるので、家族で使いたい場合も便利だろう。

 AN-SS1は今年11月の発売予定で、想定市場価格は未定だが、1.6万円前後を目指したいとのことだ。

▲8Kチューナーパックも展示

▲シャープブースにダイナブックが並ぶという、貴重な展示も

▲IFAで発表された有機ELパネルを搭載したスマホ