マルチチャンネル向けの球体スピーカー「SoundSpot」の導入も予定

 イスラエルのスピーカーメーカー、morel(モレル)のスピーカー2機種が発売される。トールボーイ型の「SOPRAN」(ソプラン)が¥2,300,000(ペア、税別)、ブックシェルフ型の「OCTAVE 6 Limited Edition」が¥460,000(ペア、税別)。

▲1Fの「SOPRAN」を中心としたシステム。3ウェイ5スピーカーの「SOPRAN」は28mmソフトドームツイーター、160mmコーン型ミッドレンジ、160mmコーン型ウーファー×3からなる。CDプレーヤー、D/Aコンバーター、プリメインアンプはいずれもソウルノート製

 モレルという名前に耳馴染みがないかもしれないが、メーカーは1975年創業の老舗であり、日本国内ではカーオーディオのトップブランドとして一目置かれる存在だ。創業者メイヤ・モルデハイの故郷であるイスラエルに本拠地を置き、ユニットの製造からスピーカーのアッセンブルまで自社生産を貫く、世界的に見ても稀有なメーカーと言っていい。

 以前にも一部でモレルの家庭用製品の輸入は行なわれていたが、本格的な上陸はこれが初めて。このほかにも、マルチチャンネルシステム向けの球形スピーカー「SoundSpot」シリーズなどの展開も予告されている。

 そうしたブランドの周知のため、輸入の本格的な開始に合わせて「morel杉並ギャラリー」がオープン。ギャラリーの内覧会が行なわれたので、その様子をお伝えしよう。

 ギャラリーがある場所は、その名の通り東京都杉並区。閑静な住宅街にある一戸建てを改装したもので、モレル製品を自宅に置いた雰囲気をリアルに感じられるようになっている。住所は非公開で、完全予約制。予約についてはモレルを取り扱うオーディオ専門ショップなどに問合せをしていただきたい。

 戸建てギャラリーの中身は、「SOPRAN」が設置された1F、「SoundSpot」シリーズでリビングシアターを構築した2F、「OCTAVE 6 Limited Edition」が設置されたプライベートなオーディオ空間の3F、インウォールやインシーリングスピーカーの展示場である地下、そしてカーオーディオのデモカーが2台格納されるガレージ、と盛りだくさん。地方からの来客に備えて、宿泊できる客間も備えるという充実ぶりだ。今回見学したのは1Fから3Fのシステム。なお、地下室は内覧時には施行中の段階で、こちらは10月の完成見込みとのこと。

▲横にまわると、「SOPRAN」が独特の形状をしていることがわかる。これは内部の定在波低減のためで、機能のための必然から生まれているという

 3システムを体験して共通していると感じるのは、さすがユニットまで内製する老舗メーカーと思わせる基本的なクォリティの高さ。「SOPRAN」と「OCTAVE 6 Limited Edition」ではまったく姿形が異なるものの、音がスピーカーにまとわりつく感じのないキレのよさ、奥行きを含めた広い音場などがモレルの特徴なのだろう。

▲ギャラリーの案内をしてくれたのはオーディオ・オーディオビジュアル評論家の小原由夫氏。ミッドレンジとツイーターの音のつながりのよさが素晴らしいとコメント

 その中で個人的に強く惹きつけられたのは、2Fの「SoundSpot」シリーズ。パッと見はよく見かけるタイプのサテライトスピーカーなのだが、これがなかなかの音を聴かせてくれたのだ。フロントスピーカーとして置かれたのはシリーズでもっとも大型のSP-3というモデル。価格は未定だが、ペアで15万円前後が見込まれるようだ。

▲2Fはサラウンドシステムを組んだリビングシアター。今後導入予定の「SoundSpot」シリーズで組んだ「5.1.2」サラウンドを楽しめる

 何が“なかなか”なのかというと、AVアンプのクロスオーバー周波数設定を「60Hz」としてUHD Blu-rayの『ブレードランナー2049』を再生したところ、ボトミングすることもなく、しっかりと低音を再生してくれるのだ! と言ってもピンとこない方が多いだろう。

▲2Fのフロントスピーカーは「SP-3」。このシリーズは2ウェイの同軸ユニット(19mmドーム型ツイーター+100mmコーン型ウーファー)を搭載していることが特徴だ。密閉型と思いきや、フロントにポートを備えたバスレフ型

 クロスオーバー周波数「60Hz」というのは実際のところかなり攻めた数値。これは60Hz以下の低音はサブウーファーに受け持たせる、という設定なのだが、このスピーカーサイズであれば「80~100Hzくらいにしておこうかな」と思いそうなものだ。壁や天井に取り付けやすいショートスタンド付きのモデルだけに、サラウンドシステムのあらゆる場所で活躍してくれそうだ。

▲天井に取り付けられていたのは「SP-1」。こちらも同軸ユニット(12mmドーム型ツイーター+85mmコーン型ウーファー)を搭載しており、同シリーズでサラウンド再生すると、空間がシームレスに広がる

 とはいえ、冒頭の通り、正式に発売が告知されているのは2モデルのみ。SoundSpotシリーズの正式導入は来年を予定しているそうなので、続報を楽しみに待ちたい。2チャンネル派、マルチチャンネル派ともに注目すべきブランドの本格上陸だ。

▲シンプルな2ウェイ構成のバスレフ型スピーカー「OCTAVE 6 Limited Edition」が設置された3F。奥行きを深く取っているため、正面から見た印象よりもキャビネット容量は大きめ。使われているユニットの基本設計は「SOPRAN」と共通している