コルグから、DSD 1ビット信号に対応したUSB D/Aコンバーター& A/Dコンバーターの「Nu I」（ニューワン、またはエヌユーワン）が発売される。定価￥425,000（税別）で、10月下旬の登場予定。
▲USB D/Aコンバーター& A/Dコンバーターの「Nu I」
Nu Iは、コルグがこれまでに培ってきたDSDのノウハウを盛り込んだ製品だ。まず、付属ソフトウェア「AudioGate(Ver4.5)」との組合せで、DSD 11.2MHzによる録音/再生が可能になっている。さらにMCカートリッジ対応のフォノアンプ、バランス音声入力といった録音時に便利な装備も充実している。
加えてNu Iでは、これまで「原音の再現」にこだわってきたコルグが、オーディオ・カテゴリー製品で初めて「コルグだけが出せる音」に挑戦したこともトピックだ。
そのキーアイテムが、新世代の直熱双三極管「Nutube」。Nutubeはコルグとノリタケ伊勢電子(株)が共同開発した新世代真空管で、従来の真空管では難しかった長寿命、省電力を実現した高品質アイテムとなる。この新世代真空管についてはStereoSound ONLINEの連載でも紹介しているので参照いただきたい。
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そして今回は、DSDマスタリングの第一人者、オノ セイゲン氏がプロデュースした「DSDで遊べる」Nu I専用オーディオドライバー「S.O.N.I.C.(Seigen Ono Natural Ideal Conversion)リマスタリング・テクノロジー」も付属している。
これまで同社が提供していたソフトウェアの「AudioGate」は、PC内のmp3やwavなどの音楽データや、CDをリアルタイムにDSD変換して楽しむことができた。それに加えて「S.O.N.I.C.リマスタリング・テクノロジー」では、YouTubeなどの動画ストリーミングやiTunesで再生するサウンドを、リアルタイムでDSDクォリティに変換してNu Iから出力するという。単なるアップサウンプリングとは一線を画す、オノ セイゲン氏のノウハウを注ぎ込んだリマスタリングの効果を、自分のシステムで手軽に楽しむことができるわけだ。
A/D、D/A変換で重要となるチップは、それぞれAKM（旭化成エレクトロニクス）製のA/Dコンバーター「AK5574」と、D/Aコンバーター「AK4490」を採用。録音時は、XLRバランス入力からの音声信号を平衡処理を保ったままAK5574に入力、再生時は2基のAK4490からの音声信号を、左右独立で構成された出力回路及び、Nutube回路（バイパス可）を経由し、XLRバランス出力等から出力されるという。
電源回路も、これまでのDS-DACシリーズのUSBバスパワー駆動を見直し、AC電源による駆動を実装した。内部の電源が安定することで、アナログ回路の音質が向上したそうだ。なお、本機のために新設計された電源回路には、磁束漏れが少なく効率のいいトロイダルトランスを採用している。
最後に、Nu Iはハイレゾストリーミングサービス「PrimeSeat」の11.2MHz配信にも対応した。PrimeSeatは、インターネットイニシアティブ(IIJ)が手がけるハイレゾ音源ストリーミングサービスで、2017年9月のベルリン・フィル演奏会を世界で初めて、リアルタイムDSD11.2MHzで配信したことも記憶に新しい。
Nu Iは今後、同サービスの再生推奨機器となる予定だが、それに加えて、PrimeSeatの収録機材としての採用も検討されているそうだ。もしそれが実現したら、Nu Iで録音されたDSD11.2MHzサウンドを、自宅でNu Iを使って再生できるようになるわけで、ハイレゾ鑑賞として新しい楽しみ方が始まるだろう。
Nu Iの主なスペック
●対応音声フォーマット(USB)：
DSD 2.8224/5.6448/11.2MHz、1ビット
DSD 3.072/6.144/12.288MHz、1ビット(S.O.N.I.C.リマスタリング・テクノロジー使用時のみ)
PCM 44.1/48/88.2/96/176.4/192/352.8/384kHz、16/24ビット
●接続端子：USB Type-B端子1系統（USB2.0、ハイスピード）、アナログ入力2系統（XLR、RCA）、フォノ入力1系統（RCA、MM/MC切り替え式）、アナログ出力2系統（XLR、RCA）、USB DACダイレクト出力2系統（XLR、RCA） ※XLR端子は2番HOT
●対応OS：Windows 10(32/64ビット)、MacOS X 10.11以降
●オーディオドライバー：ASIO2.1、WDM、Core Audio
●消費電力：40W
●外形寸法/質量：W432×H93×D282mm(突起部含む)/5.9kg