FOCALのプロフェッショナル向け密閉型モニター・ヘッドホン

 フォーカルのプロ用ヘッドホンである本機「LISTEN PRO」は、長時間のリスニングでも疲れない装着感と、ネジレに強いバンド構造など、快適性と耐久性を追求しているのが特徴だ。

 ドライバーは40mm口径の新規開発品。中心部がマイラー+チタン、周辺部がマイラー100%の逆ドーム型になっている。こうした構造は、リニアリティと情報量再現を重視したためと思われる。イヤーパッドも本機用に開発されたもので、低反発マイクロファイバーを採用。通気性が重視されている。パッドと同じ赤色でカラーコーディネートされたヘッドバンドは、シリコン製のクッション材。なお、専用のハード・キャリングケースと5mカールケーブルの他に、マイク付きの1.4mケーブルも付属する。

ケーブルは着脱式で、標準プラグ端子のカールケーブル(5m)と、3.5mmのステレオミニ端子のマイク付きケーブル(1.4m)が同梱される。その他、専用のハードケースや、ステレオミニから標準プラグへの変換コネクターが付属する

 同社には上位機にオープンエア型もあるが、本機はモニタリングやリスニング等、さまざまなシーンでの使用を想定して密閉型になっている。目指したものはフラットな特性で、モニタースピーカーとヘッドホンの完全なる音の一致という。プロ用に限らず、コンシュマー用もワールドワイドにスピーカーを展開する同社らしいアプローチといえよう。

 試聴はフェーズメーションのヘッドホンアンプEPA007を用いて行なった。側圧は緩くはなく、ほどよい按配で押さえられて、外部の音の遮断もしっかりしている。イヤーパッドの感触も実に良好だ。音はどっしりとしたピラミッド型のエネルギーバランスで、重心が低く、安定感の高い再生音。また、細かなニュアンスや質感描写が感じられ、分解能、解像力に優れたヘッドホンということも音を出してすぐにわかる。そうした点では、真にモニタリングにふさわしい再現力を備えているといってよい。

 クラシックでは、フルオーケストラの勇壮なハーモニーを立体的かつ広がりを持って再現する。特にローエンドの厚みは立派だ。ヴォーカルは、音像フォルムの造形がしっかりしている。色艶も感じられ、質感再現は水準以上だ。感心したのは、抑揚などの細部のニュアンス描写が実にていねいなこと。モニター機という性格だけでなく、音楽性も高いヘッドホンと私は見た。

HEADPHONE
FOCAL
LISTEN PRO
¥38,000(税込)
●型式:密閉型●使用ユニット:ダイナミック型40mm
●再生周波数帯域:5Hz〜22kHz
●インピーダンス:32Ω
●出力音圧レベル:122dB/mW
●質量:280g(本体)

FOCAL LISTEN PROの製品紹介ページ
https://www.minet.jp/brand/focal/listen-professional/

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