左旋の「新4K8K衛星放送」は周波数変換して伝送、専用アダプターで復調する

 スカパーJSATは、本日、NTT東日本、およびNTT西日本と共同で会見を行ない、今年12月から始まる「新4K8K衛星放送」を、NTT東西が展開するFTTH(光ファイバー)を使った「フレッツ・テレビ」によって同時再放送を行なうと発表した。

 新4K8K衛星放送のうち、これまでの右旋円偏波を使って行なう放送については、そのまま同時再放送を行なうことで受信できるようになるが、新たに始まる左旋円偏波については、右旋よりも高い周波数を使って伝送が行なわれるため、受信するためには、家庭内の配線を高周波帯に対応したものに一新する必要がある。

新4k8k衛星放送の左旋円偏波は、2224MHz~3224MHzという高周波帯域を使って行なわれるため、家庭内の配線はそれに対応したものに交換する必要がある

 そこで、フレッツ・テレビでは、新規の左旋の周波数を770MHz以下に変換して伝送する方式を採用。その発表とデモが、本日の会見で行なわれた、という流れだ。

 変換された信号は、地上デジタル放送と現行のBS/110度CSデジタル放送の間に帯域を使って伝送されるので、一般家庭では特段配線を変換・変更する必要はない。

新4K8K衛星放送の左旋を使ったチャンネルは、地デジと現行のBS/110度CSデジタル放送の間の帯域に変換されて伝送されることになる

 ただし、変換された信号を元の帯域に戻す製品=専用のアダプターは必要となり、これは、家庭内に設置されているONU(光回路終端装置)からのアンテナ出力を同アダプターのアンテナ入力に接続。アダプターで元の周波数に復調した信号が送出されるので、それを新4K8K衛星放送に対応したチューナー(対応のSTBや対応のテレビ)に接続すれば、新4K8K衛星放送が楽しめるという具合だ。

フレッツ・テレビのサービスのイメージ図。左旋円偏波を使った高周波の信号も、現行の帯域に変換して伝送されてくるので、家庭内では今までの配線がそのまま使える。4Kテレビの直前に、今回発表の専用アダプターを取り付けることで、新4K8K衛星放送が見られるようになる

 もちろん、ONUと専用アダプター、アダプターと対応チューナーの接続には、ノイズ対策のためにF型接栓コネクターを使ったアンテナケーブルを使う必要がある。

今回発表された専用アダプター。大きさはスマホ大で、アンテナの入出力を装備する

 フレッツ・テレビでは、新4K8K衛星放送の始まる本年12月には、右旋による新4K8K衛星放送の同時再放送を行ない(民放5局)、2019年の夏を目途に、左旋円偏波による放送の同時再放送を開始する予定だという。専用アダプターは、左旋の同時再放送の始まる2019年の夏までに提供予定で、レンタル制のみとなる模様だ。

 なお、月額料金は今回の対応にかかる設備投資分を上乗せするため、若干の値上げが行なわれる。フレッツ・テレビの月額料金は現行の¥660から¥750となり、ここにアダプターのレンタル料が加算されるが、「合計で1000円は切りたい」という意向を表明していた(別途、フレッツ回線の契約が必要)。ちなみに、ONUにアダプター機能を内蔵することは「考えていない」そう。

8K試験放送のパススルーデモは難なく成功

 また、同会見では、周波数変換による伝送のデモとして、現在行なわれている8K試験放送(BS17ch)を使った受信も披露された。

8K試験放送の周波数変換伝送のデモシステム。8K信号は598.58MHzに変換されて伝送。帯域は40MHzほど使ったそう

 衛星から受信した8K試験放送を、NTTの受信拠点(ヘッドエンド)で周波数変換し(598.58MHz)、光ファイバーを通して会場まで伝送。会場では、一般家庭に設置されているONUのアンテナ出力を専用のアダプターにつなぎ、そのアンテナ出力を8Kチューナー(業務用のアレ)につなげ、映像出力をHDMIケーブル4本で、シャープ製業務用8Kモニター「LV-70002」に映し出していた。

専用アダプターを手にするスカパーJSAT 仁藤雅夫 取締役 執行役員副社長

スカパーJSAT
https://www.sptvjsat.com/

ニュースリリース
https://www.sptvjsat.com/load_pdf.php?pTb=t_news_&pRi=1228&pJe=1

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