ヤマハから、同社が展開するネットワーク(有線LAN&Wi-Fi)を使ったミュージック再生規格「MusicCAST」に対応したワイヤレススピーカー「MusicCAST50」、「MusicCAST20」、ワイヤレスサブウーファー「MusicCAST SUB100」、サウンドバー「MusicCAST BAR400」が、8月より順次発売される。価格はいずれもオープン。詳細は下記を参照のこと。

「MusicCAST50」 オープン価格(想定市場価格¥60,000前後) 8月上旬発売
「MusicCAST20」 オープン価格(想定市場価格¥30,000前後) 8月上旬発売
「MusicCAST SUB100」 オープン価格(想定市場価格¥50,000前後) 10月中旬発売
「MusicCAST BAR400」 オープン価格(想定市場価格¥60,000前後) 10月中旬発売

 MusicCAST対応モデルは、AVアンプやワイヤレススピーカー、コンポなどを含めて総数は30を超えたそうで、今後同社では、同機能に対応した機器にペットネーム(サブブランド)として“MusicCAST”を付けたモデル名で展開していくという。今回のラインナップはその第一弾となる。

 そして、今回発表のモデルは、MusicCASTの新機能「MusicCAST Surround」および「MusicCAST Stereo」に対応しているのが特徴だ。

 簡単に説明すると、MusicCAST Surroundとは、対応製品(スピーカー、ウーファー)をワイヤレスサラウンドスピーカー&ワイヤレスサブウーファーとして追加して、5.1chのシステムを構築すること。

 一方の、MusicCAST Stereoは、対応製品(スピーカー、ウーファー)同士を組み合わせて、2.1ch(2.0ch)のシステムを構築することを指す。

 今回発表の製品で言えば、MusicCAST Surroundについては、MusicCAST BAR400+MusicCAST20×2台を組み合わせて5.1chシステムを楽しむといった使い方が可能なる。

 MusicCAST Stereoでは、MusicCAST20×2台による2.0ch、あるいはMusicCAST50×2台+MusicCAST SUB100による2.1chという、ワイヤレスシステムへの発展が見込めることになる。なお、現状ではフルワイヤレスによる4.1chシステムや、アトモス用スピーカーをMusicCAST Surround対応スピーカーにアサイン(設定)する、といった使い方はできない。

 それでは、それぞれのモデルについて紹介していきたい。
 MusicCAST50/20については、いわゆるAIスピーカー然としたスタイルの製品で、MusicCAST用のアプリ「MusicCAST CONTROLLER」をインストールしたスマホなどからの再生指示で、Wi-Fi、あるいは有線LANを通じて音楽ストリーミング再生が楽しめる。

 MusicCAST50は2ウェイ4スピーカーで、ラウンド形状を持ったバスレフタイプ。1台でステレオ再生が可能。50を2台組み合わせれば、ステレオシステムとなる。

 MusicCAST20は2ウェイ4スピーカー(内2基はパッシブ)で、円筒形のデザインを採用している。こちらはモノーラル仕様で、50と同様に20を2台組み合わせれば、ステレオ再生も楽しめる。

 MusicCAST50については外部入力(RCA、光、3.5mmステレオミニ)も装備しており、ポータブルプレーヤーなどの音声を有線接続して再生することもできる。

 その他、MusicCAST50/20ともに、SpotifyやDeezer Hi-Fiなどの音楽ストリーミングサービスに対応する。ハイレゾ音源については、PCM系では192kHz/24bitまで再生可(DSDは不可)。

 MusicCAST SUB100は、文字通りワイヤレス式のサブウーファー。20cm口径のウーファーユニットを搭載し、再生周波数帯域は28Hz~300kHzとなる。表面はビアノフィニッシュ調のデザインを取り入れた処理で、高級感も演出している。

 特徴は、組み合わせた機器(ペアリングしたマスターデバイス)に応じて、クロスオーバーと周波数を自動調整してくれること。寸法はW252×H383×D418mm/12.6kg。

 MusicCAST BAR400は、いわゆるサウンドバーで、バータイプの本体とウーファーがセットになった2ピース構成の商品。MusicCAST Surroundの親機となり、先述のMusicCAST50/20を組み合わせて5.1chへのシステムアップが可能となる。

 特徴は、同社サウンドバー商品としては初めて、フルデジタルアンプ技術「DDFA」を搭載したことで、低歪で高S/Nのサウンドが楽しめるという。出力は総合200W。

 3Dサラウンド機能として、「DTS Virtual:X」を搭載しており、今回、アプリからの操作で、DTS Virtual:X(アプリ上で3DサラウンドをONにする)と、通常の音声モード(映画、音楽など)を組み合わせることが可能になった。

 その他、4K/60p、HDR(ドルビービジョン、HLG)のパススルーをサポートしており、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスへの対応もトピック。新機能としては、これまでユーザーからの要望が多かったというチャイルドロックも搭載。小さな子供のいる家庭にとっては、利便性の高い機能と言えるだろう。

【速攻レビュー 木村雅人】
ナチュラルでバランスのいいサウンド
発展性もあり、今後の進展に大いに期待したい

 ヤマハのワイヤレスストリーミングスピーカーの新製品「MusicCAST50」と「MusicCAST20」を、発売前に試聴できたので、そのインプレションを紹介したい。場所は、これまでと同様ヤマハの試聴室であったが、部屋は異なっている。

 最初にMusicCAST20から聴いたところ、低音をむやみに誇張しない、ナチュラルサウンドが印象に強く残った。これぐらいの価格帯で、かつ多機能型モデルだと、分かりやすい派手な音づくりが多いのだけれど、本機は帯域バランスも良好で、これならデスクトップ等の近距離リスニングにも向いていると思った。

 MusicCASTによるワイヤレス再生だけでなく、新機能MusicCAST surroundを使ったサラウンドへの展開も期待できる。ぜひ、自宅で体験してみたい!!

 次にMusicCAST50を聴いた。筆者にはMusicCAST20とはだいぶキャラクターが異なっているように感じた。

 スピーカーから離れていても充実した低音が聴こえるし、音の広がりや定位が良いので、サウンドイメージが掴みやすいのだ。リビングなどの広い空間に設置して、ゆったりと楽曲を楽しむのに向いているだろう。

 また、音楽を聴く方法をいろいろな形で提案できるヤマハのMusicCASTは、今回のアップデートで、オーディオの新たな楽しみ方を提案するという、発展性が強く感じられた。ワイヤレスによるさらなる多チャンネルサラウンド実現や、リスニング環境のストレスフリー化の充実にも、今後、ますます期待したい。

音場感の再現や低音の迫力は必要充分!
使用時には、ボリュームに注意したいほど

 次は、フロントサラウンドシステム「MusicCAST BAR 400」のインプレッションを紹介したい。

 今回の製品は、一般的にサウンドバーとか、シアターバーと呼ばれるジャンルに属するので、試聴も当然、映画ソフト(サラウンド)からと思っていたのだが、担当者からはまず、CDを聴いて欲しいとの話であった。

 筆者は「音楽再生にも結構自信があるのだろう」と、心の中で思いながら試聴体制を整えた。実際にそのサウンドを聴いてみると、女性ボーカルの質感は肉付きが良く、本体が横に長いのもあってオーディオ機らしい、音の広がりや奥行も感じられた。想像していたよりもかなりいいサウンドだ。「どうせサウンドバーでしょ?」と思っている方は、ぜひ店頭で体験してみて欲しい。

 次はいよいよ映画コンテンツを試聴したが、「3Dサラウンド」モードは奥行や高さの再現が確かに感じられ、専用サブウーファーによる衝撃音などの迫力も、必要にして充分!見た目以上に迫力のある低音なので、ご家庭ではサブウーファーのボリュームに注意してほしい。

 MusicCAST BAR400は、一般的なリビングでの音楽再生やテレビ&映画ソフトの再生用途であれば、これ一台で充分に事足りるだろう。ただし、このカテゴリーの売れ筋と比べたら少し高価なのだが、予算に余裕があれば検討してみてはいかがだろうか。

ヤマハ
https://jp.yamaha.com/products/audio_visual/index.html

MusicCASTのサイト
https://jp.yamaha.com/products/contents/audio_visual/musiccast/index.html

MusicCAST50。本体色はブラックとホワイトの2色展開で、さらに天面が木目(ボディはホワイト)の3モデルがラインナップされる

MusicCast20。AIスピーカー然としたデザインを採用。W150×H186×D130mm

MusicCast BAR 400。バータイプの本体とウーファーがセットになった2ピース構成。MusicCast surround機能を使えば、先述のMusicCast20/50をサラウンドスピーカーとして追加可能で、5.1chシステムを構築できる

MusicCast SUB 100。20cm径のウーファーを搭載する。ペアリングする機器に合わせてクロスオーバーや周波数を自動調整してくれる