ヴィンテージユニットの味わいを誌面で追体験できる

試聴時の様子。聴いたらすぐにインプレッションを語ってもらう。耳に音が残っているうちのコメントだけに、真に迫る内容だ

 温かみのあるサウンドと見た目のお洒落さから、にわかに脚光を集めている真空管。この真空管を用いたオーディオ機器を専門的に紹介する雑誌が、季刊『管球王国』だ。

 4月26日発売予定のVol.88でも、真空管オーディオの深い愉しみを追求する記事が盛りだくさん。その一部を、取材の様子とともに数回に分けて紹介しよう。

 今回紹介するのは特集記事「小口径フルレンジユニットの魅力を聴く」。口径が10cm~20cmのスピーカーユニットを集めて音の魅力を追求するという内容で、JBLやアルテック、ジェンセンなどのヴィンテージ・ユニット10モデルに、フォステクスの現行機種1モデルを加えた、全11モデルを聴き比べている。

レポート取材時に聴いていたのが、ジェンセンの「C6R」。エンクロージャーは、ウェスタン・エレクトリック618Cを復刻したウェスタン・サウンド・インク(W.S.I)製「618C Jr」(618Cより一回り小さい)

 貴重なヴィンテージ・ユニットが奏でるサウンドの魅力を誌面で追体験できるだけでなく、現行機種との音の立ち位置の違いも把握できる。これから自分でスピーカーシステムを組みたい人はもちろん、今使っている自作スピーカーを見直したい、というこだわりを持ったクラフト派に必読の内容と言えるだろう。

 試聴を担当した評論家は、現在発売中の『管球王国』Vol.87で好評の特集記事「アルテック825箱によるヴィンテージ・ユニット10モデル試聴」に引き続き、新 忠篤氏、篠田寛一氏、土井雄三氏の3名が担当している。今度はどんな評価が飛び出すのか、4月26日発売の『管球王国』Vol.88誌面でご確認いただきたい。

テスターのお三方。左から新 忠篤氏、篠田寛一氏、土井雄三氏

【試聴した小口径フルレンジユニット】
1)ジェンセン「FX50」(10cm)
2)アルテック「405-8G」(10cm)
3)アルテック「405-A」(10cm)
4)ジェンセン「C6R」(16cm)
5)フォステクス「FE206En」(20cm、現行機種)
6)ジェンセン「P8P」(20cm)
7)ジェンセン「PM8C」(20cm)
8)アルテック「401A」(20cm)
9)アルテック「408A」(20cm)
10)JBL「D208」(20cm)
12)ウェスタン・エレクトリック「KS14703」(20cm)

【試聴に使った機材】
●エンクロージャー
ウエスタン サウンド インク「618Jr」(10~16cm密閉型)
ウエスタン サウンド インク「618C」(20cm密閉型)
●プリアンプ
アルテック「1567A」
●パワーアンプ
アルテック「1520T」
●CDプレーヤー
スチューダー「A730」

プリアンプには、アルテックのミキサーアンプ「1567A」を使った

アルテック「1567A」の背面。本機もヴィンテージなのだが、そうは思えないほど状態が良かった

パワーアンプのアルテック「1520T」。モノーラルのため、各チャンネル1台ずつの計2台を使っている

「1520T」の背面。このモデルは1950~60年代に録音スタジオでモニターアンプとして親しまれた名機だ

CDプレーヤーはスイスのスチューダー「A730」

熱心に耳を傾ける3名。試聴室には緊張感が漂っていた