6月21日(木)、東京・お台場に常設のアート体感施設「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス」がオープンする。これに先立ち、ひと足先に体験したこのミュージアムの様子をリポートしよう。

 なぜ、Stereo Sound ONLINEで「ミュージアム」を? と思われるかもしれないが、森ビルとチームラボが共同で運営するこの施設は、エプソンがプロジェクションパートナーとして参加しているのだ。施設面積10,000平方メートルというミュージアム内は、同社製プロジェクター470台で埋め尽くされている。

 エプソン チームラボ ボーダレスには約50の「作品」が展示されており、その多くはいわゆるプロジェクションマッピングによるもの。それをエプソン製のプロジェクターで投写している。こうした展示は、プロジェクションマッピングの成熟だけでなくプロジェクター技術の進歩にも支えられているということ。

 広い面積への投写には絶対的な光量が必要になるが、これをレーザー光源プロジェクターを含む製品で実現している。展示の多くは超短焦点レンズを使っていることもポイントだろう。1m程度の投射距離で100インチ以上の大画面を映し出せるメリットはこうした場所でも大きい。

 レーザー光源の製品は、従来のキセノンランプなどに比べて大幅な長寿命であることも特筆される。このミュージアムは期間を設けない常設展であるというから、公称20,000時間のメンテナンスフリー(光量半減までの時間)という利便性がなければ企画自体が成り立たないかもしれない。

 さて、実際のミュージアムの様子はどうなっているのだろう。10,000平方メートルと言ってもにわかにはピンとこないが、実際に体感してみると相当に広い。内覧会ではすべての作品を観るには90~120分かかると説明されたが、じっくりと館内を回るならばさらにそれ以上を見積もった方がいいだろう。

 これは、ただ広いからというだけでなく、“作品”がインタラクティブである(相互作用性がある)ことが理由だ。投写されるオブジェクトに触れるとそれを受けて映像が変化する展示だけでなく、「チームラボアスレチックス 運動の森」と題された空間も用意されている。この空間には動きによって映像が変化していくトランポリンなどもあり、こういった展示は小さな子供がいる家族でも楽しめるようにと配慮されているのかもしれない。

 プロジェクションマッピングを観る、というだけでない展示はひじょうに充実度が高い。特に、いくつものプロジェクターを同時に駆使し、視界全てを覆ってしまう作品などではVR的効果を得られる。平衡感覚を失うほどの非現実世界の面白さは現場で体験しなければわからないだろう。

 これが「アート」なのか? 「ミュージアム」なのか? といったことはさておき、そういった語句から想起される一般的な施設とは一線を画するものであることは間違いない。インスタ映えを狙った若者、夏休みの子連れなどなど多くの人で賑わう話題のスポットになりそうだ。気になる“映え”っぷりについては、インスタグラム(#teamlabborderless)をご覧いただきたい。

【森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレスの概要】
●営業時間(シーズンによって異なる)
・月~木:11:00~19:00(21:00)
・金・祝前日:11:00~21:00(22:00)
・土 10:00~21:00(22:00)
・日・祝日10:00~19:00 (20:00)
※最終入館は閉館の1時間前
※()内は6/21(木)~8/31(金)の特別延長時間
●休館日:第2・第4火曜日
●住所:東京都江東区青海1-3-8 お台場パレットタウン
●料金:大人&高校生以上(15才~) 3,200円(税込)、小人 中学生以下(4~14才) 1,000円(税込)
※7/31(火)までは期間限定で大人2,400円(税込)

立体的な足場を含めて、映像は継ぎ目なく投写される

天井には多くのプロジェクターが設置される。複数の種類の製品が、あらゆる角度に投写できるように置かれていることがわかるだろうか

そうして投写されるのが、こうした壁面をぐるりと覆うような“作品”

壁以外にも、アクリルのような板をスクリーンにした展示もあり。足元に超短焦点プロジェクターが仕込まれている

施設内の喫茶店でもプロジェクターが活きる。グラスに追従して、中央に花が咲いていく

プロジェクション以外の展示も多数。いくつもの可動式ライトが生き物のように動く、施設内有数の“映え”スポット

エプソン販売株式会社 代表取締役社長 佐伯直幸氏(左)と、チームラボ代表 猪子寿之氏。両氏が今回のコラボレーションについて説明を行なった