イリーナ・メジューエワさん(C)奥村和泰

OTOTENのイベントで先行試聴を実施します!

 ロシア出身の世界的ピアニスト、イリーナ・メジューエワの日本デビュー20周年記念アルバム『メジューエワ・プレイズ・ベーゼンドルファー Stereo Sound REFERENCE RECORD』のハイレゾ音源が、6月20日より「e-onkyo music」「mora」「OTOTOY」の各サイトで配信される。

 イリーナ・メジューエワは、5歳よりピアノを始め、モスクワのグネーシン特別音楽学校とグネーシン音楽大学(現ロシア音楽アカデミー)でウラジーミル・トロップ教授に師事。1992年にオランダ・ロッテルダムで開催されたエドゥアルド・フリプセ国際コンクールでの優勝をきっかけに、欧州諸国で公演を開催する。1997年からは拠点を日本に移し、アジア各国で演奏活動を行なっている。世界的に高い評価を得ており、ご存じの方も多いだろう。

イリーナ・メジューエワさんは、録音制作にも精力的で、多数のアルバムをリリースしている。また、2017年には初の著書『ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ』(講談社現代新書)を刊行している(C)中村いさむ

 今回配信がスタートする本作は、日本でのコンサート・デビュー20周年を記念して、2017年に制作されたCD『メジューエワ・プレイズ・ベーゼンドルファー』のハイレゾ・バージョンとなり、ステレオサウンドの監修によって制作された。

 本作が面白いのは、収録時のマイクセッティングと録音フォーマットが異なる、下記3種類をラインナップしていること。

(1)DSD・11.2MHz/1bit [ワンポイント・ヴァージョン] ¥3,800(税込)
(2)DSD・11.2MHz/1bit [マルチミックス・ヴァージョン] ¥3,800(税込)
(3)PCM・96kHz/24bit [マルチミックス・ヴァージョン] ¥3,200(税込)

収録時のマイクセッティング。ワンポイント録音で使われたのが写真で見てピアノの右側にあるマイク。残りはマルチミックス録音に用いられている

 ハイレゾ版は3パターンが同時収録された。レコーディングの様子は季刊『ステレオサウンド』204号(P230~P233)で掲載しているので、お持ちの方はぜひチェックいただきたい。当初は3種類から、どれか1バージョンのみを配信する予定だった。制作陣、ステレオサウンドがともに「最高の作品を届けたい」という考えを持っていたからだ。

 完成後、ご本人、録音エンジニア、プロデューサーで試聴選考会が行なわれたのだが、同じ演奏でもベーゼンドルファー(ピアノ)の音色やホールの響きが驚くほど違い、様々な意見が出たそうだ。最終的に「それぞれに魅力があり、とても1つに絞り込めない」とのことで、3バージョンすべて配信することになったのだという。どんな意見が出たのかは、『ステレオサウンド』最新号、207号(P411)で確認できる。

 全9曲中、2曲は単曲(DSD¥648税込、PCM¥540税込)で購入できる。ぜひ、三者三様の魅力を備えた音源を聴き比べ、自分のシステムや好みに合ったバージョンを見つけていただきたい。また、アルバムを購入すると、見やすいブックレットPDFが付いてくるのも魅力だ。

配信コンテンツながら、ブックレットPDFが付いてくるのも、本作品の魅力だ

 

『メジューエワ・プレイズ・ベーゼンドルファー Stereo Sound REFERENCE RECORD』

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調 Op.31-2 「テンペスト」
1.I - Largo - Allegro(7:03)
2.II - Adagio(7:10)
3.III - Allegretto(5:34)

4.シューベルト:即興曲 変イ長調 Op.142-2(6:10)
5.シューベルト=リスト:連祷(3:29)
6.リスト:エステ荘の噴水(8:07)
7.ワーグナー=リスト:イゾルデの愛の死(7:47)※
8.ドビュッシー:沈める寺(5:55)
9.ラフマニノフ:プレリュード 嬰ト短調 Op.32-12(2:56)※
※印は単曲購入可能

 また、今週末に東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催されるオーディオ・ビジュアル総合展示会「OTOTEN」で、評論家・三浦孝仁氏による試聴セミナー「頂上のハイレゾサウンドを聴く!」(6月17日13:00~、D棟ホール5)が行なわれる。この中で、本作品の試聴を予定しているので、気になった方はこのチャンスをお見逃しなく。

「OTOTEN2018」出版社セミナー
●開催日時:6月17日(日)13:00~14:30
●会場:D棟ホールD5
●タイトル:頂上のハイレゾサウンドを聴く!~DSD11.2MHzが再現するマスターテープの音~
●出演:三浦孝仁氏
●司会:染谷一(Stereo Sound編集長)

ステレオサウンド No.204 |本作のレコーディングの模様を紹介

ステレオサウンド No.207|3名の試聴選考会の模様を掲載しています