お詫びと訂正

 1月18日発売の『プロサウンド2月号』の104~105ページ「PROSOUND REVIEW」において誤りがございました。本文中にまったく同じ文章が2箇所に掲載されております。また、「Colares」のスペック表記の寸法が、Φ50✕184mmと記載されていますが、正しくはΦ60✕208mmです。読者の皆様、並びに関係各位にご迷惑をおかけしましたことをお詫びすると共に、ここに訂正させていただきます。
 以下に修正を反映した記事を掲載いたしますので、ご高覧いただけましたら幸いです。

 

 

比較的新しいブランド「ROSWELL PRO AUDIO(以下、ROSWELL)」のマイクを試す機会をいただいた。ROSWELLという名前からミステリアスな印象が、頭をよぎるのはテレビの見過ぎだろうか……。同社のバック・グラウンドは確かなもので、創業者のMatt McGlynn(マット・マクグリン)は、マイクのDIYパーツを製造する会社「micparts」の運営などをしており、長年プロフェッショナルのマイクに関わった経験を持つ。そして “マイク界のWikipedia” とも呼ばれるRecording Hacks.comの主宰でもある。非常に多くのマイクのサウンドに触れてきた彼が“現代のワークフローに適したヴィンテージ・トーン”を得るためにこれらのマイクを開発した。 Text by 福地智也

 今回テストしたマイクは「Delphos」と「Colares」。価格帯は11~16万円前後。この価格帯のマイクは、大規模なレコーディング・スタジオから、小規模スタジオや自宅で作業をしている方々もターゲットに入る激戦区。多くの人の興味を引くプロダクトであることは間違いない。

 「Delphos」はU67タイプ・カプセルを使用し、「Colares」は「ELA M251」にインスパイアを受けていると表記されている。「U67」「ELA M251」共に使用したことがあるが、使用環境、保存環境などによる個体差があるし、個人の好みや記憶などにより異なるので“似ている、似ていない”のコメントはせず、マイクからどのような印象を受けるかを取り上げたいと思う。

 同社のマイクは、部品選別からこだわりを持って作られている。JFET(ジャンクションFET、増幅素子)は個体差が少なくなるよう選別、バイアス調整され、エージングとチェックを行った後に出荷されている。開封してすぐに使用することができると言われている。どちらのモデルもノイズが少なく、現在のレコーディング・シーンにも充分な戦力となるだろう。

Delphosのインプレッション:「何を録っても一定の結果を導き出せる次元の高い音」

画像: 「Delphos」

「Delphos」

 最初は「Delphos」。専用ショックマウントが付属しており、やや小ぶりなボディは質の高さを想像させる作りになっている。さっそく家で手軽に録音できるアコギとヴォーカルから試した。解像度が高く、クセのあまりないサウンド。音源との距離感をそのまま表現してくれ、“そのままの音”が欲しい場合に選択肢に挙がると思う。指向性をオムニに変更することができ、対象とするソースや欲しいサウンドに合わせて、その場面を捉えることができる。アコギの場合、弦のざらつきを拾うか拾わないか、ボディの鳴りを大きく拾うかどうかなど、様々なシーンで使うことができる。ヴォーカルでの使用時は、輪郭をはっきりさせるか、ソフトにするか、または部屋やボディの鳴りをどの程度拾うかなど、マイクの位置調整などでソースに合わせて行くことができる。かといって、セッティングに対してシビアであるわけではなく、基本的に拾いたいソースにマイクを向け、適切な距離を見つけるだけ(これが難しいともいうが……)だ。

画像: 「Cutaway」と名付けられたフラッシュ・マウント可能な「Delphos専用ショックマウント」

「Cutaway」と名付けられたフラッシュ・マウント可能な「Delphos専用ショックマウント」

 また、素直なサウンドを活かして、ドラムのオーバーヘッドで使えば、シンバルの倍音も綺麗に拾ってくれると思うし、各パーツの距離感も表現しやすいように感じた。エレキギターのアンプサウンドにも適していると感じた。他にも色々試してみたかったが、タイミングの関係で断念したが、何に使っても一定の結果を導き出せると想像する。キャラクター付けされた良い音が多く存在するが、「Delphos」は“次元の高い普通の音”という言葉が浮かんだ。1本またはペアで持っておくと、必ず使いどころが出てくると思う。

Colaresのインプレッション:「楽器や歌を表情豊かにフィーリングまでも収録」

画像: 「Colares」

「Colares」

 次に「Colares」を使用した。ケースを開け、マイクを手にしてみるとずっしりとした質感と良品が持つオーラに出会えた。このモデルには「Rycote」社製のショックマウントが付属している。

画像: 「Colares」には「Rycote」社のショックマウントが付属

「Colares」には「Rycote」社のショックマウントが付属

「Delphos」と同様にアコギ、ヴォーカルから試した。「Delphos」と比べ、サウンドにヴィンテージ感が漂う。狙った音がしっかりと録れ、その位置以外の音は良い意味で、あまり音が前に出てこないような印象。これは、吸音や遮音に予算をかけられない自宅スタジオで使用する場合に、不必要な周囲の環境音をあまり拾わずにレコーディングできる。肝心の指向性範囲内の音は、レンジが広く、押し出しの強い印象。特にギターの場合は、ピックを使ったストロークだと主張の強いサウンドになる傾向。奥行きを活かしたサウンドよりも、前に出したいサウンドに向いている気がする。

 このキャラクターも“Variable Bass Response”を使用することで、素直なサウンドへと変化させることも可能だ。スイッチオフでは押し出しの強い印象があったが、このスイッチ(スロープ違いで2つのセッティングを選択)を使用すると、アコギのレゾナンスを抑え、歯切れの良い音でボディのサイズ感がしっかりと再現される。また、PAD(-10dB)と組み合わせて使用すると、「Colares」のキャラクターを活かしたまま多彩な音色を得ることも可能だ。ヴォーカルの音が消えゆく間際の移り変わりや、フィンガーピッキング時に指が弦に触れる瞬間などをきれいに収録してくれる。表情豊かなソースのフィーリングを余すことなく拾ってくれるだろう。

 新しく参入するメーカーは、それなりの特長がなければ広く受け入れられるようにならない。しかし、同社は過度にサウンド・キャラクターを付けるのではなく、高い性能を扱いやすくする方向に向いていると感じた。同社には「mini K47」というK47スタイルのカプセルを使ったマイクもある。リーズナブルな価格でありながら、同社のポリシーが反映されている。手軽に使い回すなら、このモデルも良いのかもしれない。どのモデルも共通してしっかりとした作りで、精度の高さを感じさせる。今回試したどちらのモデルも冒頭に書いた“現在のワークフローに適した……”を体感できるマイクと言えるだろう。

Delphos

Specification
●型式:Φ34mmラージ・ダイアフラム、コンデンサー型
●周波数特性:20Hz~16kHz●指向特性:全指向性、単一指向性
●感度:35mV/Pa
●インピーダンス:200Ω
●S/N比:82dBA●セルフノイズ:12dBA
●寸法/重量:φ50×H184mm/380g(マイク本体のみ)
●備考:PAD(-10dB)、専用ショックマウント付属、専用ケース付属
■価格:オープンプライス(実勢価格¥110,000前後)

画像: Delphosの周波数特製

Delphosの周波数特製

Colares

Specification
●型式:Φ34mmラージ・ダイアフラム、コンデンサー型エッジターミネート設計
●周波数特性:20Hz~16kHz
●指向特性:単一指向性
●感度:35mV/Pa
●インピーダンス:200Ω
●S/N比:82dBA
●セルフノイズ:12dBA
●寸法/重量:Φ60✕208mm/850g(マイク本体のみ)
●備考:PAD(-10dB)、ショックマウント付属、専用ケース付属
■価格:オープンプライス(実勢価格¥156,000前後)

画像: Colaresの周波数特製

Colaresの周波数特製

■問合せ先:オタリテック株式会社 
お問合せフォーム = http://www.otaritec.co.jp/contact/index.html

Tester Profile
福地智也
ふくち・ともや。ギター/作曲/プロデュース。Blues、Soul、Funkをこよなく愛し、Jimmy Nolen、Nile Rodgers等に影響を受けたギタープレイを好む。また、音楽制作のみならず、多くの楽器やDAWのセミナー、デモンストレーションに出演し、難しい用語を使わないわかりやすい解説で高い評価を受けている。
WEBサイト=http://www.dopewire.net
Twitter: https://twitter.com/tomoya_Fukuchi

 

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