画像1: Auto Sound Web Grand Prix 2021:アールエスオーディオRS Experience M Limitedパワーアンプが受賞した理由
画像2: Auto Sound Web Grand Prix 2021:アールエスオーディオRS Experience M Limitedパワーアンプが受賞した理由

音がものすごくリアルなことがわかる
レコーディング現場にいるような雰囲気が味わえる

文=石田 功

 今ドイツではモノーラルタイプのパワーアンプが流行っているのだろうか。今回のグランプリにノミネートされたドイツ製アンプは、両者ともモノーラルタイプである。そういえばかつて、カントンというドイツ・メーカーのパワーアンプがあり、このモデルも、電源部は共通ながらモノーラルアンプを必要な個数分、配置できるシステマティックな構造だったことを思い出す。真面目に音を突き詰めていくとモノーラルアンプにたどり着くのだろうか。

 さてRSオーディオのモノーラルアンプだが、際立って特徴的な音はしない。だから、面白味に欠けるとか、音がつまらないと感じる人もいるだろう。しかし、じっくり聴くと、音がものすごくリアルなことがわかる。今回の試聴には、レコーディングに立ち会った音源を持ち込んだのだが、スタジオのモニターシステムで聴いたときに近い音がしていたのだ。ピアノの音もアコースティック・ギターの音色も、ボーカリストの声もスタジオで聴いた音そのもの。このリアルさはすごい。

 RSオーディオといえばアルミ無垢材から削り出したフレームを持つ超高級スピーカー、マスターシリーズがあるだけに、てっきりスピーカーメーカーだと思っていたが、パワーアンプも超真面目。どうやら、このパワーアンプに関してはイタリアの工房でハンドクラフトしているようだが、外部の専門家のアイデアも取り入れつつ研究開発を進めているのがよくわかる。

 だからパワーアンプで音色を創るといった方向性には、はっきり言って向かないとは思うが、音色はスピーカーに任せてパワーアンプはとにかくハイファイ再生を追求するという人にはぴったりかと思う。モノーラルアンプのメリットを活かして、セパレーションも優秀。それぞれの楽器の音が見事にほぐれて立体感ある音場を作り出すし、その楽器の音がリアルなものだから、レコーディング現場にいるような雰囲気が味わえる。モニター的な音が好みの人には向いているアンプだ。

人声、楽器を問わず音の芯の存在をしっかりと提示しながら
響きや余韻を的確に描き出す

文=脇森 宏

 モノーラルアンプの音には一種独特の雰囲気、味がある。試聴等でその音を聴くたびに、ブランドに関わりなく「あ、いいな」と思う。音像が立体感に富み、空間が広い。LRそれぞれの音の足腰がしっかりしているのも毎回、感じることだ。最初からステレオ再生ありきではなく、しっかりと鳴るふたつのモノーラルシステムが、たまたま同じ曲のLとRの信号を受けて増幅し、空間合成したらステレオになった、そんなイメージである。潔く、気持ちのいい音がする。

 ドイツの高級ブランド、RSオーディオが送り出してきたRS Experience Limitedは、上級システムに向けて開発された新鋭モノーラルアンプ。高精度な材料にこだわる同ブランドの理念を反映して、限定色のブラックメタリックカラーに塗られた筐体内にはWIMA社のフィルムコンデンサー、Mundorf社のキャパシター、ニチコンMUSE等をはじめとする音に定評のある素子を随所に投入、120W(4Ω)の出力を獲得している。RCA端子は削り出し、スピーカー出力端子は車載機には珍しくバナナプラグにも対応する。製品のアッセンブルはイタリアの提携工場で行われているという。

 輪郭明瞭にして存分なエネルギー感を備えたサウンド。勢いもある。入力された信号が一切の澱みや遅延もなく、スムーズかつストレートに増幅、出力される様子が目に見えるかのようで、ストレスなく音楽を楽しむことができる。しかも細部描写も巧みで人声、楽器を問わず音の芯の存在をしっかりと提示しながら、響きや余韻を的確に描き出す。加えて冒頭に記したモノーラル機ならではの音像および空間再現力。ライブ音源はことのほか気持よく聴くことができた。

 単体パワーアンプは冬の時代を迎えて久しいが、内蔵アンプでは得られない音の世界が体験できるのは、疑う余地がない事実。そしてアンプ選びの際には、製品数は少ないけれど、本機をはじめとするモノーラル機を選択肢に加えてみてはどうだろうか。上記のような音の特質に加え、配線の労を厭わなければ、車内のデッドスペースを利用してアンプの姿を隠すステルスインストールも可能になる。本機を契機に、モノーラルアンプ好きが増えることを願うばかりだ。

画像: 人声、楽器を問わず音の芯の存在をしっかりと提示しながら 響きや余韻を的確に描き出す

アールエスオーディオ RS Audio
Power Amplifier
RS Experience M Limited
¥374,000(ペア/税込)

SPECIFICATION
●定格出力:120W×1(4Ω)、200W×1(2Ω)
●周波数特性:10Hz~80kHz
●SN比:102dB
●入力感度:950mV~8V
●入力インピーダンス:20KΩ
●アイドリング電流:1.2A
●外形寸法:W88×H66×D266mm
●重量:1.38kg(1台)

This article is a sponsored article by
''.