画像1: Auto Sound Web Grand Prix 2020:ヘリックスDSP ULTRAデジタルプロセッサーがグランプリを獲得した理由
画像2: Auto Sound Web Grand Prix 2020:ヘリックスDSP ULTRAデジタルプロセッサーがグランプリを獲得した理由

その場の空気感、気配のようなものを鮮明に描き出す
豊かな響きが消えていく様子は感動的ですらあった

文=藤原陽祐

 その音の良さと確かな信頼性で、各方面から高い評価を得ているヘリックスのベストセラーDSP、DSP PRO MKllの上位機種として開発された DSP ULTRA。64bitプロセッサーを2基使用した新設計のモデルで、内部信号処理はサンプルレート96kHz/32bitで行い、295MHzという高速クロックで駆動しているという。

 入力はハイレベル8ch、RCA入力8chというアナログパートに加えて、デジタルでは同軸(192KHz/24bit)、光(96KHz/24bit)をサポート。DIRECTORと組み合わせれば、手元で 同軸入力と光入力の切換やボリュウム調整が行える。

 試聴して感じたのは、贅を尽くした信号処理と、筐体の作りの良さが、そのまま勢いのある、鮮度の高いサウンドにつながっている印象だ。とりわけ微小信号の再現性が優秀で、その場の空気感、気配のようなものを鮮明に描き出す。

ヴォーカルの息づかいが温かく、手を伸ばせば届きそうなほど生々しい。空間の静けさ、音の立ち上がり、立ち下がりの素早さと、随所でDSPとしての素性のよさを感じさせ、それが馴染みの良さ、聴き心地の良さをもたらす。

 響きの粒子まで感じさせるような繊細な感触はヘリックスの伝統とも言えるが、とにかく微小信号の再現性に長けて、響きが芳醇。それでいて、大振幅の信号はストレスなく空間に放出される。特にハイレゾ音源の再生では、微小信号の解像、空間の静けさが際立ち、目の前の音場のフォーカスがグッと引き締まる感じだ。

 豊かな響きが広い空間を浮遊し、溶け込み、消えていく様子は感動的ですらあった。

美しく磨き込まれた音で、ひとつひとつの音が光沢を放つかのように輝いている
生気に溢れた音と言ってもいいだろう

文=黛 健司

 CDプレーヤーやDAP、純正オーディオなどを接続でき、クロスオーバーやタイムアライメント、イコライザーなどの各種調整機能をもつ汎用型デジタルシグナルプロセッサーは、いまでこそ各社から多種多様な製品が登場しているが、このジャンルの嚆矢は、2006年に登場したロックフォードフォズゲートの3Sixty だろう。その後、他社からも同様な製品が登場したが、2011年、ヘリックスがプロセッサーを発表。音のよいことで定評のあったオーディオテック・フィッシャー社の製品だけあり、さすがにそのクォリティは他を圧倒するものだった。

 DSP ULTRA は DSP PRO MKII の上級機として2019年末に登場したが(日本デビューは2020年1月)、ヘリックス・プロセッサーの「音のよさ」は健在だった。最近聴いた他社のプロセッサーと比べると、サウンドクォリティに関しては、ヘリックスは他を圧倒的に引き離していた。サウンドステージの空間表現が巧みでS/N感がよく、美しく磨き込まれた音で、ひとつひとつの音が光沢を放つかのように輝いている。艶やかで透明度が高く、音楽の躍動感を表現してくれるところもいい。生気に溢れた音と言ってもいいだろう。

 ヘリックスには5機種の単体プロセッサーの他に、4/6/8/12チャンネルのパワーアンプ内蔵タイプもラインナップされ、さまざまな用途、システム構成に対応しているのも見逃せないポイント。

画像: 美しく磨き込まれた音で、ひとつひとつの音が光沢を放つかのように輝いている 生気に溢れた音と言ってもいいだろう

ヘリックス HELIX
Digital Signal Processor
DSP ULTRA
¥230,000—(税別)--

SPECIFICATION
DSP ULTRA
●入力:デジタル・同軸(192kHz/24bit)/光(96kHz/24bit)各1系統、アナログ・RCA8チャンネル、ハイレベル8チャンネル
●出力:RCA12チャンネル
●A/Dコンバーター:AK5558
●D/Aコンバーター:AK4465(2基)
●プロセッサー:アナログデバイセズ社製64bit(2基)、クロック295MHz駆動(サンプリングレート96kHz/32bit動作)
●周波数特性:10Hz〜44kHz
●高調波歪率:0.0004%
●SN比:117dB以上(デジタル入力時)、111dB以上(アナログ入力時)
●出力レベル:5〜-30dB
●調整レベルステップ:0.1dB
●タイムアライメント調整ステップ:3.5mm
●外形寸法:W177×H40×D170mm
●重量:860g
●調整PC接続用USBケーブル付属
◆デジタルフィルター
●ハイパスフィルター:20Hz〜20kHz(1/51オクターブステップ)
●ローパスフィルター:20Hz〜20kHz(1/51オクターブステップ)
●ハイパスフィルター(ウーファー選択ch):20〜300Hz(1Hzステップ)
●ローパスフィルター(ウーファー選択ch):20〜300Hz(1Hzステップ)
●肩特性:
Butterworth・-6/-12/-18/-24/-30/-36/-42(dB/oct.)
Bessel・-6/-12/-18/-24/-30/-36/-42(dB/oct.)
Chebychev・-6/-12/-18/-24/-30/-36/-42(dB/oct.)
Linkwitz・-12/-24/-36(dB/oct.)
Self-define・-12(dB/oct)+Q:0.5〜1.9(0.1ステップ)
◆デジタルイコライザー
●30バンドパラメトリックイコライザー:1/3オクターブ、1/24オクターブ微調整付)
●イコライザレベル調整幅・-15〜+6dB(0.10dBステップ[PC-TOOL V4.50a以降使用時])
●イコライザQ特性・0.5〜15.0(0.1ステップ)
◆タイムアライメント
●調整幅:0〜-708.33cm(3.5mm=0.01msステップ)
◆位相調整
●Low/Full/etc:0度、または 180度
●High/Mid/SubWf:0〜354.357度 5.625度ステップ(31ステップ)
◆調整用ソフトウエア
●ATF DSP PC-Tool V4.XX(Webよりダウンロード)
●対応OS:Microsoft Windows-7/8.1/10(32/64bit)
●システム要件:1GHz以上のCPU、1GHz以上のRAM、25MB以上のHDD空容量、USB2.0ポート、解像度1024×768以上のディスプレイ
◆オプション
DIRECTOR、URC-3コントローラー対応、MTK-1測定器RTAチェック対応

■問合せ先
株式会社エムズライン
電話番号:048-642-0170
Eメール:offce@ms-line.co.jp

This article is a sponsored article by
''.