画像: オートサウンドウェブグランプリはこうして選ばれた
Auto Sound Web Grand Prix 2019:選考について&考察

Auto Sound Web Grand Prix 2019とは
 2019年のカーオーディオ市場において、音質に注目して高い評価を得た製品を選定する。選考委員は、評論家[石田 功、鈴木 裕、藤原 陽祐、黛 健司、脇森 宏、長谷川圭(ASウェブ)]の計6名によって構成する。
 本年のグランプリ受賞数は全11賞、AVナビゲーション3モデル、スピーカー4モデル、パワーアンプ2モデル、DSP3モデルである(うちDSPとパワーアンプは1組合せで入賞)。いずれもそのサウンドパフォーマンスが高く評価された製品ばかり、2019年を代表するカーオーディオコンポーネントとして太鼓判を押せるものだ。ここでは、選考に関する解説と今年の動向についてまとめている。

選考メンバーが協議し各賞を選定

 オートサウンドウェブグランプリ2019は、2018年12月(発表および発売時期の都合で前年選考対象から外れた製品)から2019年12月に発売されるカーオーディオ製品を対象に、音質面で高く評価されるものを選出するものである。選考は先述の6名によって行われる。

 選考手順は、選考メンバー各氏が推薦する製品をノミネート製品とし、対象製品に対する評価を各メンバーが表明し、グランプリに相応しいと判断された製品を選出している。2019年は熟考の末、AVナビゲーション3モデル、スピーカー4モデル、パワーアンプ2モデル、DSP3モデルである。このうちDSPとパワーアンプの組合せ1つをグランプリスペシャルアワードとし、受賞は全11賞とした。

 Grand Prix Gold Award カロッツェリア サイバーナビシリーズ
 Grand Prix Silver Award イートン CORE-S3
 Grand Prix Bronze Award ブラム TSM25MG70HR+WS6Multix
 Grand Prix Bronze Award マッチ M-5DSP MK2
 Grand Prix Special Award ブラックス BRAX DSP+MATRIX MX4 PRO
 Grand Prix オーディソン TH1.5IIviolino+TH6.5IIsax
 Grand Prix グラウンドゼロ GZUA2.250SQ-PLUS/GZUA4.150SQ-PLUS
 Grand Prix ケンウッド MDV-M609HDL
 Grand Prix モレル VIRTUS NANO CARBON 603/VIRTUS NANO CARBON 602
 Grand Prix モスコニ PICO 8|12DSP
 Grand Prix パナソニック CN-F1X10BD

 選考手順は次の通り。

◆選考メンバー推薦による製品ノミネート
◆ノミネート製品に対する採点
◆得点数をもとにグランプリ入賞製品を協議
◆入賞製品の中で特に高く評価できるものに対し、ゴールドアワード以下、シルバー、ブロンズ、スペシャルなどの賞を決定

 本年の場合、11賞のうち、ゴールドアワード1、シルバーアワード1、ブロンズアワード2、スペシャルアワード1としている。スペシャルアワードは、単体コンポーネントとして高評価を得ているものの、組み合わせることでより評価できたため、DSP+パワーアンプの組合せを1賞とした。

すべての製品を試聴取材のうえ評価

 製品の評価については、基本的にオートサウンドウェブの試聴取材環境で実際に音を聴いておこなっている。ステレオサウンド社の試聴室における試聴条件は以下の通り。

〇スピーカーは、独自のプレーンバッフルにマウントして鳴らしている。
〇電源は車載用バッテリーに定電圧電源を接続し、つねにチャージしながら各コンポーネントを駆動。
〇接続ケーブルは、電源、ライン、スピーカーとも車載用製品を使用。
〇各製品ジャンルごと、評論家ごとにリファレンスとなる機器を接続。適宜組合せを変えるなど、できうる限り製品のパフォーマンスが引き出せるよう試聴を行っている。

 いずれの条件も、車載用という製品仕様ではあるものの、オーディオ機器として理想的な再生条件で評価しようというものだ。当サイトの前身でもある雑誌Auto Soundで確立させた試聴スタイルを踏襲した形でもある。

2019年の動向

 本年のグランプリ受賞製品の特長を考察してみよう。
 AVナビゲーションにおいては、近年ハイレゾ音源に対応することで、より高音質な再生を目指した製品が台頭してきている。加えて、2DIN規格に合わせた画面サイズからの大型化が一般的してきており、HD化という高画質モデルがそろってきている。一連のAVナビ進化において、地道な高音質化、電源回路の強化や、音質対策デバイスの採用などが盛り込まれている製品が高い評価を得ている。

 ゴールドアワードを獲得したカロッツェリアのサイバーナビシリーズでは、常時インターネットへ接続できるサービスに対応させることで、ストリーミング音源再生への積極的なアプローチをし、さらに家庭のレコーダーやNASに記録しているファイルをクルマで再生するといった新機軸を打ち出すなど、多方面で評価された。

 パナソニックのDYNABIGスイングディスプレイ搭載のStradaは、業界唯一のBDプレーヤー搭載モデルとしての実力が認められたといえる。

 ケンウッドの彩速ナビでは、ハイレゾファイルの再生対応能力の高さ、高音質DSDファイル再生に加え、カーオーディオ界唯一のMQA-CD再生を可能としている点などが評価されている。

画像1: 2019年の動向

 DSPについては、バリエーションの多様化が進んでいる。PCM192kHz/24bitをダイレクトに受け、ファイル形式を落とすことなく信号処理できるモデルが登場したり、車両純正オーディオをより手軽にしかも圧倒的に高音質化するための小型モデル、ハイレベル入力モデルの登場が顕著である。しかも、デジタルポータブルプレーヤー(DAP)とのデジタル接続を前提とした装備が多くのモデルにみられるようになり、クルマにおけるハイレゾ再生で多くの選択肢が提供される市場ができてきている。

画像2: 2019年の動向

 市場的には大幅な縮小を見せる単体パワーアンプでは、より高性能で高品質なモデルほど注目されているといえる。理由はとてもシンプルで、AVナビゲーションなどの内蔵パワーアンプを超えて優れていると評価できなければ単体パワーアンプとしてのレゾンデートルがないからだ。合わせて、デジタルアンプ技術の進化により小型多チャンネルモデルの実用も進むが、このジャンルではDSPと合わせた製品パッケージとするメーカーが多く、近年では単体パワーアンプとして製品化されるモデルはまれである。

 そんな市場において、ブラックスMATRIX MX4 PROは、同社DSPからのデジタル伝送を受け、アンプ内でD/A変換およびボリュウム調整をおこなう画期的な設計とし高音質再生の新たな道を示した。また、グラウンドゼロでは、出力クラス的にはコンパクトながら、バイアス電流調整機能を装備することで、高品位な中に聴き応えをチューニングできるようデザインするなど、決して新しいスタイルではないものの、今一度単体パワーアンプが欲しくなるであろう音の創造にトライしている。いずれも“ただの”パワーアンプではなく、これでなければ味わうことのできないサウンドが評価された。

画像3: 2019年の動向

 カーオーディオの音を決定づけるスピーカーでは4モデルが受賞した。スピーカーのジャンルは、好みの音という面で評価に差が出やすいのだが、受賞モデルについていえば押並べて評価された製品ばかりである。モレルでは、最上級機種ではないものの、超薄型ウーファーを採用したセパレート型モデルが、巧みな機構設計とそこから繰り出される音で評価された。オーディソン、ブラム、イートンの3ブランドはそれぞれトップモデルが受賞を果たしている。特徴的なのは、いずれもパッシブネットワークを持たないマルチアンプ駆動を前提としたシステムであること。これはハイエンドカーオーディオ市場においてDSPを活用するシステム構成がメジャーであることと無縁でないことを示している。大規模かつ高額なシステムになるが、それほどの物量を投入する価値があるパフォーマンスを示すスピーカーばかりであることも、本グランプリ受賞製品ならではである。

画像4: 2019年の動向

 スペシャルアワードのブラックスDSP&パワーアンプは、それぞれが高評価を獲得しながら、組み合わせて使用した際の圧倒的なパフォーマンスを鑑み、両機合わせての評価とした。ちなみにBRAX DSPもMATRIX MX4 PROもグランプリ入賞として得点上位という結果であったことを付け加えておく。

画像5: 2019年の動向

 各製品の詳細な評価については、それぞれ別記事としてご紹介する。ぜひ参考にしていただきたい。

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画像6: 2019年の動向

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