私は地方出身者で今も本籍は故郷にある。が、こういう企画に接すると、やっぱり「都会はすごいなあ」「東京にはアドバンテージがあるなあ」と思う。なにしろ、カルト的な評価を集めるポーランドの監督ピョトル・シュルキン(1950~2018)の特集上映なのだから。2月21日よりシアター・イメージフォーラムにて日本での劇場初公開となる。
ポーランドは1947年から89年まで「人民共和国」だった。その時代に作られた4作『ゴーレム』(79年)、『宇宙戦争 次の世紀』(81年)、『オビ・オバ 文明の終わり』(85年)、『ガガ 英雄たちに栄光あれ』(86年)が当特集上映のターゲットだ。やはりそうだろうなというべきか、シュルキン監督は常にポーランド当局と衝突し、目をつけられていたという。検閲はどうにかクリアしたようだが、資料によると「当時、本国では上映禁止、以降もポーランド国外に知られることなく……」であったそうで、歳月を経て、それがとにもかくにも他国に広まり、東京への上映につながっていったのは、もはや壮大なロマンであるように感じられる。
皮肉がこもっていて、風刺が利いていて、一種形容しがたい圧も充満しているのだが、ミュージカル的な要素があったり、エンタテインメントとしてもしっかり楽しめるのはシュルキン監督の豊かな技量なのだろう。共産圏がどうのという呼び知識なしで観るのも、それはそれで悪くない考えだと思う。火星人が次々と着陸してきたときに「恐れることはない」と呼びかけていたアナウンサーが徐々に恐ろしい体験をしていく『宇宙戦争 次の世紀』、謎の惑星で酒や女や暴力におぼれる生活が実は一般大衆に生中継されていることに気づいた男の苦悩をラブストーリー的展開もまじえて描いた『ガガ 英雄たちに栄光あれ』がことさら関心をひいた。
特集上映「ポーランド暗黒SF≪文明の終焉4部作≫」
2月21日(土)より シアター・イメージフォーラム ほか全国順次公開
監督:ピョトル・シュルキン
『ゴーレム』1979年|ポーランド映画|93分|原題:Golem
『宇宙戦争 次の世紀』1981年|ポーランド映画|97分|原題:Wojna swiatow - nastepne stulecie
『オビ・オバ 文明の終わり』1985年|ポーランド映画|90分|原題:O-bi, O-ba. Koniec cywilizacji
『ガガ 英雄たちに栄光あれ』1986年|ポーランド映画|84分|原題:Ga, Ga - Chwala bohaterom Ga Ga:Glory to the Heroes, dir. Piotr Szulkin,1985, (C)WFDiF
提供:キングレコード
配給:アンプラグド


