Marantz(以下、マランツ)から、AVプリアンプの新製品となる「AV30」が発表された。発売は3月3日で、価格は¥594,000(税込)。

AV30は、2023年に刷新された新時代のAVプリアンプのフラッグシップモデル「AV10」の流れを汲む製品で、AV10の15.4ch対応に対して、より実用的な11.4chモデルにまとめられているのが特徴。これで5.4.6や7.4.4の立体音響の再生を楽しむことができる。

筐体やデザイン、構造は兄貴分のAV10のそれを踏襲しており、マランツがHi-Fiコンポーネントで培ってきたワイドレンジ、ハイスピードを実現する回路設計やパーツが惜しみなく投入されている。ちなみに、奥行はAV10に比べて9cmほど短くなり(414mm)、質量は5.7kg軽量となっている。奥行が短くなったことで、設置性も高まっただろうか。


プリアンプ回路には、マランツオリジナルのディスクリート高速アンプモジュール「HDAM-SA2」を2枚搭載。左右チャンネルそれぞれに1枚を割り当て、クロストークを排除する設計としている。

HDAM-SA2
DAC部は、ノイズの干渉を排除するために、デジタル回路、アナログ回路から分離した専用基板を起こし、レイアウトしているのに加え、信号回路の最適化も施しているそうだ。電源回路についても、電源トランスの巻き線からDAC専用とし、他のデジタル回路からの干渉を排除する設計としている。なお、DACチップ内部のアナログ専用回路には、AV10にも採用されているディスクリート構成のレギュレーター回路を搭載することで、さらなる低ノイズ化も図られている。

D/Aコンバーター部

新開発の専用電源トランス
DACチップは、AV10と同じく音質面で有利な電流出力型を採用しており、短時間ながらその音質をチェックした際の印象を記すと、電流出力型らしく、メインスピーカーの内側に創造される音空間は密度が高く、厚みと芯のあるサウンドが確認できた次第。8ch対応DACチップを2基搭載している。さらに、DAC近辺にジッターリダクション回路を配置することで、ジッターを効果的に抑制し、明瞭な音像と透明感ある空間表現を実現した、としている。
機能面もAV10を踏襲しており、対応する音声フォーマットとしては、立体音響のドルビーアトモス、DTS:X、加えてIMAX ENHANCED認定も取得しているし、AURO 3Dにも対応する(11.1ch)。さらに、MPEG-H 3D Audio(360 Reality Audio)やMPEG-4 AAC(新4K/8K衛星放送のフォーマット ステレオ・5.1ch)も楽しめる。なお、AV10ではDTS:Pro対応を謳っていたが、これは13.1ch以上のフォーマット(空間オーディオ処理)に対応するもので、AV30では11.4chになったこともあり、従来通りのDTS:Xという表記になった、ということだ。
映像面では、AV10にはなかったビデオコンバージョンに対応し、コンポーネント映像入力(1系統)、コンポジットビデオ入力(RCA)を備え、480i入力した映像をHDMIから出力できる(入力ママの映像)。
ネットワーク面では、HEOSに対応しており、モジュールもより処理速度の速い最新のパーツにアップグレードされているそうだ。これにより、Amazon Music、Qobuz、Spotifyなどのストリーミングサービスや、Roonをサポートするほか、Bluetooth、Wi-Fi、AirPlay2も備えているので、様々なデバイスからのワイヤレス再生も可能。フロントパネルのUSBポート直挿しのUSBメモリーからの再生もOKだ。対応フォーマットはDSD(2.8/5.6MHz)、PCM、FLAC、ALACなど多彩。サンプリング周波数も192kHz/24bitまで対応。なおBluetoothは送信にも対応しており、再生中の音声をBluetooth送信し、ワイヤレスヘッドホン・イヤホンで聴取することもできる。
ほか、フォノ入力(MM)、スマホ/タブレット用アプリ「Marantz AVR Remote」対応、アンプコントロール端子装備などのフィーチャーを備えている。
ちなみに、AV10には相棒となるパワーアンプとして「AMP10」があったが、本AV30では未設定なため、おススメは? と担当に聞いてみると、本国では対となる「AMP30」という6chパワーアンプが設定されているが、日本未発売のため、AMP10か、今お使いのパワーアンプを、という回答だった。

右がAV30、奥はAMP10
さて、発表会でいくつかのコンテンツを視聴できたので、その印象を簡潔に記すと(システムはスピーカー800シリーズ ダイヤモンドによる5.2.6構成)、定位感や方位感は優秀で、緻密でクリアでありながら、電流型らしさを感じる厚みのあるサウンドが楽しめた。コンテンツによってはより野太さも感じるサウンドとなっていた。
AV30の主な仕様
プロセッシングチャンネル数:11.4ch
入力感度:アンバランス:200 mV
S/N比:105 dB(IHF-A、ダイレクトモード時)
周波数特性:10 Hz~100 kHz(+1、-3 dB、ダイレクトモード時)
歪率:0.005%(20Hz~20kHz、ダイレクトモード時)
定格出力:バランス(XLR)プリアウト:2.4 V アンバランス(RCA)プリアウト:1.2 V
HDMI端子:入力×7(8K対応入力×7)、出力×3(8K対応出力×2)
映像入力端子:コンポーネント×1、コンポジット×2
音声入力端子:アンバランス(RCA)×6、Phono(MM)×1、光デジタル×2、同軸デジタル×2
音声出力端子:11.4chバランス(XLR)プリアウト×1、11.4chアンバランス(RCA)プリアウト×1、ゾーンプリアウト×2、ヘッドフォン×1
その他の端子:ネットワーク×1、USB-A(フロント)×1、USB-A(リア、給電専用 5 V / 1.5 A)×1、セットアップマイク入力×1、Bluetooth/Wi-Fiアンテナ入力×2、RS-232C×1、DCトリガー出力×3、フラッシャー入力×1、マランツリモートバス(RC-5)入出力×1、アンプコントロール×2
無線LANネットワーク種類:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac準拠(Wi-Fi?準拠)
周波数:2.4 GHz / 5 GHz
Bluetooth対応コーデック:SBC
対応アプリケーション:クラシックオーディオ受信 / クラシックオーディオ送信
送信出力 / 通信距離:Class 1 / 約30 m(見通し距離)
電源:AC 100V、50 / 60 Hz
消費電力:80 W
待機電力:0.2 W(通常スタンバイ)/ 0.5 W(CECスタンバイ)
最大外形寸法:W442×H189×D414 mm(アンテナを寝かせた場合)、W442×H254×D414mm(アンテナを立てた場合)
質量:11.1 kg
付属品:かんたんスタートガイド、保証書、リモコン(RC053SR)、単4形乾電池×2、セットアップマイク、マイクスタンド、ケーブルラベル、Bluetooth / Wi-Fiアンテナ×2、電源コード


