テレビと連携して使えるARC対応HDMI入力を備えたアクティブスピーカーが人気を集めているが、まだまだ少数派で、選択肢は限られる。そこでにわかに注目されているのが、好みのスピーカーシステムを同等の使い勝手でテレビと連携できるARC対応HDMI入力装備のプリメインアンプだ。

 ネットワーク機能を備えたモデルであれば、放送やネット動画に限らず、音楽ストリーミングサービスやローカルのサーバーからのファイル再生と、家中の音源をお気に入りのスピーカーシステムで再生可能。家庭用のオーディオシステムの核として、これ以上、スマートかつ、合理的な形態はないだろう。

 なかでもいま私が最も注目しているが、WiiMのネットワーク対応のHDMI入力付プリメインアンプWiiM AmpとWiiM Amp Proだ。本体は、いずれも幅19×奥行19cmと手のひらに乗るくらいの大きさ。アルマイト処理が施された、高さ6cm弱のアルミニウム製筐体は高剛性で、精密機器に思わせる高精度な仕上がりだ。

 WiiMは、米国カリフォルニア州に本社を構えるLinkplay Technologyが手がけるオーディオブランドだ。同社は2014年に設立され、日本では2022年に市場投入されたネットワークプレーヤーのWiiMシリーズで一気に知名度が高まったが、世界的にはその品質の高さと、優れた機能性、デザイン性で、すでに高い評価を得ている存在だ。

Integrated Amplifier

画像: 写真(上)WiiM Amp、写真(下)WiiM Amp Pro

写真(上)WiiM Amp、写真(下)WiiM Amp Pro

WiiM Amp
オープン価格(実勢価格5万1,975円前後)

●寸法/質量 : W190×H63×D190mm/1.84kg
●備考 : AirPlay2対応、Wi-Fi(IEEE802.11 b/g/n/ac。2.4GHz、5GHzデュアルバンド対応。 Bluetooth 5.1対応
●カラリング : スペースグレイ/シルバー

WiiM Amp Pro
オープン価格(実勢価格6万6,000円前後)

●寸法/質量 : W190×H66×D190mm/2.08kg
●備考 : Wi-Fi(IEEE802.11 b/g/n/ax。2.4GHz、5GHzデュアルバンドWi-Fi6対応[6GHz対応トリプルバンドWi-Fi 6Eは近日ソフトウェア・アップデートで対応予定]) 、Bluetooth 5.3対応
●カラリング : ダークグレイ

[共通]
●出力:60W×2(8Ω)、120W×2(4Ω)
●接続端子:アナログ音声入力1系統(RCA)、デジタル音声入力3系統(光、USB Type A、HDMI ARC)、サブウーファープリ出力1系統(RCA)
●対応ネットワークプロトコル:Chromecast Audio、DLNA、Spotify Connect、TIDAL Connect、Qobuz Connect、Alexa Cast
●対応ネットワークサービス:Spotify、Amazon Music、TIDAL、Qobuz、ほか
●問合せ先:(株)エミライ

 

 

外観、機能は瓜二つだがアンプ回路、DAC素子に違いあり

 WiiM AmpとWiiM Amp Proは、カラリングが異なるものの、外観はご覧の通りまさに瓜二つ。機能性についてもほとんど変わらない。前面はLEDステータスライトと音量調整用のノブを備えたスマートなデザインで、背面にはスピーカー端子のほか、RCAアナログ入力、光デジタル入力、ARC対応HDMI入力、サブウーファー用プリ出力などを配置している。

 音楽配信サービスはQobuz、Spotify、Amazon Music、TIDALなどをサポートし、Roon Readyも対応済。USBメモリー、ミュージックサーバーなどローカル音源の再生も可能だ。

 機能面の唯一の違いはAirPlay 2の有無で、WiiM Ampのみ対応。上位機種のWiiM Amp Proではサポートしていない点は要注意だ。なお、取材時には試せなかったが、5月中旬にローンチしたQobuz Connectにもすでに対応している。

 内容的にはアンプ回路およびDAC素子が異なる。WiiM Amp Proでは「ポストフィルターフィードバック(PFFB)」という方式のアンプ回路を搭載、DACチップはともにESSテクノロジー製ながら前者がES9018 K2M、後者がES9038 Q2Mを搭載している。スペックも、WiiM Ampが、SN比98dB(5W)、全高調波歪+ノイズ(THD+N)0.002%(-92dB)、WiiM Amp Proが同120dB(5W)、0.0005%(-105dB)と、明確な差がある。

画像1: 先進&快適機能と高音質が見事に両立!『WiiM Amp / WiiM Amp Pro』米国ハイテク技術集団が作るHDMI ARC対応ネットワーク・プリメインアンプに注目

WiiM Amp Proのリアパネル。スピーカー端子はYラグ/バナナプラグ接続に対応する。端子間隔がやや狭いので、裸線ではなく何らかの端末処理をしたほうがよいだろう。電源コネクターはメガネ型端子の着脱式。HDMI端子は、ARC対応であり、テレビの音響増強用として使う前提となっている

 

 

こなれたWiiM Ampの音が好感触。WiiM Amp Proの音は驚異的だ

 ではまずWiiM Ampから専用操作アプリ「WiiM Home」を使用し、QobuzやAmazon Musicを中心にパナソニックの有機ELテレビTV-65Z95AとHDMI ARC連携を含めて確認した。スピーカーはHiVi視聴室リファレンスのBowers & Wilkins 805 D4。ヴォーカル、ピアノと、普段から聴き慣れた楽曲、動画コンテンツを中心に再生したが、レンジは欲張らず、小気味よく聴かせるタイプで、声のニュアンスの表現も悪くない。HDMIの機器連携動作も安定している。10分、20分と聴き続けていくと、音の骨格がより明確になり、中低域の吹き上がりにも余裕が感じられるようになる。デジタルアンプではよくあることだが、本来の実力を引き出すには10分ほどのアイドリングが必要と考えておいた方がいいだろう。

 

画像2: 先進&快適機能と高音質が見事に両立!『WiiM Amp / WiiM Amp Pro』米国ハイテク技術集団が作るHDMI ARC対応ネットワーク・プリメインアンプに注目

WiiMは「WiiM Home」という非常に使いやすい設定/操作アプリが用意されている。ネットワーク設定なども画面の指示に従っていくことで、スムーズにセットアップできる

画像3: 先進&快適機能と高音質が見事に両立!『WiiM Amp / WiiM Amp Pro』米国ハイテク技術集団が作るHDMI ARC対応ネットワーク・プリメインアンプに注目

WiiMは、今回取材した2モデルや単体プレーヤーWiiM Ultraなどと同様に非常に多彩な音楽ストリーミングサービスに対応している。スポティフィやアマゾン・ミュージック・アンリミテッド、TIDAL、そしてQobuzに対応。Qobuzは5月中旬からスタートした「Qobuz Connect」にも対応済だ

 

 ここでWiiM Amp Proに変更。WiiM Amp同様、聴き初めは遠慮がちで、どことなくよそよそしい雰囲気の鳴り方だったが、そのまま再生を続け1曲、2曲終わる頃には目の前の霧がスッと晴れて、実に堂々とした、勢いのあるサウンドを奏でるようになる。

 そして私が最も心ひかれたのは「My Heart Will Go On」を歌うセリーヌ・ディオンのビブラートの美しさだ。彼女特有の声のゆらぎがざわつくことなく、優しく、おおらかに歌う様子が、実に清々しい。

 しかも音の勢い、反応の良さにも不満がなく、中域から低域にかけてのグラデーションの描き分けも滑らか。今回は、このクラスのアンプにとってはなかなか手ごわいスピーカーシステムである805 D4を相手にここまで鳴らすとは……。正直驚いた。

 デザイン、機能性、そしてサウンドクォリティと3拍子揃った先進的なプリメインアンプのWiiM AmpとWiiM Amp Pro。その価格差は約1万5,000円。私ならワンランク上のクォリティを実現したWiiM Amp Proを選ぶ。

 

>本記事の掲載は『HiVi 2025年夏号』

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