先ほど2025年夏のラインナップを発表したTVS REGZAだが、その新製品説明会では新しい技術展開として、116インチのRGB Mini LEDバックライト搭載液晶テレビも展示されていた。
レグザでは2023年末に100インチ液晶テレビ「100Z970M」を発表、大きな話題を集めた。同社ではその後も「110Z990R」「100Z770N」と100インチクラスの “新世代ビッグサイズ” をリリース、家庭での高品質な大画面体験を提唱し続けてきた。

今回参考出品された116インチRGB Mini LED液晶レグザは、そこにRGB独立駆動LEDバックライトを搭載して、さらなる高品質の世界を目指そうというものだ。
TVS REGZA株式会社 取締役副社長 石橋泰博さんは、「レグザは常にリアルを追求をしてまいりました。これまでにない自然で色鮮やかな高画質を実現をしたいと考えております。そこで新しくRGB Mini LEDバックライト搭載機を、2025年中の商品化を目指して開発を加速をしているところでございます」と、まさに等身大サイズの画面を示しながら紹介してくれた。

RGB Mini LEDバックライトのサンプルも展示。これまでのバックライトは白黒だったが、RGB LEDになることでバックライト自体がカラー化されている。LEDの仕様や配置などは116インチモデルとは異なるタイプとのことだが、製品化の際のバックライト駆動イメージはこれに近いそうだ

RGB Mini LEDのアップ。ひとつひとつのチップの中にRGB 3個のLEDが収納されており、RGBの光り方に応じて写真のように様々な色が再現できる
RGB LEDとは、ひとつのセルの中に赤/緑/青の3色のLEDが並んでいるもの。従来の液晶テレビのバックライトは青色LEDを光らせて、その光を蛍光体や量子ドットシートを使って偏光させて白色光を得ていた。さらにそこにカラーフィルターを組み合わせることでカラー画面を再現するという仕組みだった。
これに対しRGB LEDは3つのLEDを均等に光らせれば、今までよりも純度の高い白色光を再現できるし、3色のLEDを個別に駆動することで、バックライト自体で様々な色を再現できることになる。つまりこれまで以上に純度の高い色再現が可能になるわけで、液晶テレビで4K高精細と広色域の組み合わせを実現できる技術というわけだ。


会場では116インチの試作機で様々な色情報、明るさを持ったデモ映像が上映されていたが、色とりどりの照明を備えた観覧車や、その手前に佇む人物の肌色、グラデーションなどもクリアーに映し出されていた。
担当者によると今回のデモではRGB独立駆動は(ほぼ)行っていないとかで、この画質はRGBで白色を再現した状態に近いようだ。それでも画面全体のヌケ感、輪郭の見え方などに違いが感じられた。純度の高い色が得られることで、4Kの画質がワンステップ向上するのは間違いない。
ちなみにRGB LEDを独立駆動するためには、バックライトのローカルディミングに加えて色の制御も行わなくてはならないので、映像エンジンの負荷は大きくなる。現在はレグザエンジンZRαで制御をしているそうだが、今後はより高精度の制御を行うために専用チップ(新しい映像エンジン?)も必要になるかもしれないとのことだった。
100インチ級大画面には、それに相応しい色や階調再現が求められる。TVS REGZAが取り組んでいるRGB独立駆動LEDバックライトは、まさにそのための技術とも言えるだろう。もちろん65インチや55インチであっても液晶テレビの画質改善には恩恵が大きいはずで、今後の製品登場、新展開が楽しみだ。

