超簡単設置ながら本格画質。色鮮やかな大画面を手に入れよう

 家族が集うリビングのテレビで、手軽に人気アニメ作品を楽しむのも悪くないが、4K&HDR映像収録のUHDブルーレイで、アニメーション作品を再生するとなると、50インチや60インチクラスの大画面直視型テレビでもちょっともったいない。劇場での鑑賞に近い感動を期待するのなら、等身大の大画面再生が可能なスクリーンとプロジェクターの組合せがベストだろう。

 とはいえ、プロジェクターでの再生となると、設置性にしても、使い勝手にしてもハードルが一気に上がってしまうのも事実だ。具体的には、スクリーン投影には基本的に全暗(もしくはそれに準じた)環境が必要になるし、オーディオ機器との連携も不可欠。もちろんテレビ放送チューナーも非内蔵。しかも4K表示対応の本格派モデルとなると、本体もそこそこ大きい。

 もっと簡単に、手軽に楽しめるプロジェクターが欲しい! そんな声に応えて登場したのがJMGO(ジェイムゴー)のDLPプロジェクターN1Sシリーズだ。可愛らしいコンパクトなデザインと、圧倒的とも言える使い勝手の良さで人気を集めている。 

 

JMGO

画像1: 大画面でアニメを満喫しよう!4Kプロジェクター『JMGO N1S Pro 4K』【UHDブルーレイで楽しむ にほんアニメ】

4K Projector
JMGO N1S Pro 4K
¥296,780 税込

● 型式:ジンバル型4Kプロジェクター
● 投写デバイス:0.47インチDMDデバイス
● デバイス解像度:水平1,920×垂直1,080画素
● 表示解像度:水平3,840×垂直2,160画素
● 投写レンズ:1.2倍単焦点・電動(自動)フォーカス
● ジンバル可動角度:上下135度、左右360度
● 光源:3色レーザー
● 光出力:2,350 ISOルーメン
● コントラスト:1,600:1(ネイティブ)
● 接続端子:HDMI2系統(うち1系統はeARC対応)、アナログ音声出力1系統(3.5mmミニフォーン)ほか
● 消費電力:180W以下
● 騒音ノイズ:26dB以下
● 寸法/質量:W241×H236×D203mm/約4.5kg
● 備考:Google TV搭載、Wi-Fi、Bluetooth対応
● 問合せ先:(株)日本ビジネス開発 

 

 水平方向は360度、垂直方向は135度回転することができるジンバル一体型設計が特徴的で、シームレスかつ高精度な自動台形補正が可能。オートフォーカス機能も備える。つまりテーブルやラックにポンと置いて、白壁にそのまま投写して等身大の大画面が楽しめるわけで、本体を上に向ければ、ベッドに横たわった状態で、天井に映像を映しての鑑賞が可能。この手軽さ、フットワークの良さはプロジェクターの常識を大きく越えている。

 Google TV OSを内蔵しているので、Wi-Fiの環境下で、電源さえ確保すれば、YouTubeやNetflix、Disney+、Amazon Prime Videoなどの様々な動画配信サービスの視聴が可能(有料配信は個別の契約が必要)。

 テレビチューナーは非搭載だが、HDMI入力を活用してレコーダーとの連携が可能。放送系のコンテンツを扱うTVerや、対応レコーダーやテレビを連携して放送/録画済番組を再生できるDiXiM Playなどのアプリを活用することで、現状のほぼ全ての動画が楽しめるというわけだ。

 音声についてはステレオ仕様のスピーカーシステムを内蔵、しかもこれが音も悪くない。特に声の明瞭度が高いため、YouTubeやTVerといったコンテンツであれば、十分対応できるクォリティと言っていいだろう。

 映画、音楽ライヴ、そしてここでのテーマであるUHDブルーレイでのアニメなど、大画面に相応しいサウンドを求めるのであれば、eARC HDMI端子の活用をおすすめしたい。KEFのLSX Ⅱ、エラックDCB 41、テクニクスSC-CX700などのアクティブスピーカー、あるいはサウンドバーなど、同端子を装備したスピーカーシステムとの連携動作が可能で、内蔵スピーカーと同じ感覚で操作できる。またBluetoothスピーカーとのワイヤレス接続についてもサポートしている(SBC/AAC対応)。

 つまりN1Sシリーズは、大画面テレビと同等とは言わないが、それに極めて近い快適な操作性、機能性を備えたプロジェクターなのである。

画像2: 大画面でアニメを満喫しよう!4Kプロジェクター『JMGO N1S Pro 4K』【UHDブルーレイで楽しむ にほんアニメ】

映像入力端子としてHDMIを2系統装備。向かって右側の端子がeARC/ARC対応となり、HDMI eARC/ARC対応音響機器との接続にも使うことができる

 

 

RGBレーザー光源で高輝度、広色域を実現

 今回、とり上げるのはN1Sシリーズの中核となる4Kプロジェクター、N1S Pro 4Kだ。

 ジンバルスタンド一体型のお馴染みのデザインを踏襲しつつ、DMDの画素ずらしによる4K&HDR映像表示、RGBレーザー光源による高輝度性能(2,350 ISOルーメン)、そしてBT.2020色域を超える超広色域と、プロジェクターとしての基本性能の高さでも、存在感をしっかりとアピールしている。

 投写レンズは固定焦点タイプで、光学ズーム機能はない。投写距離は100インチで2.6m、120インチで3.3m、150インチ4.0m前後。また白、グレー、ベージュなどの壁に投影する場合に、色味を自動調整する「壁面色自動適応」や、スクリーンのサイズに投写サイズをデジタル調整する「自動スクリーンフィット」といった機能まで装備している。

 心臓部のDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)は、フルHD解像度仕様の0.47型。高度な画素ずらし技術(XPR。eXpanded Pixel Resolution)と、RGBレーザー光源との組合せで、明るく、鮮やかな4K映像を描き出す。HDR表示はHDR10、HLGに対応済だ。

 高効率のレーザー光源を採用する家庭用プロジェクターは珍しくないが、青色レーザーで蛍光体(黄色の場合が多い)を叩き(励起:れいき)、白色の光源を確保するシステムが一般的だ。この場合、単板式DLPプロジェクターでは、光源に水銀ランプを使ったモデルと同様、高速で回転するカラーホイールが必須となる。

 ところがN1S ProではRGBの各レーザーを高速で切り替えてフルカラー表示するため、カラーホイールは必要ない。当然、高効率で静か、色純度も有利だ。実際、スペックを見てもBT.2020色域のカバー率はなんと110%に達している。この数値は家庭用の映像機器としては驚異的だ。

 この他にも、金型作成した400セグメントの複眼層を4枚重ねにして、そこにレーザー光を通すことで明るさムラや色ムラを抑える「Microstructure(微細構造)」や、上下左右にランダムに振動する拡散板でスペックルノイズを抑える「LSR(Laser Speckle Reducer)」といった高度な光学技術を惜しむことなく投じている。

ホーム画面

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本機はGoogle TV OSとスピーカーを内蔵したプロジェクターなので、Wi-Fi環境があれば、本体だけで大画面再生が楽しめる。NetflixやYouTube、Amazon Prime Videoなどの動画アプリがプリインストールされている

 

プロジェクター設定

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設定はGoogle TVの流儀通りであるが、本機独自の「プロジェクター設定」が用意され、様々な調整が可能だ。本機の実力をフルに発揮させる使いこなしは、ここから行なおう

 

手動フォーカス

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プロジェクター使いこなしの基本であるフォーカス(ピント)調整は、台形補正とともに瞬時かつリアルタイムに自動で行なう。厳密なピント調整は「フォーカス」項目から手動で追い込める。できるだけシャープな映像になるポイントを探す

 
投影方法

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本体から正面に画面を映すのが基本の使い方だが、スクリーンの後方から映す「リア」投写や、天吊り投写(フロント、リアの両者に対応)や「自動垂直反転」表示などもサポートしている

 

 

120インチ大画面で視聴。設置は非常に簡単だ

 早速、その実力を検証していこう。視聴室常設の120インチサイズのリファレンススクリーン(キクチDressty 4K G2)との組合せでは、投写距離は本体先端から約3.3m。本体の奥行寸法は203mmで、頑張れば6畳(江戸間だと約352cm×264cm)での投影も可能かもしれないが、ジンバルスタンドがやや後方に迫り出し、HDMI端子も最後部に配置していること、さらにスピーカーのことを考えると、8畳~10畳前後のスペースは欲しいところだ。

 今回は、教科書通り、スクリーン手前約3.3mのポイントに、できるだけ画像補正が働かないように本体の高さを物理的に調整して設置。スクリーンに対してできるだけ本体を正対状態とした。映像は自動的に台形補正やフォーカスを調整する機能があり、すぐに映像が表示される。これでほぼ問題はないが、さらに追い込みたい場合は、本体から手動でフォーカス調整も可能だ。画面を見ながらリモコンの上下ボタンで微調整できる。中央部と周辺部のフォーカスを極力、均一に調整するのがコツだ。基本的なセッティングはこれで完了。

 映像モードには「ビビッド」、「標準」、「ソフト」、「映画」、「オフィス」、「ユーザー」が用意されており、「ユーザー」選択時には「明るさ」、「コントラスト」、「彩度」、「色相」、「シャープネス」など多彩な調整が可能になる。

画像モード

画像7: 大画面でアニメを満喫しよう!4Kプロジェクター『JMGO N1S Pro 4K』【UHDブルーレイで楽しむ にほんアニメ】

デフォルトの映像モードは5つ。UHDブルーレイをHDMI接続して全暗環境で観るのであれば、最もフラットな映像表示が可能な「映画」もしくは「ユーザー設定」を使うのがおすすめだ

 

壁面色自動適応

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スクリーンを使わずに壁面投写を行なう場合は、壁紙の色に影響して、正しい色の表示ができないケースがある。本機は自動で「校正」する機能があり、色偏差を自動調整できる

 

デジタル出力

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本機搭載の音響システムは、プロジェクター内蔵のものとは思えないほどのレベルではあるが、HDMI対応サウンドシステムとの連携でさらなるグレードアップが可能だ。AVセンターであれば、「バイパス」に、2ch対応プリメインアンプならば「PCM」に設定しよう

 

 

全暗はもちろん少々明るい環境でも大画面がしっかり楽しめる

 手始めにパナソニックの4KレコーダーDMR-ZR1をHDMI接続、本体に録画済の4K放送(映画、音楽ライヴ、大リーグ中継など)を「標準」モードで確認してみたが、その明るさと発色の鮮やかさに驚かされる。「標準」モードということもあるが、照明を少し残した状態でも、十分に鑑賞に堪えるようなスクリーン映像が得られる。HiVi視聴室で行なう普段のプロジェクター取材では望むべくもない明るさだ。

 これなら一般家庭のリビングルームで使った場合、遮光タイプではない普通のカーテンであってもそれを閉めた状態なら、ニュースやドラマ、スポーツ中継などはそれなりに明るく楽しめるだろうし、夜、ダウンライトや間接照明を上手く配置すれば、灯を残しつつ映画に没頭することも可能だろう。灯りを消し、全暗環境にすると、当然ながら、黒が締まりハイライトが伸びて、明暗のコントラストがいっそう明確になる。ドジャースタジアムの芝生とアンツーカー(人工土)のコントラストが鮮やかに浮かび上がり、大谷選手のドジャーブルーも際立つ。

 4K放送のHLGコンテンツの再生が苦手なDLPプロジェクターが少なくないが、本機はコントラスト感、色調、輪郭の滑らかさと、違和感がない。ハイライトでも不自然に色が抜けることがなく、東洋人のフェイストーンも安定していた。プロジェクターとしての基礎体力の高さをしっかりと感じさせるクォリティ感だ。

 

画像10: 大画面でアニメを満喫しよう!4Kプロジェクター『JMGO N1S Pro 4K』【UHDブルーレイで楽しむ にほんアニメ】

投写レンズを真上に設置でき、しかもスタンドが水平方向に360度、スムーズに回転できるので天井も含めて様々な場所で大画面が楽しめる

 

 

テレビ感覚で楽しめながら本格的画質を備えた逸品

 UHDブルーレイでジブリ映画最新作『君たちはどう生きるか』を再生。映像モードは「映画」を選択。実母ヒサコを火事で亡くした後、主人公・眞人が新しい母となるヒサコの妹・夏子と会い、母方の実家へと向かう冒頭部から視聴したが、予想通り、見栄えのする色再現が特徴的だ。

UHDブルーレイ
『君たちはどう生きるか 4K UHD』
(ディズニーVWBS7536)¥11,880 税込

 

 黒の締まりは中庸だが、黒浮き、黒つぶれは気にならず、自然なコントラスト感を確保している。草、木々の多彩なグリーンといい、夏子の着物の微妙なトーンの色調といい、単に鮮やかさを強調するのではなく、微妙な色調の変化、グラデーションを丁寧に描き出す。

 アニメでも重要視されるフェイストーンについても、左側から影が差し込む夏子の顔を、ざわつくことなく、安定したテイストで再現し、不安を隠しきれない眞人の表情も、演出がオーバーにならず、あるがままに感じさせてくれた。プロジェクター内蔵の音も大迫力とまではいかないが、想像以上に健闘している印象で、決して悪くはない。

 また、意図的にHDR感を強く演出しているように思われた映画冒頭の、灯火管制下の夜の街、そして火事のシーンでは、黒の引き込み、ハイライトの明るさを意識させながら、炎の色をしっかりと乗せて、微妙な濃淡までしっかりと描き分けてみせた。

 単板式DLPプロジェクターで問題になりやすい色割れノイズについては、皆無とは言えない。ただ『君たちはどう生きるか』のように字幕表示の必要がない「にほんアニメ」の再生であれば、ほぼ問題はないだろう。

 設置性、機能性、使い勝手と、まさに大画面テレビの感覚で楽しめるプロジェクターでありながら、全暗環境で、設置、フォーカスを徹底して追い込めば、本格的な4Kプロジェクターとしての本領を発揮するという2面性を備え持った欲張りなモデル。この多様性が、今の時代に求められているのかもしれない。

 

>本記事の掲載は『HiVi 2025年夏号』

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