有機ELの画質進化が猛烈な勢いで進んでいる。家庭用大型有機ELパネル製造をリードする韓国LGディスプレイでは、2022年に重水素素材を採用した「EX Technology」を開発。2023年にはMLA(マイクロ・レンズ・アレイ)技術を採用した「META Technology」、2024年にはMLAの進化版「META Technology 2」に到達したが、今年(2025年)は、発光層の構造に手が入り、大幅な高輝度化と色再現性を実現する「Primary RGB Tandem technology」技術を新開発。その量産を図り、高画質ディスプレイの新次元を現実のものとしている。本誌取材陣は、2022年と2023年に続き、有機ELパネル開発の総本山、韓国LGディスプレイへの独占取材を敢行した。(編集部)
画像1: 衝撃の輝度と色。これは 第四の画質革命だ!【LG Display直撃リポート】Primary RGB Tandem technology採用。第四世代有機ELパネルの開発秘話

韓国の首都、ソウルからクルマで約1時間。坡州(パジュ)市にあるLGディスプレイの坡州工場。量産試作および生産ライン、そして同社の中枢といえる研究開発部門が集結した一大コンビナートである

 

「これぞ、有機ELの画質革命だ!」

 その映像を見た私は、思わず、そう叫んだ。昨年8月、韓国はLGディスプレイ・パジュ工場の評価室。LGエレクトロニクスの有機ELテレビG4の画質エンジンはそのままに、パネルを当該モデルのMETA Technology 2(MLA=マイクロ・レンズ・アレイ技術を採用した有機ELパネル)から、今回の新世代パネルに換えた試作機。韓国で販売されている他社の有機ELやMini-LEDテレビとの比較セッションだが、私の見るところ、それらと比べる必要などまったくなく、絶対的な意味で、圧倒的な広大なダイナミックレンジが確認できたのである。

 有機ELだから、黒は徹底的に沈むのはもちろんのこと、高輝度部の階調が極めて明瞭に再現されたことに驚いた。というのも、突き抜けるような明るい映像表現は、これまでの有機ELでは苦手だったからだ。

 サンフランシスコの遠景。坂の上の遙か彼方にあるビル群を撮った、ピーク輝度を4,000nitの状態でオーサリングしたHDR映像。他社製品は、靄のように白く飛んで、ビルの存在が曖昧だが、新しい試作パネルでは、これほど明るい映像であっても階調が非常にリニアで、ビルの存在が明確だった。大海原のショット。白波の中に細かな波が幾重にも立っている。京都の寺院を撮影した鳥居の映像では影と日向の対比が、美しくもダイナミック。色も刮目するほど鮮やかだ。高彩度な真紅の赤がリアルに再現された。

 いまから10年前、液晶に対し圧倒的な黒締まりを実現したのが、有機ELテレビの「第一の画質革命」だとしたら、「圧倒的な輝度の伸びとなめらかな階調再現」と「豊穣な色表現」のコンビは、まさに「第二の画質革命」ではないかと、私は確信した。

 その試作に搭載された新世代有機ELパネルが、量産パネルに進化、2025年の有機ELテレビのフラッグシップ製品として複数のメーカーから登場している。このパネルは、少々長いが「Primary RGB Tandem technology」採用のパネルとLGディスプレイでは呼ぶ(RGB4スタックOLEDという名称で採用しているメーカーもある)。2010年代の量産当初からのスタンダードな「OLEDパネル」を第一世代とすると、2022年の「EX Technologyパネル」は第二世代、2023年の「META Technologyパネル」は第三世代であり、それに次ぐ有機ELの第四世代パネルということになる。

 Tandem(タンデム)とは「2頭立ての馬車」で、業界用語では「積層」のこと。これだけでは、発光層の数は分からないが、新世代パネルは「4層」となる。「層」は一般には「レイヤー」と呼ばれるが、業界では「スタック」という。つまり新世代パネルとは「4層構造」の有機ELパネルというわけだ。「Primary RGB」とは、「原色(英語でPrimay Color)」の強調形だ。「Primary RGB Tandem technology」採用のパネルを本稿では「第四世代パネル」「4スタックパネル」と呼ぶことにしよう。

 

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有機ELパネルは、ガラスを含めて0.6mmという極薄のパネルだが、実はほとんどがガラスの厚さが占めている。発光層やカラーフィルターの厚みは非常に薄く、前者は0.5マイクロメートル(0.0005mm)、後者は2.5マイクロメートル(0.0025mm)。髪の毛の100〜200分の1の厚みとなる、0.0005mm厚の発光層の中に、蒸着で作られる20以上の層があり、その中にさらに4つの発光層がスタック構造で構築されている。有機EL製造がいかに驚異的な技術であることがおわかりになるだろうか

 

 

全て原色発光となった 第四世代有機ELパネル

 LGディスプレイの有機ELパネルは、WOLED(白色の有機EL発光とWRGB[=Wホワイト+Rレッド+Gグリーン+Bブルー]のカラーフィルターでフルカラーを得る)方式は、有機EL層にて複数の原色の発光スタック層と補色の発光スタック層を重ねて発光し、加法混色にて、白色を形成する。このように複数の発光スタック→白色発光→カラーフィルター→WRGB表示→フルカラーを獲得する……という面倒なやり方を採るのは、現在のところ、大型マザーガラスにてサブピクセルまでR/G/Bで発光層を塗り分ける微細製造技術がないからだ。スマホやタブレット程度の小ささならば、R/G/Bの塗り分けが可能だが、大画面テレビ用のパネルはそれはまだ発展途上なので、まず画面全面で白色を得てからカラーフィルターでR/G/Bを獲得、カラーフィルターなどが介在することで明るさの点で不利になるが、Wのエリアをフィルターに入れ込むことで輝度を確保する、これが、WRGB+カラーフィルター方式の有機ELパネルだ。

 

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第四世代有機ELパネルの発光層のイメージ。上(画面表示側)から、R(レッド)+B(ブルー)+G(グリーン)+B(ブルー)の4つの発光層がスタックされている。なお、本ページに掲載している画像は、LGディスプレイがYouTubeで公開している動画からキャプチャーしている

 

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第四世代有機ELパネルの色再現スペクトラムのイメージ。R/G/B全ての波長ピークを高めつつ、GとRの間にある波長(サイドバンド)が減少している。この優れた特性が、単色での色再現性向上の原動力となる

 

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第三世代有機ELパネルの発光イメージ。Y(イエロー)発光層を挟むようにふたつのB発光層を配置。Yは、R+Gの混色であり、Bと合わせることで、4スタック構造と同様にW(ホワイト)が得られるが、効率と色のスペクトラムの点で不利となる

 

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第三世代有機ELパネルと第四世代有機ELパネルでは、発光効率の点で大きな違いがある。ピーク輝度は驚異の4,000nitが得られるだけでなく、同じ映像を表示する場合の電力消費も大幅に減少できる。電力消費が少ないということは、放熱の点でも有利となり、省エネ以外にも高輝度映像を安定的に表示し続けられるという部分で画質面でもメリットが極めて大きい

 

 

 これまでのスタック構造を振り返ると、2013〜2014年までのパネルでは、B+Yの2スタックで白を形成していた。寿命を伸ばす目的で、2015年からB+Y+Bの3スタック構造になった。そして、今回の最新パネルはR+B+G+Bの4スタックに変更。これまでの3スタックでは、原色(B)と補色(YはR+Gを混ぜ合わせた色だ)の混合だったが、今回の4スタックはすべて原色の発光層となる。だから、「Primary RGB Tandem technology」と言う。

 でもちょっと待て、LGディスプレイは、これまで2023、2024年と二世代に渡り、レンズ効果にて輝度を向上させるMLA(マイクロ・レンズ・アレイ)方式を積極的に展開していたではないか。それはたいそう優れたものとして喧伝していた。今回はMLAを止めて、「3スタック+MLA」から、スタックをひとつ加えた「4スタック」にした(MLAはなし)。なぜ突然、大方針が変わったのか。

 大型パネル商品企画のチームリーダー、Sangbum Lee氏は言った。 

大型商品企画チーム長 Sangbum Lee さん

 「これまでMLAとともに発光スタック層を増やす研究もしていましたが、成果はMLAの方が早かった。そこで、まずはMLAを先に商品化しました。その後、4スタック技術の開発も進み、ちょうど時代が輝度だけでなく、色再現も求めるようになったタイミングなので、その両方を満足させる4スタック方式を進めることにしたのです」

 有機ELパネルにおいて、輝度を上げる方法はふたつある。ひとつが発光素子の性能を向上させること、もうひとつが構造の革新だ。これまで採用してきたMLAは超極小のレンズ構造にて、「光をひっぱり出す」(Sangbum Lee氏)というやり方だ。

 

ブリリアントな輝きを実現する 驚異のピーク輝度4,000nit!

 2024年にMLAが進化版に向上し、本構造では最大限の輝度性能を獲得した。「でもテレビメーカーからの要求はさらに高い輝度でした。そこで研究開発も進んできていた第四世代パネルに狙いを定めたのが、2022年のことです」と、大型開発グループ長のWooSup Shin氏は言った。

大型開発グループ長 WooSup Shin さん

 そのきっかけが、素材メーカーにおいて、新しい強力な有機素材が発見されたことだ。そもそも、従来の3スタックで、補色であるY(イエロー)発光層を使っていたのは、当時の技術水準では、R(レッド)とG(グリーン)が単独で安定して発光させるのが難しかったからだ。赤色と緑色を合成した結果の黄色なら、どちらもカバーできるというのが、採用の理由だっだ。2020年前後に、赤色と緑色で高出力にて安定発光する素材が開発された。つまりR/G/Bのそれぞれを単独の発光層に使える条件が整ったのだ。そこで開発されたのが「第四世代パネル」での4スタック発光だ。

 それではなぜ発光層の順番が、画面表示側からみてR/B/G/Bとなったのであろうか。

 「光は単に出るだけでなく、反射により発光体に戻ってきます。発光と受光の相互が干渉します。それを最小限に抑えるために、この並びに必然的になりました」(WooSup Shin氏)

 ポイントは各スタックの発光する光の波長が異なることだ。それが互いに干渉を起こす。そこで波長の相互関係、光の干渉などの観点から、全ての並びを順列組合せで試し、検討した結果、この順番になったという。

 ではその結果、ピーク輝度はどこまで上がったのか。これまでの高輝度化の流れを振り返ると、2022年の第二世代パネル(EX Technology)は1,500nit、2023年の第三世代パネル(MLA)は2,100nit、2024年のMLA進化版パネルは3,000nit、そして今回の第四世代パネル(4スタック)は、さらに1,000nitも上がり、4,000nitを達成したのである。この向上は、発光素材の改良、3スタックから4スタックに発光層が増えたこと、積層の順番、さらには第二世代パネル(EX Technology)開発で学んだ輝度向上のための「ターボ素材」である重水素使用……などの多くの工夫の末の嚇々(かくかく)たる成果といえよう(編註:ピーク輝度とは画面面積3%時の最高輝度値のこと)。

 冒頭の、白部の伸びがたいへんクリアーでブリリアントな輝きが享受でき、影と日向の対比が美的にダイナミックというインプレッションには、確固たる理由があっただ。

 

画像8: 衝撃の輝度と色。これは 第四の画質革命だ!【LG Display直撃リポート】Primary RGB Tandem technology採用。第四世代有機ELパネルの開発秘話

取材では坡州工場内の研究開発内にある画質評価エリアでの、画質比較の場も設けられた。第四世代パネルのほかに、従来の有機ELパネル、他方式の有機ELパネルやMini-LED液晶、マスターモニターなどが並べられ、同時比較方式で画質を厳格にチェックしていた

 

 

第四世代パネルはピュアな色再現も凄い!

 第四世代パネルのもうひとつのハイライトが、色だ。画質評価の立場から、画質専門家のJin Sang Lee氏は、こう考えた。「パネル開発で大事なのは、コンテンツの行く方向を探り、先取りすることです。映像グレーディングの現場では、すでにピーク4,000nitのマスターモニターが普及し始めています。今後は、これほどの高輝度表示ができるディスプレイ環境を前提にした、HDRコンテンツの登場は必至と見ていました。だから第四世代パネルでは、この輝度は実現しなければならない。さらに色に対するニーズが高揚することも分かっていましたから、4スタックの画質を仕込むに当たっては、輝度はもちろんのこと、色もそれに劣らず最重要視しています。トレンドを先んじて、それにふさわしい性能を仕込むことが、われわれにとって重要なのです」

画質チーム長 Jin Sang Lee さん

 そこで、「Primary RGB Tandem technology」のPrimary、つまり原色が織りなす色の革新が、有機ELパネルに新たな価値を付与する。これまでは補色(黄色)が加わった白だったのが、今回はすべて原色のR/G/Bで構成される白だから、カラーフィルターにてピュアなR/G/Bを抽出することが可能になった。

 大型開発グループ長のWooSup Shin氏は言う。

 「3スタックでのイエローから分離するレッドとグリーンは、光波長のサイドバンド(波長の幅)が大きく、各色のそれが重なっていました。今回のR/G/B独立発光では、色出力が大きく、サイドバンドが小さな発光素材を採用しています。なので色が混ざらずに、各色の独立性を確保できました。特に輝度のベースになるグリーンが、補色としてではなくそのまま使えるので、輝度と色再現に著効します」

 このことはLGディスプレイの開発姿勢が、明確に変わったことも意味している。これまでは高輝度命! が進化テーマであったが、ここにきて「色再現重視」が技術開発の大テーマとして追加されたのである。

 WooSup Shin氏は言った。「これまで開発は輝度をいかに上げるかに照準を合わせていましたが昨今、色をもっと良く表示したいというテレビメーカーからの要望が強くなったのも、原色発光へのモチベーションになりました。現代の画質のトレンドは明らかに、高輝度に加えて、色を重視する方向に傾いています。実際のテレビユーザーのニーズも色表現に対して、敏感になってきました。われわれはそれに先んじて、色表現に対して力を注いだのです」

 この課題に対して、ベースになる白色発光自体をR/G/Bの原色のみで生成することで、高輝度時の色再現性を格段に向上させた。低/中輝度の映像では、Wフィルター部分の発光を止める、もしくは弱くし、結果的にR/G/B部分だけが発光する仕組みも導入した。

 その成果は……、BT.2020色域で、2024年パネル(=MLA進化版)ではカバー率が74%だったのが、第四世代(4スタック)パネルでは、約1割向上し、83%にもなった。DCI-P3色域のカバー率は99.5%に達している。色輝度(R/G/Bの各ピーク輝度の合計値)は2023年の第三世代(META Technology)パネルの1,500nitから大幅にアップし、2,100nit。冒頭に述べた京都の寺院にある、鳥居の赤色のダイナミックさには、まさに数値の裏付けがあった。

 

画像9: 衝撃の輝度と色。これは 第四の画質革命だ!【LG Display直撃リポート】Primary RGB Tandem technology採用。第四世代有機ELパネルの開発秘話

左から第三世代有機ELパネル、第四世代有機ELパネル。右下は業務用マスターモニター。晴天のサンフランシスコで撮影された路面電車の様子で、ピーク輝度4,000nitでグレーディングされている画像だ

 

画像10: 衝撃の輝度と色。これは 第四の画質革命だ!【LG Display直撃リポート】Primary RGB Tandem technology採用。第四世代有機ELパネルの開発秘話

その中心部、路面電車のLEDライト部分は極めて高輝度であるが、第四世代パネルだと、個々のLEDの姿がはっきりと表現できている。マスターモニターも含めて、この描写は比較対照製品では表示できていなかった

 

 

信じられないほどの極薄層に4スタック発光層を蒸着にて製造

 しかし実際に第四世代4スタックパネルの製造は極めて難しかったという。私はTaeRim Lee氏に「MLAはたいへん複雑な仕組みなので、製造はたいへんだと思いますが、3スタックをひとつ増やした、4スタックパネルの製造は、順番に蒸着していく発光層をひとつ増やせばよいので、比較的やさしいのでは?」と質問したところ、「とんでもない、あまりに難しいので、一時は製造不可能なのではないかと、深く落ち込んだほどですよ」と反論された。

 有機ELパネルの厚みはわずか0.6mm(600マイクロメートル)。その中で発光層は、0.0005mm(0.5マイクロメートル)。信じられないほどの薄膜だ。その中に4つの発光スタックも含めて、20層以上のレイヤーを垂直方向に積み重ねて製造するのだから、もの凄い微細加工が必要だ。「4スタックの開発が量産まで実現できたのは、奇跡に近いことだと今でも思っています」(製品開発のTae Rim Lee氏)

製品開発担当役員 TaeRim Lee さん

 問題はふたつ。ひとつがレイヤーの厚みの制御。実際の製造工程では、蒸着用ガラスを移動させながら、様々な素材を蒸着させていくのだが、その正確な厚みをどうやってコントロールするかが難しい。ユニフォミティ(画面均一性)も絡んでくるから、余計に難しい。もっともたいへんだったのが、独立した新ラインではなく、これまでの3スタックパネルと同じラインで、時間を違えて製造しなければならなかったことだそう。

 3スタックと4スタックの有機ELパネルでは、レイヤーの数と積層の順番が違う。3スタックはB+Y+Bであり、4スタックはR+B+G+Bだ。当然、蒸着する素材も異なれば、蒸着速度や濃度も異なる。

 製造ラインは絶対に止められないので、いかにスピーディに切り替えるかが勝負だ。あまりにたいへんなので、結局できないんじゃないかと、絶望した時もあった。社内関連部署の専門家と採用予定のテレビメーカーを統合した「タスクフォース(特別任務遂行プロジェクト)」を結成し、どのような条件であれば、きちんとした量産が可能になるか、アイデアを集めて日夜を違わず、徹底的な検討を行ない、連続製造の成就に漕ぎ着けたという。

 ここまで苦労を重ねて開発された4スタックパネルは今度は、採用するセットメーカーがさらに魂を入れ込む番だ。4スタックの高輝度/高彩色がどう有機ELテレビを改革するか、大いに注目である。

 「いまのMLAは3スタック発光パネルで有効ですが、4スタック発光パネルとは、マッチングがいまひとつなので、採用してはいません。ただ、MLA技術を諦めたわけではなく、開発は続けています。今後、新たに装いを変えて、別の切り口で進展する可能性も高いでしょう」と商品企画チーム長のSangbum Lee氏は言う。

 「料理に例えるとMLA技術は、巨匠シェフが作る最高料理を仕立てるテクノロジーです。非常に微細なレンズ構造を精確に造りあげるのは芸術というべき技術です。対して4スタックは、温度や時間が書かれたレシピを基につくる美味料理です。素材の良さ、その組合せの妙がたいへん重要ですね」(WooSup Shin氏)

 革命は始まったばかりだ。有機ELの発展は止まるところを知らない。

 

>本記事の掲載は『HiVi 2025年夏号』

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