トム・クルーズ主演の大ヒットシリーズ最新作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』が公開中だ。日本ではトム・クルーズら主要キャストが来日し、世界最速となる5月17日から先行上映が開始された。様々なフォーマットがある中、DTS:Xの上映がグランドシネマサンシャイン池袋で行われているというので、早速、足を運んできた(その他全国4劇場で上映。コラム参照)。
DTS:XはDTS社によるイマーシブオーディオフォーマットで、4K UHDブルーレイにも採用されているので、ご存知の方も多いはず。劇場でも採用されるようになり、スタジオジブリの『君たちはどう生きるか』や、『ゴジラxコング 新たなる帝国』などが上映されてきた。
グランドシネマサンシャイン池袋での上映館はシアター5のBESTIA対応劇場。BESTIAとはベスト・イマーシブ・オーディオビジュアルの略称で、4KレーザープロジェクションシステムによりHDRに対応し、サラウンド音声も一部の成分を天井や壁の高い位置にあるスピーカーから出力することで臨場感を増している。スクリーンはW15.6m×H6.5mの巨大サイズで、大作映画を楽しむには最適な空間となっている。
鑑賞した回は平日の午後3時過ぎだったが、会員サービスデーということもあり、まずまずの入り。筆者も会員登録しているので、BESTIAの追加料金300円を入れても1500円で入場できた。座った場所はプレミアムシートの1列前。映画は前で観るのが好きな筆者としてはベストな席を確保できた。
本編開始前にはDTS:Xのトレーラーが上映。キューブが破裂して音が飛び散った後は、雨音に続き、いかにもホラーな映像が入ってくるのが楽しい。火災現場の映像でロゴが出て、いよいよ本編の開始だ。
映画の冒頭、本作の敵であるAIのエンティティ(それ)が映し出され、さらに四方八方から様々な人の声が繰り出され、いきなりイマーシブらしさが空間いっぱいに広がる。続いて、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントがメッセージをVHSで聞いた後、外に出るとそこはデモ隊と警官隊がにらみ合う場面。その場にいるかのような喧騒に包み込まれる。遠くを飛ぶヘリの音も生々しい。
宿敵ガブリエル(イーサイ・モラレス)にイーサンとグレース(ヘイリー・アトウェル)が捕らえられ、イーサンが敵の手下を倒す場面では、敢えてその様子を見守るグレースの表情だけを見せ、音だけで感じさせる粋な演出も楽しませてくれる。イーサンが “それ” とコンタクトし、核戦争の地獄絵図を見せられる場面では、重低音がここぞとばかりに鳴り響き、身体にその振動がダイレクトに伝わってきた。
後半は空母やジェット機が出てきて、『トップガン マーヴェリック』のような派手なシーンの連続。最大の見せ場は潜水艦への潜入だが、このシーンの音響はホームシアターでは再現不可能な超重低音の連続で、DTS:Xの面目躍如と言えよう。ボディソニックのようなシートの下から突き上げる感覚を味わうために、また映画館に行きたくなってしまう。ポスターにある複葉機のアクションも移動感満点。生のトム・クルーズが感じた風圧を、観客もそのまま体感できる。
初めて映画館にDTSサウンドが導入された『ジュラシック・パーク』(1993年)では、誰もがTレックスの咆哮に息を飲んだと思うが、今回のDTS:Xサウンドも間違いなく映画の魅力を何倍にも高めてくれる史上最高レベルの出来と言える。
残念ながら、DTS:Xの上映はグランドシネマサンシャイン池袋では先行上映のみで終了してしまったようだが(他の3劇場では上映中)、ヒットの具合によってはまた復活するかもしれない。またこの夏に公開を控えている大作群での採用もあるかもしれないので、音にこだわるのであれば、ぜひチェックして聴き逃しのないようにしてもらいたいところだ。
グランドシネマサンシャイン池袋 https://www.cinemasunshine.co.jp/theater/gdcs/
シネマサンシャインららぽーと沼津 https://www.cinemasunshine.co.jp/theater/lalaportnumazu/
TOHOシネマズ熊本サクラマチ https://hlo.tohotheater.jp/net/schedule/083/TNPI2000J01.do
シネマサンシャイン姶良 https://www.cinemasunshine.co.jp/theater/aira/