クリプトンは、同社ハイレゾ対応アクティブスピーカーの新製品を発表した。オンライン限定モデルで、6月中旬に発売される。

●アクティブスピーカー:KS-11GN ¥64,800(税別、ウォールナット/オーク)

画像: 左が「KS-11GN/O」で、右が「KS-11GN/W」

左が「KS-11GN/O」で、右が「KS-11GN/W」

 同社代表取締役の濱田正久さんによると、クリプトンでは2010年の「KS-1HQM」を皮切りに、多くのデスクトップ用アクティブスピーカーをラインナップしてきた。実際に、新製品のKS-11GNで16シリーズ22ラインナップをリリースしている。

 その中では、ユーザーの使い方、再生ソースの変化に合わせて製品をアップグレードしてきたそうだ。そのために同社製品を愛用しているユーザーがどのようにスピーカーを使っているかをリサーチ、その声を反映している。そこでは、KSシリーズの多くがデスクトップで多く使われていることが判明。これを踏まえて、プライベートスペースをいかに活用するかにも配慮したそうだ。

 新製品のKS-11GNは、コンパクトサイズとハイレゾ音質で人気の「KS-11G」をベースに、サイドパネルを木目調に変更したバリエーションモデルだ。型番の「N」はナチュラルの意味で、黒が基調のKS-11GN/W(ウォールナット)とホワイト仕上げのKS-11GN/O(オーク)をラインナップしている。なお、従来の「KS-11G W/B」(¥59,800、税別)も併売される。

画像: オプションとして発売予定のデスクトップスタントに乗せた状態

オプションとして発売予定のデスクトップスタントに乗せた状態

 スピーカーのスペックは、デンマークTymphany社製63.5mmフルレンジユニットや35W×2のデジタルパワーアンプ、最大192kHz/24ビットPCM対応などKS-11Gと共通。BluetoothはSBC、AAC、aptX Adaptiveにも対応済みだ。

 同社オーディオ事業部長の渡邉勝さんによると、今回はサイドパネルにPP(ポリプロピレン)真空張りを採用した点がKS-11Gとの最大の違いだそうだ。樹脂製のパネル表面に木目柄のPPシートを貼り付けているが、その際にはシートを引き伸ばし、パネルとの間を真空にして圧着している。その結果表面にテンションがかかり、パネル自体の鳴きが抑えられたそうだ。

 そのままではやや硬めの低域になる可能性もあったとかで、渡邉さんは内部の吸音材の材質や量を再検討してチューニングを行っている。吸音材は減らす方向になったそうで、結果としてKS-11GNでは豊かな低域再現が可能になったとのことだ。

画像: デスクトップ使用をイメージしたセッティング

デスクトップ使用をイメージしたセッティング

 さらに今回、クリプトンではKSシリーズの楽しみ方として、デスクトップでの正確な音場感再現を提案する。従来のオーディオ再生では、スピーカーを下底とした正三角形(二等辺三角形)の頂点で音を聞くのがいいとされている。この原則をデスクトップでも守ることで正しいステレオフォニックを体験してもらおうということだ。

 その際は、スピーカーユニットを耳の高さに近づけた方が正しい音場が再生しやすくなる。そこで、KS-11GN用のデスクトップスタンドも検討中とのことだ。KS-11GNの下に敷いて使うタイプはユニットが上を向くように傾斜が付けられており、音が耳に向けて再生される。素材はゴムの木で、適度な硬さを備えているのも特長だという。この他にスピーカー用をアレンジしたタイプも試作されている。

 またそういったデスクトップ設置では、L/Rスピーカーの間にPCモニターを設置する場合も多いだろう。しかしそれではモニターで音が反射して定位が曖昧になってしまう。そこで正しい音場を作り出すためのアイテムとして吸音ボードも現在開発中だ。レコードジャケットほどの大きさで、片面は完全吸音、反対側は半吸音(有孔ボード)という仕様で、環境に応じて使い分けてもらいたいとのことだ。

画像: 左が吸音面で、右が半吸音面。こういった使いこなしを提案したいとのこと

左が吸音面で、右が半吸音面。こういった使いこなしを提案したいとのこと

 新製品説明会で、昇降デスクにKS-11GNとPCモニターをセットした環境での音を聞かせてもらった。ここでのポイントが、試作吸音ボードをスピーカーの後ろに設置していることだろう。KS-11GNはリアバスレフなので、背面の壁の素材や距離によっては低音の再現が変化することもある。そういった場合に吸音ボードでチューニングをしてみるといいだろう。

 まずPCモニターの左右にKS-11GNを置いた状態(試作スタンドを使用)でジェニファ・ウォーンズ『ハンター』から「ロック・ユー・ジェントリー」(配信の48kHz/24ビット)を聴く。

 女声ヴォーカルはきちんと伸びていて、冒頭の低音も量感があるが、全体的にややフォーカスが甘めで、情報を描き出すというよりは、ふわっと音を広げていますといった聴こえ方だ。

画像: 試作品のデスクトップスタンド。価格がそれなりになるようで、現在製造方法を含めて検討を進めているとか

試作品のデスクトップスタンド。価格がそれなりになるようで、現在製造方法を含めて検討を進めているとか

 ここで渡邉さんが試作吸音ボードをモニターの前にセットしてくれた。吸音面を前に向けた状態では、明らかヴォーカルの定位が向上する。モニターによる余計な反射音が減って、音像の描き分けが明瞭になったのだろう。声はもちろん、楽器の細かな音まで聞き取れている。一方でこのセッティングでは音源位置がはっきりして、やや分析的に聞こえる気がしなくもない。

 吸音ボードを半吸音側にしてみると、センター定位は保たれたままほどよく音がブレンドされ、オーディオリスニングとして心地よく楽しめる塩梅に落ち着いている。箱庭的なイメージもあるが、ディテイル情報もしっかり把握できるクォリティだ。

 デスクトップの近接試聴の音は、スピーカーの置き方やアクセサリーに敏感に反応する。そういった使いこなしも含めて、KS-11GNのようなデスクトップの世界を楽しんでみるのも面白いだろう。

This article is a sponsored article by
''.