AUGUST 2025 NEW RELEASES - THE CRITERION COLLECTION
THE CRITERION COLLECTION has announced its AUGUST 2025 slate of 4K UHD BLU-RAY(3)and BLU-RAY(4)releases. Amongst them are: : SHOESHINE(1946)THE BURMESE HARP(1956)and FIRES ON THE PLAIN(1959)

4K UHD BLU-RAY/BLU-RAY COMBO RELEASE
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION
美しい竪琴の音に、理想と祈りを込めて全世界に訴える人類愛の歌ごえ!
クライテリオンが贈る8月の4K UHD BLU-RAYタイトル。まず8月5日に登場するのは、名匠市川崑監督作『ビルマの竪琴(総集編)』(1956)と『野火』(1959)である。日米同時リリースとなる『ビルマの竪琴』は、終戦から2年後の昭和22年、作家竹山道雄が児童雑誌「赤とんぼ」に連載した戦後文学の名作の映画化。三話構成の原作は、第一高等学校の教授だった竹山道雄が、戦地に散った教え子たちへ捧げた鎮魂の書でもある。この原作を脚色した和田夏十の脚本を得た市川崑は、第二次大戦のビルマ戦線における日本軍の反省を、同胞の異国埋葬に生涯を捧げる兵士の姿に結び付けた戦争叙事詩に仕上げている。1945年の夏、ビルマからタイへ逃れる途中で終戦を知った井上隊長(三国連太郎)率いる小隊は、米軍により南方の収容所に送られることになる。この時、いまだ抵抗を続ける日本軍の説得に向かった水島上等兵(安井昌二)が、そのまま消息を絶った。時が経ち、収容所に落ち着いた兵士たちは、ムドンの橋でオウムを肩に乗せた水島そっくりの僧とすれ違う・・・。ヴェネツィア国際映画祭サン・ジョルジョ賞受賞。アカデミー外国語映画賞ノミネート。今回のUHD BLU-RAY化では、日活所蔵の35㎜マスターポジからの2022年レストアDSM使用(IMAGICA修復)。映像とサウンドの追加の修復はクライテリオンが行っている。
Japan \ 1956 \ 116 minutes \ Black & White \ 1.37:1 \ Japanese ※ When viewing this trailer, please set resolution to 1080p/HD
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION FEATURES
- NEW 4K DIGITAL RESTORATION OF THE FILM, with uncompressed monaural soundtrack
- SDR/BT.709 PRESENTATION OF THE FILM
- Interviews with director Kon Ichikawa and actor Rentaro Mikuni
- Trailer
- New English subtitle translation
- PLUS: An essay by critic and historian Tony Rayns
Released: AUG 5, 2025
List Price: $49.95 USD(4K UHD + BLU-RAY 2-DISC SET)$39.95 USD(BLU-RAY 1-DISC SET)

当時の国際情勢もあってビルマでのロケーション撮影の許可が下りず、また製作会社の日活や周囲との軋轢もある中で全編国内での撮影が検討された。主要部分の撮影が国内で始まり(美術は『羅生門』『七人の侍』など黒澤明作品で知られる松山崇)封切り日も迫る中、市川崑は「現地での実景の代わりを日本では撮影できない」とビルマ・ロケにこだわり続けており、その折衷案として二部作劇場公開案が提示された。それは1時間ほどの「第一部(中篇)」を編集して劇場公開をして封切り日に間に合わせ、ビルマへの入国許可が下りた後、現地ロケを終えて再編集したものを「総集編」として劇場で公開するというものであった。この「総集編」は、「第一部」の続きを編集した「第二部」を完成させ、さらに編集室で手を加えたものである。「総集編」は市川崑が当初の構想通りに編集した「ディレクターズカット」であり「完全版」である。だが「総集編」公開に日活が難色を示し、最終的に主要都市の映画館で「総集編」、地方の映画館では未編集の「第一部」「第二部」が公開されている。「第一部」は1956年1月21日公開、「総集編」「第二部」は同年2月12日の公開であった。

タイトル | ビルマの竪琴 |
---|---|
年 | 1956 |
監督 | 市川崑 |
製作 | 高木雅行 |
脚本 | 和田夏十 《原作》竹山道雄 |
撮影 | 横山実 |
音楽 | 伊福部昭 |
出演 | 三国連太郎 安井昌二 浜村純 内藤武敏 西村晃 春日俊二 中原啓七 伊藤寿章 土方弘 青木富夫 花村信輝 峰三平 千代京二 宮原徳平 加藤義朗 北林谷栄 沢村国太郎 中村栄二 佐野浅夫 三橋達也 伊藤雄之助 |
4K UHD BLU-RAY/BLU-RAY COMBO RELEASE
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION
市川崑が『ビルマの竪琴』に続いて監督した反戦映画。飢餓という極限状態に追い込まれた日本兵の末路を描き、人間の倫理観を問うた作品である。原作は読売文学賞を受賞した大岡昇平の同名小説。従軍記『俘虜記』同様にフィリピンでの戦争体験を下敷きにしており、内容は『ビルマの竪琴』よりはるかに苛烈、衝撃的である。第二次大戦末期、フィリピン戦線レイテ島で日本軍は極限状態にあった。肺病のため原隊を追い出され、食糧不足のために野戦病院にも入れてもらえず敗残兵となった田村一等兵(船越英二)。山中を彷徨ううち、同じく敗走する仲間の群れに入った田村だったが、飢餓に苦しむ彼らは「猿」と称して戦友の死肉を食べていた・・・。1959年は戦争をテーマにした佳篇が何本か製作されているが、なかでも本作品は大ヒットを記録した小林正樹監督作『人間の條件』と並んで高い評価を受けた。第33回キネマ旬報ベスト・テン選出では、『人間の條件』を抑えて日本映画第2位に輝いている。当初『俘虜記』の映画化を希望していた市川崑であったが、脚本も担当した和田夏十が企画した作品でもあり、問題作ながら大映社長・永田雅一の賛同も得て監督を務めている。
Japan \ 1959 \ 104 minutes \ Black & White \ 2.35:1 \ Japanese ※ When viewing this clip, please set resolution to 1080p/HD
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION FEATURES
- NEW 4K DIGITAL RESTORATION OF THE FILM, with uncompressed monaural soundtrack
- SDR/BT.709 PRESENTATION OF THE FILM
- Introduction by Japanese-film scholar Donald Richie
- Program featuring interviews with director Kon Ichikawa and actor Mickey Curtis
- New English subtitle translation
- PLUS: An essay by critic Chuck Stephens
Released: AUG 5, 2025
List Price: $49.95 USD(4K UHD + BLU-RAY 2-DISC SET)$39.95 USD(BLU-RAY 1-DISC SET)

市川崑は原作に存在した、神を巡るエピソードを意図的に排除している。例えば、田村上等兵が人肉を食べようとするとき、神の手が押しとどめるという場面がある。その後、田村は発狂してしまうが、市川崑は「映像で表現することは無理」と考え、田村の歯が欠けるという演出を施している。その田村一等兵に扮した船越英二は、役作りのため何日間も絶食して鬼気迫る演技を見せ、キネマ旬報ベスト・テンと毎日映画コンクールの主演男優賞を受賞、本作品は彼の代表作のひとつとなった。撮影は全編国内で行われたが、まるで海外ロケを敢行したかのようなムードを作り上げたのは小林節雄の撮影によるところが大きい。大映映画で、またフリーになってからも数々の名作を撮ってきた小林節雄だが、映画賞の栄冠に輝いたのは本作品のみである(ブルーリボン賞撮影賞)。音楽は芥川也寸志。明確な旋律を持った楽曲、そして旋律線を持たず混沌とした響きを持つ楽曲を披露。前者は同じフレーズを繰り返すごとに調号が漸減していく転調、後者は熱帯の空気感をイメージさせる効果を特徴として興味深い。

タイトル | 野火 |
---|---|
年 | 1959 |
監督 | 市川崑 |
製作 | 永田雅一 |
脚本 | 和田夏十 《原作》大岡昇平 |
撮影 | 小林節雄 《特殊撮影》的場徹 |
音楽 | 芥川也寸志 |
出演 | 船越英二 ミッキー・カーティス 滝沢修 浜口喜博 石黒達也 稲葉義男 星ひかる 月田昌也 杉田康 佐野浅夫 中條静夫 伊達信 伊藤光一 浜村純 潮万太郎 |
4K UHD BLU-RAY/BLU-RAY COMBO RELEASE
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION
8月のクライテリオン、そのハイライトはなんと言っても名匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督作『靴みがき』(1946)の4K UHD BLU-RAYリリースであろう。1945年以降、イタリアン・ネオレアリズモは世界映画において、突然で自然発生的に、だが非常に重要な現象として出現した。それは特定の「個」の所産ではなく、一国の人民と国民によって創り出されたものであった。ネオレアリズモが興るための条件の大部分が、ムッソリーニ体制下のファシスト時代に形成され、イタリアの敗戦による政権崩壊の中で始まったという事実に負っている。ファシズム支配に抑圧されていた映画人のエネルギーが、一挙に噴出したイタリア映画界。だが予算が組めない。スタジオがない。撮影機材も揃わない。スタッフや出演者を務める人手もない。そんな敗戦後の貧困と混乱の中で、悪条件を逆手に取った映画製作が進められた。舞台は実際の廃墟の街。照明は自然光とアベイラブルライト(その場にある灯り)。出演者は演技経験のない素人。そして1945年、ロベルト・ロッセリーニ監督が初のネオレアリスト映画『無防備都市』を完成させる。レジスタンスの神父ドン・マロシーニが、ゲシュタポによって銃殺された実話に基づいて製作された、ネオレアリズモの萌芽となる記念碑的作品である。ロッセリーニは翌年、ネオレアリスト映画第2作となる『戦火のかなた』を発表、6章のエピソードから成る戦争群像劇であった。虚構を一切排して、悲惨な現実を見据えた作家眼。セット主体の従来の映画には真似できない迫真性。その徹底したリアリズムは、ネオレアリスト映画第3作となる本作品に引き継がれ、イタリアン・ネオレアリズモを重要な映画運動として確立したのである。1947年、本作品はその高いクオリティが認められてアカデミー特別賞(後のアカデミー外国語映画賞)を受賞、デ・シーカの名を世界に知らしめた。2023年、フィルム・ファウンデーションと国際フィルムアーカイブ連盟の加盟機関チネテカ・ディ・ボローニャが、大規模な修復・復元を実施して完成(同年に限定上映)。本版は4Kレストア/SDR・BT.709仕様となる。
Italy \ 1946 \ 91 minutes \ Black & White \ 1.37:1 \ Italian ※ When viewing this trailer, please set resolution to 1080p/HD
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION FEATURES
- NEW 4K DIGITAL RESTORATION OF THE FILM, undertaken by The Film Foundation and the Cineteca di Bologna, with uncompressed monaural soundtrack
- SDR/BT.709 PRESENTATION OF THE FILM
- Sciuscià 70 (2016), a documentary by Mimmo Verdesca, made to mark the film's seventieth anniversary
- New program on Shoeshine and children in Italian neorealism featuring film scholars Paola Bonifazio and Catherine O'Rawe
- Radio broadcast from 1946 featuring director Vittorio De Sica
- Trailer
- New English subtitle translation
- PLUS: An essay by film scholar David Forgacs and "Shoeshine, Joe?," a 1945 photo-documentary by De Sica
Released: AUG 19, 2025
List Price: $49.95 USD(4K UHD + BLU-RAY 2-DISC SET)$39.95 USD(BLU-RAY 1-DISC SET)

パスクァーレとジュゼッペは仲の良い貧しい孤児同士。ふたりの望みは一頭の馬を購入することであった。占領軍のいるローマで、靴磨きとコソ泥で生活するふたりは、稼いで貯めた金でついに馬を買うことができた。だが物資の横流しや詐欺の容疑で補導され、少年拘置所送りとなってしまう。なかなか口を割らないふたりに対し、警察は自供をさせるべくパスクァーレに罠を仕掛け、ジュゼッペが拷問を受けていると思い込んだパスクァーレは自供してしまう。だがジュゼッペはその自供を裏切りとみなす。悲劇的な結末を迎える本作品は「イタリアの戦災孤児たちは大人の作る社会の犠牲者である」というテーマを持つ。子供時代に養われるべき、基本的な礼節や豊かな感情、生涯にわたる大切な友情や絆といったものが、非人間的な社会環境によって希望もなく打ちひしがれてしまうということを提示してみせたのである。
デ・シーカがやったことを、私はできない。あらためて『靴みがき』を観たが、カメラが消えてなくなった。スクリーンも消え去った。そこには「生」だけがあった。映画監督オーソン・ウェルズ。

タイトル | 靴みがき |
---|---|
年 | 1946 |
監督 | ヴィットリオ・デ・シーカ |
製作 | パオロ・W・タンブレッラ |
脚本 | ヴィットリオ・デ・シーカ チェザーレ・ザヴァッティーニ セルジオ・アミディ チェザーレ・ヴィオラ アドルフォ・フランチ 《原作》チェザーレ・ザヴァッティーニ |
撮影 | アンキーゼ・ブリッツィ |
音楽 | アレッサンドロ・チコニーニ |
出演 | リナルド・スモルドーニ フランコ・インテルレンギ アニエロ・メレ |
バックナンバー:世界映画Hakken伝 from HiVi
バックナンバー:2025年7月のクライテリオン