ORTOFON(オルトフォン)から、MCカートリッジの新製品が発表された。そのラインナップは以下の通り。

MC X10 ¥53,900(税込)、交換針価格¥33,000(税込)
MC X20 ¥89,100(税込)、交換針価格¥53,900(税込)
MC X30 ¥125,400(税込)、交換針価格¥75,900(税込)
MC X40 ¥179,300(税込)、交換針価格¥107,800(税込)

画像1: オルトフォンMCカートリッジの新定番「MC X」シリーズが、4モデルデビュー。高純度銀線のコイルワイヤーやステンレスフレームといった高音質のための技術を投入した

 「MC型といえば、オルトフォン」と思っているレコードファンも多いだろう。1950年代末のステレオレコード登場にあわせて同社が開発したSPUシリーズでは、後に「オルトフォン・タイプ」と呼称される磁気回路が実用化された。この方式の磁気回路は世界中のMC型カートリッジで今なお主流であり、SPUは今日のMC型カートリッジの原器となっている。

 これを「祖」として、オルトフォンは多くのMC型カートリッジを世に送り出してきた。その中でも驚異的な生産数を誇るのが「MC 10/20/30」の名を冠したラインナップだという。今回は、そこに新たに「40」を加えた「MC X」シリーズとして生まれ変わっている。

 MC Xシリーズでは、本体上部のトッププレート天面にハニカム形状のリブを設けている。このリブとトッププレート、カートリッジの背骨となるフレーム部分まで一体成型することで、レコード再生時に発生する不要共振を徹底的に排除できるそうだ。

 トッププレートとフレームには、MC10/20/30シリーズでは初めてステンレス素材が採用されている。ステンレスは、複雑な形状での加工が難しいこと、様々なトーンアームの対応自重に適合可能な重量に収めることが困難であること、それらをクリアーするためには高コストな特殊加工技術を要することから、これまでエントリーモデルを含む本シリーズでの採用は見送られていた。

 しかしMC Xシリーズでは、トッププレートとフレームの素材にステンレスを採用し、その表面にハニカム形状のリブを施すことで、剛性を保持しながら軽量化もあわせて実現している。この結果、先代の「MC Q」シリーズではアルミフレームと磁気回路の組み合わせで自重9gであったのに対し、MC Xシリーズは自重は8.6gに抑えているそうだ。

画像2: オルトフォンMCカートリッジの新定番「MC X」シリーズが、4モデルデビュー。高純度銀線のコイルワイヤーやステンレスフレームといった高音質のための技術を投入した

 なお今回のステンレスフレーム製作では、MIM(Metal Injection Molding、金属粉末射出成型法)と呼ばれる技術が使われている。これは金属粉末に可塑剤を練り合わせ、そのペースト金型に射出成型してから脱脂し、加熱することで元の金属粉末を焼結させる製法だ。高精度かつ自在な形状の部品を均一に量産できることから、今回のシリーズで採用したとのことだ。

 そのステンレスフレームには、新型のMC用磁気回路が固定されている。近年の加工技術の進歩により部品点数を減らすことに成功し、構成部品の一体化と高精度化を一歩進めた結果、磁束密度の分布がより均一になるという成果があったそうだ。

 もうひとつ、全モデルに高純度銀線のコイルワイヤーを使用しているのも新シリーズの特長だろう。音声信号の伝送速度がもっとも速い銀(Ag)は、信号劣化も最小限で済むため、微弱信号の伝送には理想的な金属導体であり、同社でも様々な製品で採用されてきた。この高純度銀線コイルワイヤーは軽質量な十字型のアーマチュアに巻き付けられ、さらにその背後にある各モデル専用のダンパーゴムのはたらきによって、振動系は適切に支持され、不要共振の制動も行われている。

 4モデルの大きな違いとしては、カンチレバーの素材がMC X10〜X30はアルミニウムなのに対し、MC X40はボロンを採用する。適正針圧は4モデルとも2.0g。

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