オーディオテクニカは、アナログレコード用のアイテムとして、VMカートリッジ/ヘッドシェル付きカートリッジを一挙に12モデル発表した。他にも交換針もラインナップされている。
●AT-VM700xシリーズ
AT-VM760xSL ¥96,800(税込)
AT-VM750xSH ¥60,500(税込)
AT-VM750xSH/H ¥69,300(税込、ヘッドシェル付き)
AT-VM745xML ¥55,000(税込)
AT-VM740xML ¥39,600(税込)
AT-VM740xML/H ¥48,400(税込、ヘッドシェル付き)
●AT-VM500xシリーズ
AT-VM530xEN ¥33,000(税込)
AT-VM520xEB ¥17,600(税込)
AT-VM520xEB/H ¥26,400(税込、ヘッドシェル付き)
AT-VM510xCB ¥15,400(税込)
●AT-VM600xシリーズ
AT-VM610xMONO ¥20,900(税込)
AT-VM670xSP ¥22,000(税込)

全12モデルがリリースされた。左奥が「AT-VM700x」で手前が「AT-VM500x」と「AT-VM600x」シリーズ
オーディオテクニカのカートリッジは1979年にAT100系の最初のモデル「AT120E/G」が発売され、続いて「AT150MLX」「AT440ML」などがラインナップされてきた。その後は単品でリリースされていたが、製品ラインが複雑になってきたことを受け、2016年に「VM700/600/500」シリーズとして一新した。
今回の新製品は9年ぶりにシリーズを一新、VMシリーズを音質面・正面で見直し、現代のトレンドに最適化している。また多彩なラインナップを揃えることで、ユーザーに選択の幅とカスタマイズの自由度を提供するとのことだ。
なおリニューアルに当たっては、カートリッジの形状、基本設計は敢えて変更せず、内部のリニューアルで進化を果たしている。こうすることで、長く同社カートリッジを使ってくれているユーザーに不自由が生じないようにという思いもあるようだ。
![画像: 「AT-VM700x]シリーズは、アルミニウムに金メッキ施したハウジングを採用する](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783364/rc/2025/05/14/273fdcebdaab7f957f56fc7b8638a3bfefe2129f.jpg)
「AT-VM700x]シリーズは、アルミニウムに金メッキ施したハウジングを採用する
それぞれの製品はハウジングやカンチレバーの素材、様々な針先の形状を組合せて違いを作り出している。以下では各シリーズの特長を紹介したい。
まず「AT-VM700x」シリーズは、共通でアルミニウム+金メッキのハウジングを採用する。カンチレバーはAT-VM760xSL/VM750xSH/VM745xMLがボロンで、AT-VM740xMLはアルミテーパーパイプが使われている。
針先はAT-VM760xSLが特殊コンタクト針、AT-VM750xSHはシバタ針、AT-VM745xML/VM740xMLはマイクロリニア針という違いとなる。
「AT-VM500x」シリーズは、ハウジングはABS樹脂製で、カンチレバーはアルミニウムパイプという仕様は共通。針先がAT-VM530xENが無垢楕円針、AT-VM520xBEは接合楕円針、AT-VM510xCBは接合丸針を搭載している。
「AT-VM600x」シリーズはモノーラル用のラインナップで、ハウジングはABS樹脂製、カンチレバーはアルミニウムパイプ。針先はAT-VM610xMONOは接合丸針、AT-VM670xSPは接合丸針(3.0mil)を搭載している。

従来のユーザーにも新しい音を楽しんでもらいたいという思いから、交換針も発売する。1979年に発売された「AT120E/G」にも使用可能とのこと
ヘッドシェル付きモデルは、それぞれのベースカートリッジとヘッドシェルの「AT-LT10」を組合せたものだ。
新製品共通の変更点としては、コイルの線材を6N OFCからPCUHDに変更して、アタック感や定位感、音楽的なニュアンスの表現を向上させたという。線材の変更に伴いコイル自体の巻数は抑えているが、これによって音がほぐれて、より繊細で軽快な音が楽しめるようになったそうだ。
またこれまでカートリッジをヘッドシェルに取り付ける際はボルトとナットで固定していたが、新製品ではハウジングにネジ穴を設け、そのまま締め付けられるようにしたそうだ。こうすることでより安定した取り付けが実現できるとのことだ。
音質は現代風のサウンドながら、解像度を求めすぎない調整を行っているようだ。9年前のモデルは解像度重視だったが、今回はそれだけでなく、温度感や湿度感も再現できることを狙っている。音楽を奏でる部分を重視し、VM型でもMC型に近い空気感を出したいと開発担当者は話していた。