パナソニックは、2025年の同社ビエラシリーズについての説明会を開催した。そこでは先に発表されたライフスタイルテレビ「LF2」「LW2」シリーズの特長や使い方についての紹介とともに、Fire TV OSを搭載した4K有機EL/液晶テレビの新製品15モデルも発表された。そのラインナップと市場想定価格(税込)は以下の通り。すべて6月下旬の発売を予定している。

Z95Bシリーズは65インチと55インチを準備
●4K有機ELテレビ
TV-65Z95B 市場想定価格53万円前後
TV-55Z95B 市場想定価格38万円前後
TV-65Z90B 市場想定価格41万円前後
TV-55Z90B 市場想定価格29万円前後
TV-48Z90B 市場想定価格27万円前後
TV-42Z90B 市場想定価格26万円前後

Mini LEDバックライト搭載のW95Bシリーズ
●4K液晶テレビ
TV-75W95B 市場想定価格38万円前後
TV-65W95B 市場想定価格30万円前後
TV-55W95B 市場想定価格24万円前後
TV-65W90B 市場想定価格24万円前後
TV-55W90B 市場想定価格20万円前後
TV-50W90B 市場想定価格17万円前後
TV-43W90B 市場想定価格16万円前後
TV-50W80B 市場想定価格15万円前後
TV-43W80B 市場想定価格13万円前後

有機ELパネルの構造図。右が高輝度と広色域を実現する「プライマリーRGBタンデム」有機ELパネル
ここでは、有機ELテレビ「Z95B」シリーズについて紹介したい。Z95Bは有機ELビエラのフラッグシップとなるラインナップで、今回は「プライマリーRGBタンデム」有機ELパネルを搭載していることが最大のトピックだろう。
同社がいう「プライマリーRGBタンデム」有機ELパネルとは、今年のCESで発表された「RGB 4スタック」パネルのことで、パネル前面から見て赤/濃い青/緑/濃い青の順番で有機EL層を重ねて発光させる仕組みだ。この方式になったことで、今までよりも高い輝度を実現、同時に発光する色がRGB 3原色ということもあり、“かつてない明るさ、色鮮やかさ”を実現したという。
なお有機ELパネルでは、パネルからの放熱をいかに効率的に行なうかが、発光性能を引き出すためには重要となる。パナソニックでは以前から独自の素材を用いた貼り付け構造とバックカバー一体型放熱プレートを採用することでこの点に対策していた。

筐体内部の熱をより効率的に放出する「サーマルフロー」機構を搭載した
今回はさらに新開発の放熱構造「サーマルフロー」を搭載し、放熱プレートからの熱を効率的にテレビの外に放出することに成功したという。サーマルフロー構造とは、レーシングカーの設計などでも使われている「エアロダイナミクス」技術を応用して筐体内部の空気の流れをコントロールするもの。そのためにパネル背面の基板配置、サウウーファーの位置なども見直されたという。
新製品説明会では、65インチのZ95AとZ95Bを並べ、背面下側に設置した透明なケースの中に白い煙を充満、どれくらいの早さで排出されるかのデモが行われたが、Z95Bの方が倍近いスピードで煙が抜けていることが確認できた。この構造では、下側のスリットから空気を取り込んで上部から排出することで熱を逃しているので(いわゆる空冷)、煙の流れが早いほど冷却効果も高いことになる。このデモからも、Z95Bの放熱性能の高さが確認できたわけだ。
このパネルの力を引き出すために、新世代AI高画質エンジン「HX PRO AI」を組み合せている。新たにくっきりした解像感溢れる映像を再現する「ダイナミックディテールエンハンサー」機能にも対応したことで、よりくっきりとした、解像感溢れる映像を楽しめるようになっている。

TV-65Z95Bのスピーカー配置。フロントL/C/Rはラインアレイスピーカーで、ワイドとトップスピーカーは側面と天面にそれぞれ2基搭載する。上側中央はサブウーファー
また有機ELパネルの制御技術「Bright Booster」も進化し、パネルの発光状態を画素ごとに管理、リアルタイムに解析・フィードバックすることで発光性能を最大限に引き出すそうだ。なおこの機能は「Z90B」シリーズにも搭載されている。
スピーカーシステムは、7.1ch大出力仕様に変更された。L/C/Rにはラインアレイスピーカーを継承し、左右側面にワイドスピーカーを、天面には2機のイネーブルドスピーカーを搭載することで、イマーシブ再生も可能になっている。背面には出力30Wのサブウーファーシステムも搭載済みだ。もちろんTuned by Technicsとのこと。
デザイン面では6年ぶりにフルモデルチェンジを行っており、画質と音質を極限まで追い求めてたどり着いたフォルムを目指している。グリル部分にはファブリックのカバーを施し、背面はフルフラットにするなど、壁掛け時にもミニマルな佇まいを実現。転倒防止スタンドとスイーベル機構も搭載している。

有機ELテレビの「Z90B」シリーズ
弟モデルのZ90Bでは、65インチと55インチモデルに3層構造(青/黄色/青)の最新世代高輝度有機ELパネルを搭載した(48/42インチはBrightBooster機能を非搭載)。パネルの配線構造が刷新されたことで、こちらも発光性能が向上し、高コントラストな映像再現が可能になったそうだ。
なおZ95B、Z90Bシリーズはすべて4K/144p入力が可能で、ゲーミング用途としても活躍するだろう。
Z90Bのスピーカーは、フロントL/Rに前向きスピーカーを搭載したことで、くっきりはっきりした音を楽しめるようになった(前モデルのZ90Aは下向きスピーカー)。

W95Bシリーズに搭載されたMini LEDバックライト
一方の4K液晶ビエラは、トップモデルのW95BシリーズにMini LEDバックライトを搭載。バックライトコントロールのエリア分割数を従来の約2.5倍に増やし(65インチの場合)、漏れ光も抑えたことでコントラスト再現も大きく進化させている。
同時に、刻々と変化するパネル性能についても、独自のアルゴリズムで色温度をリアルタイムで把握し、パネル制御に反映することで、バックライトに影響されない鮮やかでリアルな色再現を可能にしている。
その他のW90Bは4K液晶ハイグレードモデルで、W80Bは4K液晶スタンダードモデルという位置づけとのことだ。

なお新製品共通の特長として、新世代AI高画質エンジンの「HX PRO AI」を搭載している。近年のビエラで採用されているFire TV OSも継承し、Prime Videoをクリエイターの意図に忠実に再現する「Prime Videoキャリブレーションモード」での視聴も可能だ。サウンド面では立体音響のドルビーアトモスに対応し、それぞれのスピーカーシステムに応じた再生が行える。