finalから、バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーの新しい可能性を追求したS seriesの新製品となる「S3000」が発表された。本日(4/25)発売で、価格は¥29,800(税込)。

S3000は、S Seriesの第3弾となる有線イヤホン。製品の精度を高めるために、O ring(オーリング)とパッキンを使用し、背面からリアパーツを押し込みネジ止めをすることによって、ドライバーは常にリアからフロントに力のかかった状態で固定。これによって、常に適切な位置にBAを保持し続けることができ、同時に強い密閉を生み出すことを可能にしたという。もちろん、製造の誤差も最小にしているそうだ。
また、BAドライバーには抵抗を直列に入れており、背面のベント(低音を出すための開口孔)にはフィルターを使用し、独自のチューニングを施している、としている。
さらに、音導管には新たに開発した「ファンネルノズル」を搭載。ノズル(音導管)の形状が外側にかけて広がっていく漏斗(ロート)形状となっており、高域減衰を適切に抑制。これにより、十分に伸びながらも刺さることのない滑らかな高音、そしてクリアさと必要充分な量感を両立した低音を同時に実現したと謳っている。
筐体は、剛性の高いステンレスを精緻に切削したパーツで構成。通常の装着方法に加えて、耳掛けタイプの装着にも対応する円筒形デザインを採用している。また、筐体とケーブルコネクターの接合部の角度をやや内振りにすることで、ケーブルが身体にフィットしやすくなり、タッチノイズの軽減もはかられている。
ケーブルの脱着も可能で(コネクターはカスタム2ピン)、付属ケーブルは高純度OFC。柔らかくしなやかな被覆素材の採用で、取り回しも良好。イヤーフックを使用する際にも柔軟に曲がり、快適な装着を実現している。
さて、発売に先駆けて製品を試聴する機会を得たので簡潔に紹介したい。Sシリーズの先発「S4000」「S5000」に比べると黒の筐体は地味に見えそうだが、艶消しブラックの仕上がりはなかなかにシックな印象。金属製ボディだけあって手にした時の質感も良好だ。
音質については、4000//5000とは結構再現性が異なり、ある意味ダイナミック型のような聴こえ方。若干ボーカルの再現は弱いが、聴きやすくまとめられている。ドライバーがシングルBAということもあり、細かい音の再現性は一歩先輩に譲るが、定位がいいので(結構“面”で感じる)、幅広い楽曲との相性はよさそうだ。低域から高域までスッと伸びた音調で、特定の帯域が盛り上がっていないのも好印象。ケーブルは少し安っぽく感じてしまうが、先輩モデルよりも絡まりづらくなっているので、日常使いで便利だろう。
S3000の主な特長
ファンネルノズル搭載でサウンドがよりクリアで滑らかに
高精度な加工が施されたステンレス切削筐体
最適な装着を最優先に考えられたデザイン
高純度OFCケーブル付属
長期的な使用のための修理可能な構造
S3000の主なスペック
筐体:ステンレス
ドライバー:フルレンジBAドライバー1基
感度:103dB
インピーダンス:60Ω
コネクター:2PIN
プラグ:3.5mm
ケーブル:OFCケーブル
ケーブル長:1.2m
質量:20g
付属品:キャリーケース、イヤーピース(TYPE E 5サイズ)、イヤーピースケース、イヤーフック(TYPE A)、ダストフィルター