①「スーパー・レディ/ルーサー・ヴァンドロス」192kHz/24ビット
②「アイム・カミング・アウト/ダイアナ・ロス」192kHz/24ビット
③「Why You Wanna Treat Me so Bad?/プリンス」192kHz/24ビット
④「アフリカ/TOTO」192kHz/24ビット
⑤「Stone in Love/ジャーニー」192kHz/24ビット
⑥「ハートブレイカー/パット・ベネター」192kHz/24ビット
⑦「ホワット・アバウト・ラヴ/ハート」192kHz/24ビット
⑧「Just the Two of Us/グローヴァー・ワシントンJr.」192kHz/24ビット
⑨「The Moon is a Harsh Mistress/Radka Toneff」192kHz/24ビット
⑩「白いノートブック/KOKIA」192kHz/24ビット
最初は特にテーマも決めずに選曲を始めたのだが、ふと、ある時代に該当する楽曲の多くが、Qobuzの上限値である192kHz/24ビットで用意されていることに気付いた。これならば音楽的にも音質的にも満足感のあるラインナップになると思い、今回のテーマを決めた。
筆者のオーディオのメインソースはずばり「歌」である。様々な時代、様々なジャンルの歌を聴くが、内容的にも音質(オーディオ)的にも特に心に響くのが、「1980年前後」の楽曲だ。この時代の楽曲に強く心惹かれる理由を考えれば、完熟した「アナログ音楽制作環境」がもたらす音質的な魅力が大きいのだろうと思い至る。録音やミックスにおいてどこか素朴さの残る1970年前後の楽曲や、デジタルの本格導入で音作りも変質した1990年代以降の楽曲とも異なる、「この時代ならではの音」が間違いなくある。
①②はR&Bの傑作で、時代やジャンルを越えて筆者の音質評価のリファレンスにもなっている。ソウルフルなヴォーカルはもちろんのこと、ベースやドラムスの躍動も存分に引き出したい。
③~⑦はある意味でひねりのないロック/ポップスの選曲ではあるが、特に「アフリカ」が代表するような、緻密なアレンジとミックスはオーディオソースとしてもハイレベル。
ジャズ・ヴォーカルに含まれる⑧⑨は現代に通じる透明感や楽器の煌めきを聴かせつつ、やはりこの時代ならではの豊かな空気感も両立させている点が得がたい魅力だ。ひとつの時代を彩った様々な楽曲を、それらの持つオーディオ的な輝きを、192kHz/24ビットという最高の器で再体験していただきたい。
最後に手前味噌な選曲で恐縮だが、⑩は筆者が企画に携わったKOKIAの新曲。オーディオの試聴曲たり得るようにと音質にとことんこだわった結果、まさに1980年前後を思わせるヴォーカルと演奏のバランス、美しい空気感を伴なう楽曲に仕上がった。偉大な先人たちとの聴き比べもおおいに楽しめるはずだ。
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>本記事の掲載は『HiVi 2025年春号』