JULY 2025 NEW RELEASES - THE CRITERION COLLECTION
THE CRITERION COLLECTION has announced its JULY 2025 slate of 4K UHD BLU-RAY releases. They are: THE BIG HEAT(1953) THE ADVENTURES OF ANTOINE DOINEL (1959 - 79) BARRY LYNDON (1975) CARNAL KNOWLEDGE (1971)and YOU CAN COUNT ON ME (2000)

4K UHD BLU-RAY/BLU-RAY COMBO RELEASE
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION
妻の仇!民衆の敵!職を奪われてなお悪の組織に立ち向かう熱血漢!
クライテリオンが贈る7月のタイトルはすべて4K UHD BLU-RAYというラインナップ。まず7月1日に登場するのは、米フィルム・ノワール全盛期の傑作『復讐は俺に任せろ』(1953)である。殺人課のバニオン巡査部長(グレン・フォード)は、同僚警官ダンカンの拳銃自殺事件の捜査を任される。事件に不審な点はなく、早期解決したかに見えた。だが、ダンカンの恋人ルーシーから連絡を受けたバニオンは、ダンカンが自殺するはずがないという彼女の言葉を聞いて疑惑を抱く。その翌日、残酷な拷問を受けて殺害されているルーシーが発見された・・・。バニオンの捜査は非情な展開をみせ、やがて憎悪に突き動かされた復讐の追撃へと変転していく。共演に、センセーショナルなまでに卑劣な悪役を演じた若きリー・マーヴィン。また前年の『悪人と美女』でオスカーに輝いたグロリア・グレアムがマーヴィンの情婦を演じ、忘れ難い印象を残す。監督はドイツ表現主義映画『ドクトル・マブゼ』『メトロポリス』『M』でドイツ映画黄金期を築き、34年にハリウッドに招かれてからはフィルム・ノワールの先駆者として知られるフリッツ・ラング。
United States \ 1953 \ 89 minutes \ Black & White \ 1.37:1 \ English ※ When viewing this trailer, please set resolution to 1080p/HD
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION FEATURES
- NEW 4K DIGITAL RESTORATION OF THE FILM, with uncompressed monaural soundtrack
- HDR PRESENTATION OF THE FILM(DOLBY VISION / HDR10 COMPATIBLE)
- NEW audio commentary by film-noir experts Alain Silver and James Ursini
- NEW video essay by critic Farran Smith Nehme on the women in the film
- Audio interviews with director Fritz Lang, conducted by film historian Gideon Bachmann and filmmaker Peter Bogdanovich
- Interviews with filmmakers Michael Mann and Martin Scorsese
- Trailer
- English subtitles for the deaf and hard of hearing
- PLUS: An essay by author Jonathan Lethem
- Optional English SDH subtitles for the main feature
Released: JULY 1, 2025
List Price: $49.95 USD(4K UHD + BLU-RAY 2-DISC SET)$39.95 USD(BLU-RAY 1-DISC SET)

原作は1952年12月からサタデー・イブニング・ポスト誌に掲載された、ウィリアム・P・マッキヴァーンの連載犯罪小説(1953年に書籍化)。これをコロンビア映画が当時破格の4万ドルで購入、『ミステリー・ストリート』のシドニー・ボームが細部を変更して脚色している。興行成績や作品評価でも成功を収め、2011年にアメリカ議会図書館国立フィルム登録簿に登録。登録簿は本作品を「戦後の偉大なノワール映画のひとつ。監督フリッツ・ラングの特徴である、様式化されながらも残酷なほどリアルな描写を実現している」と評した。撮影は『麗しのサブリナ』『お熱いのがお好き』のオスカー撮影監督チャールズ・ラング。2024年最新4Kデジタルレストア/HDRグレード版。

タイトル | 復讐は俺にまかせろ |
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年 | 1953 |
監督 | フリッツ・ラング |
製作 | ロバート・アーサー |
脚本 | シドニー・ボーム 《原作》ウィリアム・マッギヴァーン |
撮影 | チャールズ・ラング |
音楽 | ミッシャ・バカライニコフ |
出演 | グレン・フォード リー・マーヴィン グロリア・グレアム ジョスリン・ブランド キャロリン・ジョーンズ |
4K UHD BLU-RAY/BLU-RAY COMBO RELEASE
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION
《風雲児》バリーの華麗なる愛と冒険の大ロマン!
発売延期の危機を乗り越え、遂に登場の運びとなった映像美術の金字塔『バリー・リンドン』(1975 )は、紛うことなき2025年注目のUHD BLU-RAYである。『博士の異常な愛情』『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』と、60年代から70年初頭にかけて立て続けに近未来SF映画を放ってきた巨匠キューブリックだが、意外にも続く本作品は18世紀ヨーロッパに貴族世界を舞台にした歴史劇であった。当時の退廃的な様相と複雑な社会規範を再現し、18世紀絵画の光と質感を喚起させるとともに、消えゆく世界の豊かさ、その中心にある道徳的空虚さを皮肉たっぷりに描き出すことに成功している。アイルランドの田舎貴族レイモンド・バリー(ライアン・オニール)は、恋のさやあてによる決闘の末に相手を倒して故郷を出奔、イギリスへ逃亡する。その後、七年戦争での従軍とスパイ活動を経てギャンブラーとなり、諸国を放浪するバリーはベルギーで女伯爵のレディ・リンドンと出会い、恋に落ちる。そして彼女の夫リンドン卿が心臓発作で死ぬと、バリーはその後釜に収まるが・・・。1844年に出版されたウィリアム・メイクピース・サッカレーの小説『THE LUCK OF BARRY LYNDON(バリー・リンドンの幸運)』(aka. MEMOIRS OF BARRY LYNDON, ESQ.)を下敷きに、キューブリックが脚色。アイルランドの田舎出身の成り上がり貴族バリー・リンドンの野心と恋、貴族社会に対する渇求と挫折を二章構成で描く。第48回アカデミー賞では、作品、監督、脚色賞ほか7部門にノミネート。撮影、音楽、美術監督・装置、衣装デザイン賞の4部門に輝いている。
United States, United Kingdom \ 1975 \ 185 minutes \ Color \ 1.85:1 \ English ※ When viewing this trailer, please set resolution to 1080p/HD
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION FEATURES
- NEW 4K DIGITAL RESTORATION OF THE FILM, with uncompressed monaural soundtrack
- HDR PRESENTATION OF THE FILM(DOLBY VISION / HDR10 COMPATIBLE)
- NEW Alternate 5.1 surround soundtrack, presented in DTS-HD Master Audio
- Interviews with the cast and crew as well as archival audio featuring director Stanley Kubrick on the film's cinematography, costumes, editing, and production
- Interview featuring historian Christopher Frayling on production designer Ken Adam
- Interview with critic Michel Ciment
- Interview with actor Leon Vitali about the 5.1 surround soundtrack, which he cosupervised
- Interview with curator Adam Eaker about the fine-art-inspired aesthetics of the film
- Trailers
- English subtitles for the deaf and hard of hearing
- PLUS: An essay by critic Geoffrey O'Brien and two pieces about the look of the film from the March 1976 issue of American Cinematographer
Released: JULY 8, 2025
List Price: $49.95 USD(4K UHD + BLU-RAY 3-DISC SET)$39.95 USD(BLU-RAY 2-DISC SET)

この作品の構成は真に斬新だ。さらに、キューブリックはおそらく一枚のセルロイドに焼き付けられた中でももっとも魅惑的な映像群を組み立てた。これらの美点は互いに関連している。キューブリックのカメラ、照明、構図における卓越した技巧なしには、この構成は機能しなかっただろう。また、これらの映像が圧倒的な迫力で積み重なるように十分な物語構造を考案していなければ、これほど力強い映像は生まれなかっただろう。映画史家リチャード・シッケル
ご存じのように本作品は、その画期的な撮影技術で高い評価を受けており、同時に4K UHD/HDR鑑賞のハイライトとなる。ウィリアム・ホガースの絵画に基づいた画調、ロングのダブルショット、ゆっくりと動くズームバック、とりわけ蝋燭光のみで室内撮影は必見中の必見となろう。簡単におさらいしておくと、キューブリックと撮影監督ジョン・オルコットは、NASAのアポロ月面着陸計画で使用された(映画撮影史でもっとも明るい超高速レンズと言われる)50mm/T値0.7(T値は光学系の透過率を加味した実質的な明るさを示す指標)のツァイス製スチールカメラ用レンズを、改造したARRIアリフレックス35BLに装着して使用し、人工光を一切使わずに蝋燭光撮影を行っている。このレンズはわずか3カンデラの光で撮影することが可能(現像で1ステップ増感)。ちなみにカンデラは光源から出る光の強さ(光度)を表し、1カンデラは蝋燭1本の明るさとされる。このレンズの大きな欠点は被写界深度が極めて浅く、被写体との距離を厳正に実測して撮影しなくてはならない(本作品のフォーカス・プラーは『フルメタル・ジャケット』の撮影監督ダグラス・ミルサム)。同時に前景や背景は独特のアウトフォーカスとなり、こうした味わいを含めてUHD BLU-RAYの4K/HDR画を楽しんで頂きたい。

撮影技術者ではあるが芸術家ではない私は、スタンリーに当然の疑問をぶつけた。今日入手可能な(キヤノンやツァイス製などの)高品質の超高速レンズと、フィルライト(主光の斜め前方から当てるライト)を組み合わせて使えば簡単に撮影できるのに、なぜわざわざ苦労する必要があるのか、と。彼は、夜の古城の自然な風合いや雰囲気を、ありのままに残したかったからだと答えた。フィルライトを追加すれば、望まない不自然な印象がシーンに加わってしまうだろう、と。ろうそくの明かりのシーンに必要な光量を確保し、映画全体のバランスを整えるため、彼は屋外シーンも屋内シーンも、フィルム全体を1絞り増感で現像した。スクリーンでその成果をご覧になった方は誰でも、彼が映画芸術においてもっともユニークで、もっとも美しい映像を実現することに成功したことに同意すると思う。撮影監督ジョン・オルコット
※ When viewing this clip, please set resolution to 2160p/4k
タイトル | バリー・リンドン |
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年 | 1975 |
監督 | スタンリー・キューブリック |
製作 | スタンリー・キューブリック |
製作総指揮 | ヤン・ハーラン |
脚本 | スタンリー・キューブリック 《原作》ウィリアム・メイクピース・サッカレー |
撮影 | ジョン・オルコット |
音楽 | レナード・ローゼンマン |
出演 | ライアン・オニール マリサ・ベレンソン パトリック・マギー スティーヴン・バーコフ マーレイ・メルヴィン ハーディ・クリューガー レナード・ロシター アンドレ・モレル |
4K UHD BLU-RAY/BLU-RAY COMBO RELEASE
4-DISC 4K UHD + 4-DISC BLU-RAY SPECIAL EDITION
少年期から中年期をひとりの俳優の成長とともに描いた、愛とユーモアの連作
2003年4月、DVD-BOX『アントワーヌ・ドワネルの冒険』がクライテリオンからリリースされた。トランクケースをデザインしたスリップボックスに収まるのは、『大人は判ってくれない』(1959)『夜霧の恋人たち』(1968)『家庭』(1970)『逃げ去る恋』(1979)の各作品でアントワーヌが着ていた服をデザインしたスリップデジパックである。クライテリオンのセンスが光る、世界中のトリュフォー・ファン、映画ファンを虜にしたパッケージソフト史に残るデザインであった。あれから22年。UHD BLU-RAY BOXでも当時のデザインが継承される。短編『アントワーヌとコレット』(1962/オムニバス『二十歳の恋』の一篇)を加えたいずれの作品も、2021年、『オディールの夏』『アーティスト』の撮影監督ギヨーム・シフマンと、『オディールの夏』で撮影アシスタントのを務めた撮影技術者エリック・ヴァレーの監修のもと、仏MK2によって復元された。4Kデジタルレストア/HDRグレードは、『大人は判ってくれない』『アントワーヌとコレット』をフランスのフィルム修復施設エレノア研究所(前身は長い歴史を持つ映画撮影所)、残りの3作品を同じくフランスのポストプロダクション兼フィルム修復施設ハイヴェンティ社が行っている。同年、Mk2から2021年4K HDRマスターを使用したUHD BLU-RAY BOXがリリースされているが、残念ながら予想された完成度には至っていなかった。今回、クライテリオンでは同じく2012年4Kレストア・マスターを採用しているが、新たなクオリティチェックのもとデジタルレストアとHDRグレードの見直しが行われており、映像とサウンドのアップグレードが期待されている。

監督トリュフォーの分身として銀幕に登場した少年アントワーヌ・ドワネル。13歳の彼は、この後20年間、俳優ジャン=ピエール・レオとともに成長し、波乱に満ちた10代の青春時代から結婚、子育て、離婚を経験しながら、恋する喜びと痛みに葛藤する人生を歩んでいく。
※ When viewing this trailer, please set resolution to 2160p/4K
4-DISC 4K UHD + 4-DISC BLU-RAY SPECIAL EDITION FEATURES
- NEW 4K DIGITAL RESTORATION OF ALL FIVE FILMS, with uncompressed monaural soundtracks
- FOUR 4K UHD BLU-RAY DISCS OF ALL FILMS PRESENTED WITH HDR(DOLBY VISION / HDR10 COMPATIBLE)
- NEW 4K RESTORATION OF LES MISTONS. Truffaut's 1957 short film, with commentary by Claude de Givray, Truffaut's then assistant director
- Two audio commentaries for The 400 Blows, one featuring film scholar Brian Stonehill and the other Truffaut's lifelong friend Robert Lachenay
- Archival interviews with Truffaut and his collaborators, including actors Jean-Pierre Léaud, Claude Jade, and Marie-France Pisier and cowriters de Givray and Bernard Revon
- Video essays by film historian Serge Toubiana for Stolen Kisses and Les mistons
- Introducing My Father, François Truffaut, a 2019 interview with Laura Truffaut by filmmaker Daniel Raim
- Trailers
- PLUS: Essays by Annette Insdorf, Kent Jones, Andrew Sarris, Noah Baumbach, and Chris Fujiwara, and a 1971 piece by Truffaut
Released: JULY 15, 2025
List Price: $124.95 USD(4K UHD + BLU-RAY 8-DISC SET)$99.95 USD(BLU-RAY 4-DISC SET)
※ When viewing this trailer, please set resolution to 1080p/HD
4K UHD DISC-1(BLU-RAY DISC-5)- THE 400 BLOWS
France \ 1959 \ 99 minutes \ Black & White \ 2.35:1 \ French ※ When viewing this trailer, please set resolution to 1080p/HD

13歳の少年アントワーヌ・ドワネルは、学校では落ちこぼれ、だが親友との友情、作家バルザックへの敬愛を忘れない少年だ。家出を繰り返す彼は、なにから逃げているのか、当の本人も「判っていない」。おセンチな青春映画の枠組みには収まり切らない本作品は、「大人の」の常識の中でしたたかに傷つけられていく少年を姿を繊細に見つめたトリュフォーのデビュー作。ゴダールの『勝手にしやがれ』と並んでヌーヴェルヴァーグの到来を告げ、その才能が世界を震撼させた瞬間であった。カンヌ国際映画祭監督賞受賞、アカデミー脚本賞ノミネート作。

タイトル | 大人は判ってくれない |
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年 | 1959 |
監督 | フランソワ・トリュフォー |
製作 | フランソワ・トリュフォー |
脚本 | フランソワ・トリュフォー マルセル・ムーシー |
撮影 | アンリ・ドカエ |
音楽 | ジャン・コンスタンタン |
出演 | ジャン=ピエール・レオ クレール・モーリエ アルベール・レミー ジャン=クロード・ブリアリ ギイ・ドゥコンブル ジョルジュ・フラマン |
4K UHD DISC-2(BLU-RAY DISC-6)- ANTOINE AND COLETTE and STOLEN KISSES
France \ 1962 \ 32 minutes \ Color \ 2.35:1 \ French ※ When viewing this clip, please set resolution to 1080p/HD

ドワネル・サーガ第2作となる『アントワーヌとコレット』は、元々はオムニバス映画『二十歳の恋』のために製作された短編作品。ロマンチックで優しき皮肉が込められたささやかな作品であり、17歳のアントワーヌが愛らしくしなやかな20歳のコレットに恋をし、悩める子犬のように追いかける様子が描かれる。本作品に漂うコミカルな甘味と控えめなエゴイズムは、その後のドワネル・サーガの基調を決定づけるものとなった。いよいよ人間タイムマシーン化への1歩を踏み出したレオは、ヌーヴェルヴァーグの象徴的存在へと成長していくことになる。

タイトル | アントワーヌとコレット |
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年 | 1962 |
監督 | フランソワ・トリュフォー |
製作 | フランソワ・トリュフォー |
脚本 | フランソワ・トリュフォー |
撮影 | ラウール・クタール |
音楽 | ジョルジュ・ドルリュー |
出演 | ジャン=ピエール・レオ マリー=フランス・ピジェ フランソワ・ダルボン パトリック・オーフェー |
France \ 1968 \ 91 minutes \ Color \ 1.66:1 \ French ※ When viewing this clip, please set resolution to 1080p/HD

ドワネル・サーガ第3作。20代の青年に成長したアントワーヌが、不名誉除隊で軍刑務所から釈放されるところから映画は始まる。恋人クリスティーヌと再会した彼だったが、ふたりの関係は3年間の空白によっていささかぎこちないものに。クリスティーヌはまだ恋人同士なのか、友人なのか、それとも友人ですらないのか判断できないでいる。だがアントワーヌが人妻に惹かれ始めると、クリスティーヌはが彼が恋しくなり・・・。気まぐれでノスタルジック、そして抑えきれないほどロマンチック。トリュフォーが若者の情熱と衝動に捧げた愛すべき作品。

タイトル | 夜霧の恋人たち |
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年 | 1968 |
監督 | フランソワ・トリュフォー |
製作 | フランソワ・トリュフォー マルセル・ベルベール |
脚本 | フランソワ・トリュフォー クロード・ド・ジヴレー ベルナール・ルボン |
撮影 | ドーニス・クレルバル |
音楽 | アントワーヌ・デュアメル |
出演 | ジャン=ピエール・レオ クロード・ジャド デルフィーヌ・セイリグ マリー=フランス・ピジェ ミシェル・ロンズデール |
4K UHD DISC-3(BLU-RAY DISC-7)- BED AND BOARD
France \ 1970 \ 97 minutes \ Color \ 1.66:1 \ French, Japanese

ドワネル・サーガ第4作。クリスティーヌと結婚し、相変わらず雑用をこなしているアントワーヌ。間もなく父親になることを知るが、若い日本人女性に夢中になったことで結婚生活に破綻をきたすことに。トリュフォーは日本女性の描き方に偏見があったと認める一方で、ドワネル・サーガのなかでもっともコミカルな作品に仕上げている。アントワーヌに思春期と大人の微妙な境界線を自在に行き来させながら、トリュフォーならではの繊細なユーモアと遊びごころを散りばめた演出の見事。

タイトル | 家庭 |
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年 | 1970 |
監督 | フランソワ・トリュフォー |
製作 | フランソワ・トリュフォー マルセル・ベルベール アンドレ・ミュキエリ ハーキュリーズ・ミュキエリ |
脚本 | フランソワ・トリュフォー クロード・ド・ジヴレー ベルナール・ルヴォン |
撮影 | ネストール・アルメンドロス |
音楽 | アントワーヌ・デュアメル |
出演 | ジャン=ピエール・レオ クロード・ジャド 松本弘子 クレール・デュアメル ダニエル・セカルディ バルバラ・ラージュ ダニエル・ブーランジェ ビリー・カーンズ |
4K UHD DISC-4(BLU-RAY DISC-8)- LOVE ON THE RUN
France \ 1979 \ 95 minutes \ Color \ 1.66:1 \ French

クリスティーヌと離婚し、自分の恋愛体験を小説にまとめ出版したアントワーヌ。レコード店に勤める新しい恋人とつき合っているが、別れた妻と息子のことが足かせになっていて、ふたりの関係は良好とはいえない。そんな時、初恋の女性コレット(『アントワーヌとコレット』)と再会、昔話に花を咲かせるが・・・。過去4作品の場面を織り込みながら、自身の混沌とした過去と向き合うことになる33歳のアントワーヌを描いたドワネル・サーガ最終章。

タイトル | 逃げ去る恋 |
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年 | 1979 |
監督 | フランソワ・トリュフォー |
製作 | フランソワ・トリュフォー マリー=フランス・ピジェ ジャン・オーレル シュザンヌ・シフマン |
脚本 | フランソワ・トリュフォー クロード・ド・ジヴレー ベルナール・ルヴォン |
撮影 | ネストール・アルメンドロス |
音楽 | ジョルジュ・ドルリュー |
出演 | ジャン=ピエール・レオ マリー=フランス・ピジェ クロード・ジャド ダニエル・メズギッシュ |
4K UHD BLU-RAY/BLU-RAY COMBO RELEASE
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION
誰も、傷つかずに青春を通りすぎることはできない…
アメリカン・ニューシネマを愛するオールドファンは、『卒業』のマイク・ニコルズ監督作『愛の狩人』(1971)のUHD BLU-RAY化に歓喜の声を上げるに違いない。66年『バージニア・ウルフなんかこわくない』で衝撃の監督デビューを果たし、翌年『卒業』でアカデミー監督賞に輝いたニコルズだが、本作品は初めて製作を兼ねた映画であり、もうひとつの『卒業』と評する向きも多い。原題の『CARNAL KNOWLEDGE』は「肉体関係、性交」の意味。1971年初夏に劇場公開された、センセーションを巻き起こし、大ヒットを記録した(71年興行成績第7位)。大学のルームメイト時代から40代半ばまで、20年以上におよぶふたりの男性の姿を追いながら(当時タブー視されていた)性的欲望、男尊女卑の慣習、夫婦の倦怠、セクシャルハラスメントなどに纏わる男と女の心理を赤裸々に描いていく。そのため、本作品は一部の観客にとっては耐え難いものとなり、いくつかの新聞は広告を見送ることに決め、猥褻罪で最高裁まで争われるほど物議を醸した。胸の大きさだけでセックスパートナーを選ぶ粗暴な女たらしを演じるジャック・ニコルソン。その内気で知的な友人でロマンチストでもあるアート・ガーファンクル。性格も欲望も願望もまったく異なるこのふたりだが、どちらも女性(キャンディス・バーゲンと復活したアン=マーグレット)を物のように扱い、彼女たちの胸の奥に抱く気持ちを理解することができない。交際、肉体関係、結婚といった経験をするものの、それらは熱烈だがすべて短命に終わり、孤独やストレスを抱えながら惨めな人生を歩むことになるのだ。
United States \ 1975 \ 98 minutes \ Color \ 2.35:1 \ English ※ When viewing this trailer, please set resolution to 1080p/HD
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION FEATURES
- NEW 4K DIGITAL RESTORATION OF THE FILM, with uncompressed monaural soundtrack
- HDR PRESENTATION OF THE FILM(DOLBY VISION / HDR10 COMPATIBLE)
- NEW audio commentary featuring filmmaker and playwright Neil LaBute
- NEW program with Mike Nichols biographer Mark Harris and film critic Dana Stevens
- NEW interview with film-editing historian Bobbie O'Steen
- Conversation from 2011 between Nichols and filmmaker Jason Reitman
- Q&A with screenwriter Jules Feiffer
- Radio spot and trailer
- English subtitles for the deaf and hard of hearing
- PLUS: An essay by scholar Moira Weigel and a 1971 piece from American Cinematographer about the look of the film
Released: JULY 22, 2025
List Price: $49.95 USD(4K UHD + BLU-RAY 2-DISC SET)$39.95 USD(BLU-RAY 1-DISC SET)
※ When viewing this clip, please set resolution to 1080p/HD
1940年代後半、マサチューセッツ州にあるアマースト大学に通うジョナサン(ジャック・ニコルソン)とサンディ(アート・ガーファンクル)は対照的な性格ながら、お互いに気の合う友人同士で会った。女子大のダンスパーティに出席したふたりは、スーザンという女子大生と知り合い、サンディはスーザンと付き合うようになる。だがその一方で、ジョナサンもスーザンとデートを繰り返していた・・・。原作は『殺人狂想曲』『ポパイ』のジュールス・フェイファーによる戯曲。当初、フェイファーは舞台劇として構想していたが、脚本を読んだニコルズを強く希望。性的に解放された60年代、70年代のアメリカ社会を舞台に、洞察力に富み、ウィットに富んだ脚本に仕上げている。撮影はフェリーニ作品で知られる偉大なる撮影監督ジュゼッペ・ロトゥンノ。ヴィットリオ・デ・シーカ監督作『ひまわり』の後、アメリカに招かれて撮り上げた作品となる。
映像はできるだけシンプルにしようと努めた。エキストラを除けば、出演者は実質4人しかいないので、『室内楽』に例えられるかもしれない。そのため、シンプルな質感と色彩にこだわることにした。黄褐色、茶色、あるいはクリーム色が主要な色彩で、セットには絶対に必要なもの以外の家具は一切ない。こうした装飾がなくても違和感がないだけでなく、その簡素さが映画に一種の『簡素化された統一性』を与えている。どの映画にも独自の統一性があるべきで、この映画は特にそうです。それは完全にコントロールされているものだ。物語は3つの異なる時代を舞台としていて、1946年に始まり、1961年に別のパートが起こり、そして最後のパートは1970年に展開する。時間の経過を表現するために、3つのパートを異なる雰囲気に仕上げようとした。しかし同時に、すべてを非常にシンプルに保とうとしているので、3つの違いは生み出しているのは、光の使い方にある。撮影監督ジュゼッペ・ロトゥンノ

本作品の修復作業は、2021年に仏スタジオカナル主導で開始。オリジナルカメラネガは修復不可能な状態で、カビの塊の付着は全ロールに及び、ほとんどのショットでマゼンタが変色(緑化)していた。ネガ洗浄と補修に始まる復元作業に多大な労力を要しており、修復作業は10か月に及んでいる。スタジオカナルはテクニカラー・ハリウッドと協力し、修復したデータから三色分解(YMC)ネガを制作。それぞれを4Kスキャンしたデータがカラーグレードのベースとなっている。完成した4Kレストア・マスターは2022年BLU-RAYのマスターとなったが、UHD BLU-RAY化において新たに4Kスキャンを行い、細部のレストアと新たなHDR/SDRグレードが行われている。

タイトル | 愛の狩人 |
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年 | 1971 |
監督 | マイク・ニコルズ |
製作 | マイク・ニコルズ |
製作総指揮 | ジョセフ・E・レヴィン |
脚本 | ジュールス・ファイファー |
撮影 | ジュゼッペ・ロトゥンノ |
出演 | ジャック・ニコルソン キャンディス・バーゲン アーサー・ガーファンクル アン=マーグレット リタ・モレノ シンシア・オニール キャロル・ケイン |
4K UHD BLU-RAY/BLU-RAY COMBO RELEASE
DIRECTOR-APPROVED 4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION
ケネス・ロナーガンの長編映画監督デビュー作にして、2000年屈指の秀作
監督ケネス・ロナーガンと言えば、2016年監督・脚本作『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を思い起こす方も多かろう。この作品でロナーガンはアカデミー脚本賞を受賞、監督賞にノミネートされた。だが業界における彼の名は、舞台演劇活動を行っていた1990年代から知られており、映画脚本第1作ロバート・デ・ニーロ主演『アナライズ・ミー』でも期待通りその才気を如何なく発揮している。その後、マーティン・スコセッシ監督作『ギャング・オブ・ニューヨーク』の脚本(共同)でオスカーにノミネートされるが、その前年、監督デビュー作として撮り上げたのが『ユー・キャン・カウント・オン・ミー』(2000/日本劇場未公開)である。本作品はローバジェットの小品であるが、2000年1月にサンダンス映画祭でプレミア上映されて審査員大賞を受賞すると話題を呼び、パラマウントが権利を買い取って同年12月に一般公開された。一般公開前後から軒並み絶賛を博していた本作品は、NY批評家協会賞、LA批評家協会賞、インデペンデント・スピリット賞ほか多くの映画賞で脚本賞を受賞、第73回アカデミー賞では脚本賞にノミネートされている。主演は本作品の演技でアカデミー主演女優賞にノミネートされた『ミスティック・リバー』『マイ・ライフ、マイ・ファミリー』のローラ・リニー。共演は超人ハルクに変身前のマーク・ラファロ。共同で製作総指揮を務めたのはマーティン・スコセッシ監督である。今回、初の高画質ソフト化(VHS、DVDはリリースされている)。ロナーガン自ら監修・承認した、35mmオリジナルカメラネガからの最新4Kデジタルレストア/HDR & SDRグレード版での登場となる。
United States \ 2000 \ 111 minutes \ Color \ 1.85:1 \ English
DIRECTOR-APPROVED 4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION FEATURES
- NEW 4K DIGITAL RESTORATION OF THE FILM, supervised and approved by director Kenneth Lonergan, with 5.1 surround DTS-HD Master Audio soundtrack
- HDR PRESENTATION OF THE FILM(DOLBY VISION / HDR10 COMPATIBLE)
- Audio commentary featuring Lonergan
- New interviews with Lonergan and actors Matthew Broderick, Laura Linney, and Mark Ruffalo
- Trailer
- English subtitles for the deaf and hard of hearing
- PLUS: An essay by playwright Rebecca Gilman and the script of the original one-act play
Released: JULY 22, 2025
List Price: $49.95 USD(4K UHD + BLU-RAY 2-DISC SET)$39.95 USD(BLU-RAY 1-DISC SET)

突然の交通事故で両親を亡くし、孤児となったサミーと弟テリー。十数年の時が立ち、シングルマザーとなったサミー(ローラ・リニー)は銀行の融資担当者として働きながら、8歳の息子のルディ(ロリー・カルキン)と幼少期の家で暮らしていた。一方、テリー(マーク・ラファロ)はマリファナ常習犯で、放浪者。いまは奇妙な建設現場で働いているいて、サミーとは半年も音信不通だ。そんなテリーがサミーの家に転がり込んでくる。金銭的に困窮し、妊娠させた恋人(ギャビー・ホフマン)から逃げてきたのだ。会ったこともない父親について様々な空想を膨らませる息子、元恋人(ジョン・テニー)からのプロポーズ、銀行の支店長(マシュー・ブロデリック)との情事に加え、サミーにとってテリーとの生活は新たな厄介ごととなる・・・。

これは今年最高のアメリカ映画である。この映画のテーマをひと言でまとめることはできない。テーマは捉えどころがなく、主要な葛藤は悲しいことに未解決のままだ。だが、ロナーガンは底なしの台詞を紡ぎ出す名人だ。登場人物たちが口を開くとき、そこから出てくるのは中立化された言葉だ。彼らが感じていることと、実際に言えること、あるいは、彼らが感じていることと、言うべきだと思うこと。ロナーガンの脚本は台詞の背後にある暗黙の意味に言及している。台詞の裏にある秘められた、言外の意味を暗示するもの。これを一般的にサブテキスト(映画用語)と呼ぶが、この映画には、観る者を深く引きずり込むほどの強力なサブテキストがある。そしてロナーガンは観客に、表面的には穏やかであっても、なにが危機に瀕しているかを、心の底で理解させてくれる。スレート・マガジン。
※ When viewing this clip, please set resolution to 1080p/HD
実は本作品、アマゾンプライム(HD品質)でレンタルできる。UHD BLU-RAYやBLU-RAYを購入するのはちょっと・・・とお考えの方は、レンタルしてみるのも良案かも。プライム会員なら(執筆時点で)字幕版、吹替え版のいずれも100円でレンタル可。
タイトル | ユー・キャン・カウント・オン・ミー |
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年 | 2000 |
監督 | ケネス・ロナーガン |
製作 | バーバラ・デ・フィーナ ジョン・N・ハート ラリー・メイストリッチ ジェフ・シャープ |
製作総指揮 | マーティン・スコセッシ スティーヴ・カーリス ドナルド・C・カーター モートン・スウィンスキー |
脚本 | ケネス・ロナーガン |
撮影 | スティーヴン・カツミアスキー |
音楽 | レスリー・バーバー |
出演 | ローラ・リニー マーク・ラファロ マシュー・ブロデリック ジョン・テニー ロリー・カルキン ジョシュ・ルーカス ギャビー・ホフマン |
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