映画評論家 久保田明さんが注目する、きらりと光る名作を毎月、公開に合わせてタイムリーに紹介する映画コラム【コレミヨ映画館】の第83回をお送りします。今回取り上げるのは、スタローンが自らの手でリクリエイトした『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』。あの作品がどのように生まれ変わったのか!? とくとご賞味ください。(Stereo Sound ONLINE 編集部)

【PICK UP MOVIE】
『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』
8月19日(金) 全国ロードショー

画像1: 【コレミヨ映画館vol.83】『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』42分間の未公開映像、4Kリマスター、ワイドスクリーンに立体音響。スタローンの手で重層的によみがえった人気作品!

 わが国では1986年の6月に公開された『ロッキー4/炎の友情』は、『ランボー/怒りの脱出』や『オーバー・ザ・トップ』、『デッドフォール』などのヒット作と並ぶ1980年代のシルヴェスター・スタローン人気を支えた一作だった。

 後年、スピンオフとして船出をした『クリード 炎の宿敵』(2019年)で再登場したロシア人ボクサ-、イワン・ドラゴとの運命の対決を描いた『ロッキー4/炎の友情』は、しかしスタローンにとっては悔いが残るものだった。

 世界興収3億ドルを越える大ヒットを飛ばすも、最低映画を決める同年のラジー賞(ゴールデンラズベリー賞)ではスタローンがワースト主演男優賞とワースト監督賞をダブル受賞。まあこれは1999年には“20世紀最低男優賞”に輝き、2015年の『クリード チャンプを継ぐ男』で一転名誉挽回賞を受けたスタローンにとってはおなじみのものだったが、自身で監督を兼任した『ロッキー4/炎の友情』への思いは長年のどに引っかかった小骨だったのだ。

 コロナ騒ぎで映画界が停滞するなか、2020年にスタローンは自身で作品をブラッシュアップする作業に乗り出した! ロサンゼルスのスタジオにこもり全体の流れを見直し、代替音声トラックや代替音楽について再考し、その結果映画全体に散りばめられた未公開シーンは全42分に及ぶこととなる。

 上映時間は91分から94分に(オープニング・シーンから変更されている!)。こうして再構築された『ロッキーVSドラゴ:ROCKYⅣ』は、4Kデジタルリマスター映像、5.1ch音声、そしてビスタサイズからワイドスクリーン(2.35:1)に替わって上映されることになった。

 アメリカ本国では2021年11月11日に一日だけ特別上映。正式公開されるのは日本が初めてのことだという。

 前半のアポロ対殺人マシン、ドラゴの戦い、そしてそれぞれのトレーニングを経てロッキーとドラゴの運命の一戦へ。もちろん大筋は同じだが、エイドリアン(タリア・シャイア)やアポロ(カール・ウェザース)の重みも増え物語の陰影が増している。

画像2: 【コレミヨ映画館vol.83】『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』42分間の未公開映像、4Kリマスター、ワイドスクリーンに立体音響。スタローンの手で重層的によみがえった人気作品!

 ロッキー(スタローン)とドラゴ(ドルフ・ラングレン)の戦いからは国家の影が薄れ、ストリート・ファイトのようなふたりの男の姿が強調されているのだ。

 1946年7月6日生まれ。シルヴァスター・スタローンも76歳になった。近年は『エクスペンダブルス』シリーズのほか、『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』でのアフレコ出演など、脇に回った役柄も目立つようになった。刑事ドラマ『ナイトホークス』や『クリフハンガー』、『デイライト』などでの活躍も忘れない。

 スタローンの雄姿と人生に改めて感謝を贈ろう。『ロッキーVSドラゴ:ROCKYⅣ』は、生まれ変わった『ロッキー4/炎の友情』である。あなたはその出会いをどういう形で受け止めるだろうか。

映画『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』

8月19日(金)より、グランドシネマサンシャイン池袋、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国順次ロードショー

監督・脚本・主演:シルヴェスター・スタローン
出演:ドルフ・ラングレン、タリア・シャイア、カール・ウェザース、ブリジット・ニールセン、バート・ヤング、ジェームズ・ブラウン、トニー・バートン、マイケル・パタキ
原題:ROCKY IV:ROCKY VS.DRAGO
配給:カルチャヴィル、ガイエ
2021年/アメリカ映画/シネマスコープ/94分/5.1ch/ワイドスクリーン(シネスコ 2.35:1)
(C) 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

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