英語タイトルは『One For The Road』。私は反射的にアメリカのポピュラー・ソング「One For My Baby (and One More For The Road)」を思い出す。恋人に振られた人物がバーテンに事の顛末をグチり、帰る前に“もう一杯”と酒をおかわりする歌だ。男性ではフランク・シナトラ、女性ではビリー・ホリデイの解釈に定評がある。

 この映画『プアン/友だちと呼ばせて』は、実にスリリングな作品『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』で監督を務めたバズ・プーンピリヤ監督の最新作(脚本も担当)。そしてプロデューサーとして名匠ウォン・カーウァイが参加している。バズの才能に惚れて、熱望の末にプロジェクトに加わったのだという。

画像1: ニューヨークとタイのロケをふんだんに盛り込んだ、ウォン・カーウァイ・プロデュース作品『プアン/友だちと呼ばせて』

 話は、タイ人の友達どうしである「ボス」と「ウード」を軸に動く。「ボス」はニューヨークでバーを経営し、「ウード」はバンコクに住んでいる。白血病を患った「ウード」は、「ボス」に一時帰国を頼む。それを受け入れた「ボス」は、いわば「ウードの、この世からのお別れの旅」の運転手として、彼と共に行動する。

 「ウード」がいかに恋多き男であったかがさまざまなエピソードと共に綴られていき、話はさらに広がりを見せるが、後半、一気に物語が収斂されていく。その手腕のあざやかさに、目を見張った。それまで築いてきた「ボス」との友情を崩しかねない「ウード」の告白に、「ボス」はいかに立ち向かうのか。

画像2: ニューヨークとタイのロケをふんだんに盛り込んだ、ウォン・カーウァイ・プロデュース作品『プアン/友だちと呼ばせて』

 出演はトー・タナポップ、アイス・ナッタラット、ブローイ・ホーワン、ヌン・シラバン他。音楽監督には、タイを代表するジャズ・ピアニストのPisut Pratheepasenaも名を連ねている。8月5日から新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、渋谷シネクイントほか全国順次ロードショー。

映画『プアン/友だちと呼ばせて』

8月5日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、渋谷シネクイントほか全国順次公開

<出演>
トー・タナポップ アイス・ナッタラット プローイ・ホーワン ヌン・シラパン ヴィオーレット・ウォーティア AND オークベープ・チュティモン

<スタッフ>
監督:バズ・プーンピリヤ 製作総指揮:ウォン・カーウァイ 脚本:バズ・プーンピリヤ、ノタポン・ブンプラコープ、ブァンソイ・アックソーンサワーン 配給:ギャガ 原題:One For The Road タイ/2021 年/カラー/シネスコ/5.1ch デジタル/129 分/字幕翻訳:アンゼたかし/監修:高杉美和
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