映画『とんがり頭のごん太―2つの名前を生きた福島被災犬の物語―』の公開を記念して、6月5日(日)に、西澤昭男監督、キャスト声優・石川由依が登壇しての公開記念舞台挨拶が、ヒューマントラストシネマ渋谷で行なわれた。

 本作は、東日本大震災の後、飼い主と生き別れになりながらも懸命に生き抜く被災犬ごん太の姿を通して、ごん太と出会うさまざまな人たちの姿を描いたアニメーション作。

 冒頭、本作に込めた思いを聞かれた西澤監督は「1995年の阪神淡路大震災を神戸で体験しました。そのときは個人的にも会社としてもできることをやらせていただいたんですけど、2011年の東日本大震災は若干の寄附はさせていただきましたが、それ以上のことができなかったんです。そんな中、家内が原案を探してくれまして、これで(映画を)作りたいなと思いました」と打ち明け、「被災されてまだまだ状況の良くない方もおられるし、原発では汚染水の問題などもありますけど、できるだけみなさんに(当時の)状況を知っていただきたいと思い、また、それ以降に生まれた若い人たちは全然状況がわからないと思うので、そういう方々へ向けて作品を作らせていただきました」と熱い思いを吐露。

画像1: 映画『とんがり頭のごん太―2つの名前を生きた福島被災犬の物語―』が公開。「東日本大震災を忘れないためにぜひ観てほしい」(石川)

 もともとドキュメンタリーだった本作を、アニメ化した理由を問われると「アニメのほうが、息が長続きするということと、子どもと大人が見たあとにいろんな話し合いができるという意味で、アニメのほうがいいと思いアニメ化しました。見たあとに、いろいろ話し合いをしてもらえれば」と語った。

 一方、本作で主演の吉野由紀役を演じた石川は、本作のオファーを受け、脚本を読んだ際の感想を尋ねられて「東日本大震災は東京で経験しましたけれども、東京から知り得る情報というのはニュース番組だけですし、もちろん大変な状況や悲しい想いをされた方がたくさんいらっしゃると思うんですけど、それ以上にいろんな大変なことがあったことや、被災犬を保護する活動があったことなど、知らなかったことがたくさんありました。そういう大変な思いをされた方がいっぱいいたんだなということを、脚本を読んで改めて感じました」と、しみじみと語った。

画像2: 映画『とんがり頭のごん太―2つの名前を生きた福島被災犬の物語―』が公開。「東日本大震災を忘れないためにぜひ観てほしい」(石川)

 最後に、石川から「東日本大震災から11年が経ちました。この映画はアニメーションではあるんですけど、ドキュメンタリーのような、本当にあったことがここに描かれています。あのとき、どんな大変な思いをした方々がいたか、そしてどんな悲しい思いをした方がいたか、そしてそんな中で由紀のようにボランティアとして活動していたり、そんな方たちと出会って前を向いて歩む人たちの物語になっております。東日本大震災を忘れないために、ぜひ見ていただきたいですし、私もずっと忘れないでいようと思います」というコメントが、西澤監督から「日本は地震大国でもありますから、いつ大きな地震・災害が起こっても不思議ではないんです。それに対して、じゃあどうやって生きて行けばいいのかということを考えていかければならないと思うんです。そうして頑張って生きていくことで、必ず支援者とか連帯が生まれるんだろうと思っています。この作品にはそういう面も描いていますので、よく見ていただければと思います」というコメントが、それぞれ発せられて終了となった。

画像3: 映画『とんがり頭のごん太―2つの名前を生きた福島被災犬の物語―』が公開。「東日本大震災を忘れないためにぜひ観てほしい」(石川)

映画『とんがり頭のごん太 ―2つの名前を生きた福島被災犬の物語―』

ヒューマントラストシネマ渋谷・フォーラム福島で公開中

<Story>
ごん太、勇気をありがとう。
いつまでも忘れないからね。
福島県の最東端、浜通り北部にある浪江町。B級グルメで話題になった「なみえ焼そば」が名物の食堂を営む富田一家は、8歳になる犬の『ごん太』を飼っていた。ごん太は生まれたときから頭の先がちょっととがっている利発な犬だった。

2011年3月11日午後2時46分。突然、東日本大震災が起きた。店の倒壊は免れたが、福島第一原発からわずか9キロの地だったため、すぐに避難することに。すぐに戻れると思い一家はごん太を置いていくが、結局親戚や知人を頼って転々と居を移すことになり、ごん太とは離ればなれになってしまう。

一方、東京の大学に通っていた吉野由紀は、春休みを使ってペットを救済するボランティアに加わって被災地を訪れる。そして取り残された犬たちがいるとの情報を得て、浪江町の警戒区域内へ。そこで数匹の犬たちを保護するが、その中にごん太がいた。

ごん太は『ピース』と名付けられ、吉野らとともに相模原に拠点を移して生活を始める。しかし、ピースは病気にかかっていることが判明し、余命1カ月と診断される。

ごん太のことがずっと気がかりで心配している富田一家。とりわけ仲のよかった障害のある5歳の娘李花。なんとしても元の飼い主に会わせたいと奮闘する吉野。

吉野は何故、そこまでの思いで頑張るのか? そしてピース、いや、ごん太は果たしてどうなってしまうのか…。

声のキャスト:石川由依 斉藤暁 神尾佑 置鮎龍太郎ほか

原案:仲本剛『福島 余命1カ月の被災犬 とんがりあたまのごん太』(光文社)
脚本・監督:西澤昭男
製作・配給:株式会社ワオ・コーポレーション
後援:福島県、浪江町、双葉町、葛尾村、神戸市、福島県教育委員会、浪江町教育委員会、神戸市教育委員会
協力:福島民報社、光文社
(C)ワオ・コーポレーション/光文社

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