画像: フェーズメーション EA320 Solid-State Phono Equalize Amp ¥250,000(税別) ●入力端子:2系統(MM/MC、RCAアンバランス) ●出力端子:1系統(RCAアンバランス) ●入力感度/インピーダンス:2.5mV/47kΩ(MM)、0.13mV/470Ω(MC) ●利得:38dB(MM)、64dB(MC) ●寸法/重量:W286×H93×D252mm/3.9kg ●問合せ先:協同電子エンジニアリング(株)☎045(710)0975

フェーズメーション EA320 Solid-State Phono Equalize Amp
¥250,000(税別)
●入力端子:2系統(MM/MC、RCAアンバランス)
●出力端子:1系統(RCAアンバランス)
●入力感度/インピーダンス:2.5mV/47kΩ(MM)、0.13mV/470Ω(MC)
●利得:38dB(MM)、64dB(MC)
●寸法/重量:W286×H93×D252mm/3.9kg
●問合せ先:協同電子エンジニアリング(株)☎045(710)0975

 フェーズメーションほど、豊富なフォノイコライザー関連のラインナップを用意しているブランドはないのでは? ここで紹介するEA320は、厳選された半導体素子によるディスクリート回路構成が特徴の新製品。同じく半導体増幅で好評を博しているEA350の下位機種にあたる、やや小振りの筐体の注目機だ。いっぽう、T320はEA320にもマッチする単体の昇圧トランスフォーマー。最近の製品では非常に珍しく、トランス回路をバイパスできるスイッチが用意されている。

 真空管増幅と半導体増幅の両方を手掛けるフェーズメーションは、無帰還増幅にこだわっている。それはTIM歪み、いわゆるトランジェント歪みから回避できる施策であり、自然な雰囲気の音を獲得するための必須の手法なのだろう。新製品のEA320はCR型のフォノイコライザー回路を採用し、モノーラル盤への再生対応として英デッカと米コロムビアに適合したイコライザーカーブも用意されている。入力をショート状態にした再生でMC型フォノカートリッジの帯磁を緩和する、デガウスのポジションも便利な装備といえる。

画像: フォノイコライザーアンプEA320のフロントパネル。左側が電源スイッチ、中央は2系統の入力とカートリッジのデガウス(消磁)機能の切替え。右側のレバースイッチは、左からSTEREO(RIAA)/MONO1(デッカレーベルなど)/MONO2(コロムビアレーベルなど)の3種のイコライザーカーブ選択、ローカットフィルター、MC/MMの切替え。

フォノイコライザーアンプEA320のフロントパネル。左側が電源スイッチ、中央は2系統の入力とカートリッジのデガウス(消磁)機能の切替え。右側のレバースイッチは、左からSTEREO(RIAA)/MONO1(デッカレーベルなど)/MONO2(コロムビアレーベルなど)の3種のイコライザーカーブ選択、ローカットフィルター、MC/MMの切替え。

画像: EA320のリアパネル。左側が2系統の入力端子(RCAアンバランス)とGND端子で、出力はRCAアンバランス1系統。

EA320のリアパネル。左側が2系統の入力端子(RCAアンバランス)とGND端子で、出力はRCAアンバランス1系統。

画像: EA320の内部。左側に電源部、右側にシールド板を隔てて半導体による全段無帰還のデュアルモノーラル増幅回路を構成。RIAA部の金属皮膜抵抗やマイカコンデンサーをはじめ、エルナー社製電解コンデンサーやローム社製のダイオードなどの高品位パーツを投入している。

EA320の内部。左側に電源部、右側にシールド板を隔てて半導体による全段無帰還のデュアルモノーラル増幅回路を構成。RIAA部の金属皮膜抵抗やマイカコンデンサーをはじめ、エルナー社製電解コンデンサーやローム社製のダイオードなどの高品位パーツを投入している。

 テクニクスSL1000Rアナログプレーヤーに、グランツ製MH1000Sトーンアームとフェーズメーション製PP2000カートリッジ(MC型)を組み合わせたフロントエンドに、EA320を組み合わせて音を聴いた。リファレンスに使用のプリアンプとパワーアンプは、ウエスギのU·BROS280RとU·BROS120R。スピーカーはB&Wの800D3である。

 ステレオサウンド社がリリースした中森明菜「歌姫」(Vol.3)からの「ダンスはうまく踊れない」は、管球式とは趣が異なり、音の輪郭を意識させるシャープな音質を基調にしており、ヴォーカル音像を優雅に描き上げる。アンセルメ指揮「三角帽子」は音場空間の深みが感じられる積極的な音で、個人的に好感を抱ける臨場感が得られた。同じディスクをテクニクスの標準トーアンアームに装着したオーディオテクニカVM760SLC(MM型)では、しなやかさが感じられる饒舌な音という印象。アルミ製カンチレバーの特徴も反映されたかと思うが、S/N感の良さはMC型も負けてはいない。デイヴ・グルーシンのダイレクト盤は低音域が不用意に膨らむこともなく、躍動的で切れ込みの鋭い音が楽しめた。上級機のEA350に肉迫する音質が得られているのではと思った次第である。

リアの端子部を確認する三浦氏。

試聴に使用したカートリッジ
フェーズメーション(MC型)
PP2000  ¥440,000

フェーズメーション T320 Step Up Transfomer
¥54,000(税別)
●入力端子: 1系統(RCAアンバランス)
●出力端子:1系統(RCAアンバランス)
●昇圧比:26dB
●入力インピーダンス:1.5Ω〜40Ω
●負荷インピーダンス:47kΩ
●寸法/重量:W136×H92×D134mm/1.3kg
●備考:バイパススイッチを装備

 昇圧トランスのT320は、ニューモデルのウエスギU·BROS220Rフォノイコライザーと組み合わせて聴いた。特殊分割巻きという自社製トランスによる昇圧は、音調バランスも整っておりレンジ感も広い。「三角帽子」の鮮明さは特筆できる見事さ。さすがはMC型フォノカートリッジを多くラインナップするブランドらしい手堅さが感じられる。バイパスのスイッチを便利に思うユーザーも少なくないだろう。

T320の内部。基板の下に0.2mm厚78%パーマロイ材コアを持ち、特殊分割巻線構造を採用した昇圧トランスを取り付けている。

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