両片想いのもどかしい恋愛模様を繊細に描いた『パティシエさんとお嬢さん』が、ドラマ版を経て待望の映画化。名前も知らない相手を想い続けて一年。ようやく二人に春が訪れる!? ここではお嬢さんこと波留芙美子を、初々しい表情で演じた岡本夏美にインタビューした。

画像1: 甘酸っぱい、初恋の思い出が蘇る。両片想いのもどかしい恋愛を描いた『パティシエさんとお嬢さん』の劇場版がいよいよ公開。「二人のゆったりとした時間を味わってほしい」(岡本)

――出演おめでとうございます。今回は、お嬢さん役ということで、とても可愛らしくて、(岡本さんに)ぴったりな印象を受けました。
 ありがとうございます。でも、両親からは、「全然、夏美じゃない」って言われましたから(笑)。ああいう可愛らしい役の経験はあまりなかったので、新しい自分を発見できたというか、新境地が開けたのかなと思います。

――まずは、出演が決まった時のことを教えてください。
 原作の持つ可愛らしい雰囲気とか、朗らかなイメージ、セリフやキーワードが散りばめられた、暖かくて優しい作品でしたので、そういうものを大切にしたいなと思いました。その上で、原作者の想いを、自分のお芝居を通してできる限り表現をしようと決めて、現場に臨みました。

――演じられた波留芙美子の印象は?
 本当に可愛らしくて、時の流れがゆったりしている女の子だなって思いました。独特な表現方法もそうですし、愛情表現も含めて、日々の生活を穏やかにゆったりと過ごしている女の子ですね。演じるにあたっては、そうした雰囲気に近づけるように、芝居をしている時のセリフの発し方だったり、間だったり、音のテンポがスローペースになるように意識しました。

――可愛らしい女の子、の表現で参考にしたものは?
 あまり参考になるものがなくて……。友達には、彼女のようにふわふわした可愛らしいというよりは、サバサバした子が多いので、割と自分の中でイメージを作り上げていく役作りだったと思います。

 現場でも、自分が決めてきたものを表現するというより、(奥野)丈士役の崎山つばささんとセリフ合わせていく中で生まれてきた間や、感情を大事にしていくという感じでした。

――ドラマ版の1話、芙美子の初登場のシーンから、芙美子らしいというか、いつもの岡本さんと違うと感じました。
 ありがとうございます。そうですよね。仕草1つ――目線の配り方とか--にも普段の私とは違うアプローチが多かったです。声のかけ方からバッグの持ち方、歩き方など、外見的な要素での作り込みもたくさんありました。

画像2: 甘酸っぱい、初恋の思い出が蘇る。両片想いのもどかしい恋愛を描いた『パティシエさんとお嬢さん』の劇場版がいよいよ公開。「二人のゆったりとした時間を味わってほしい」(岡本)

――繊細な演技をされていたんですね。目の動かし方には、どぎまぎしている女の子の気持ちを感じて、すごく印象的でした。監督からはなにか指示はあったのでしょうか?
 そう言っていただけると嬉しいですね。お芝居に関しては結構、私に委ねてくれたところが多かったです。ただ、セリフについては、当初の台本には、芙美子ちゃんのセリフが結構多かったのですが、芙美子ちゃん自身、自分から話しかける方でもないので、もうちょっと受け身にしたらどうでしょうと監督と話し合って、セリフを減らしたというのはありました。

 一方で、三笠亜紀(越智ゆらの)ちゃんと一緒の時は、女の子同士の会話ということで、丈士さんといる時とは違う芙美子ちゃんを見てもらえると思います。

――シーンは長回しが多く、芙美子の性格に合わせてゆったりと撮っている感じを受けました。
 そうですね。お芝居を一連の流れで撮っていただいたので、その時の感情とか、間に対して、リアルさを追求して出来たと思います。テンポのいい作品も大好きですけど、こうしてゆったり撮っていただけるのは本当ありがたいです。その時の時間の流れに身を任せるようにして、2人で会話をしていくっていう感じでした。

――ところで、カチューシャがとても似合っていましたね。
 メイクさんと衣装さんが本当に面白い方で、ずっと一緒に遊んでくださって(笑)。毎回、衣装に合わせてカチューシャを選ぶのは楽しかったですね。

――なぜ、毎日カチューシャを着けているのですか?
 そもそも、ニックネームがカチューシャちゃんですからね(笑)。制服じゃないですけど、(着けるのが)1種のルーティンになっているのかなって思いました。

――ちなみに、芙美子は優柔不断な丈士を好きになりますが、まったく正反対で行動的というかイケイケの兄・帯刀稜(村井良大)は、岡本さんにはどう写りましたか?
 えー、どうでしょう(笑)。どちらも両極端な気がしますので、その中間ぐらいで、きちんと私のことを想ってくれる人がいいですね。

――ドラマ版では、いろいろなイベントを通じて、芙美子と丈士の頑張っている姿が描かれていました。岡本さんは、イベントごとに何か思い出はありますか?
 実は、イベントで頑張ったという記憶がなくて……。クリスマスとかバレンタインとかは好きなんですけど、小学生のころから普通に過ごしてきたように思います。

 それよりも、お正月が大好きですね。お笑い番組がたくさん放送されていて楽しいですし(笑)、家族・親戚みんなで集まってわいわいするのが好きなんです。

画像3: 甘酸っぱい、初恋の思い出が蘇る。両片想いのもどかしい恋愛を描いた『パティシエさんとお嬢さん』の劇場版がいよいよ公開。「二人のゆったりとした時間を味わってほしい」(岡本)

――映画版で印象に残っているシーンを挙げていただくと。
 感情が一杯いっぱいになった芙美子ちゃんが厨房に入るところですね。丈士さんの過去の話を聞いて、その後のセリフでケーキのことを「宝物みたいだ」っていうんですけど、そのシーンがすごく気に入っています。自分が好きなものを宝物みたいって言える芙美子ちゃんの素直さと、言葉になった時の強さをすごく感じたので、注目してほしいです。

――映画版では、クライマックスに向けて、二人の仲は盛り上がっていきますけど、名前を聞くのに一年もかかるなど、名前も知らない人を想い続ける二人の姿はどう感じましたか。
 まあ、その人物を演じていたので、客観的に見るのも難しいのですけど、もどかしいですよね。演じながら、どう見えているんだろうって思っていましたけど、今時ではありえないような、本当にゆっくりゆっくり進んでいく2人を見て、微笑ましいと思ってくれる方がいることがありがたいです。

――片想いは、ドラマや映画のテーマに取り上げられることは多いと思いますが、両方片想いで、すれ違ってばかりというシチュエーションは、女性から見てどうでしょう。
 両片想いって、絶対楽しいですよね。だって両方傷つかないじゃないですか(笑)。当人になったら分かりませんけど、やはり俯瞰で見た時にはもう、それは両想いなのではと思いますし、そういう甘酸っぱい瞬間に憧れるというか、素敵ですね。私も告白する勇気のない人なので、もう5年でも10年でも、陰から見ていたいタイプですから!

――今回、友達の亜紀を演じた越智ゆらのさんと共演はいかがでしたか?
 ゆらのさんは、モデル業で何回か仕事をご一緒したことがあって、もともと知り合いだったので、親友役でも一から関係性を作るということがなく共演ができて、良かったなって思います。

――芙美子は、毎週金曜日に、仕事のご褒美で甘いもの(スイーツ)を食べるというルーティンをしていました。岡本さんには何か決めていることはありますか。
 最近、ナイトルーティンが決まりまして(笑)! お風呂上がりの美容で、そんなに特別なことはしていないんですけど、化粧水を塗って、パックをして、ヘアオイルをつけて、ボディクリーム塗って、締めにストレッチをする、というものです。毎日それをやると、すごく気持ちよく寝られるんです。

――ところで、作中にはたくさんのケーキが出てきましたが、岡本さんの好きなケーキ/スイーツはありますか?
 ミルクレープが好きですね。何層にもなっているところがすごく好きなんです。もともと、あまり甘いものを食べることは少なかったんですけど、ミルクレープだけは特別で、おやつとして食べたりしています。

――さて、映画版でようやく一歩近づけた二人ですが、二人の未来をどのように見ていますか?
 あれだけ長い間片想いができる一途な2人ですから、ちゃんと幸せになっている(いく)と思います。でも、丈士さんの前にすっごくイケイケの女性が現れて、芙美子ちゃんはタチ打ちできず……みたいな展開も面白そうです。

――岡本さんは、前回取材させていただいたドラマ『大江戸スチームパンク』での“お照”、今回の『パティシエさんとお嬢さん』の“芙美子”、そして、本ドラマと同時期にオンエアされていた『婚活探偵』ではド派手な女性を演じるなど、役のふり幅が広いですね。
 ありがとうございます。どの現場でも、振り切って演じていたし、スタッフさんたちと楽しみながら作品を作れるのがとても嬉しかったです。

――女優、モデル、バラエティと、幅広く仕事をされていますけど、お芝居の方面が拡大していくという現状はいかがですか?
 ありがたいですね。お芝居でないと感じられない感情もたくさんありますし、役を演じる=自分ではない瞬間の学びがとても多くあるので、勉強になっています。最近は、それ以外のことにも、どんどんチャレンジしたいっていう気持ちも強くなっていて、バラエティも含めて、やったことのないこと、経験のないこともいろいろやってみたいと思うことも増えてきました。

――芝居のほうで、今後やってみたい設定(役柄)、シチュエーションはありますか?
 先生役をしてみたいです。学園ものだと生徒になることが多いんですけど、その時の先生役の方って、本当に先生のような感覚を受けるので、今後、先生役ができたら楽しそうだなって思います。やんちゃな生徒達に振り回されつつ、一緒になって頑張っていく。そういうのも楽しそうですし、演じてみたいです。

画像4: 甘酸っぱい、初恋の思い出が蘇る。両片想いのもどかしい恋愛を描いた『パティシエさんとお嬢さん』の劇場版がいよいよ公開。「二人のゆったりとした時間を味わってほしい」(岡本)

――最後に読者へメッセージをお願いします。
 2人のゆったりとした時間軸に浸っていただけたら、今のご時世、少し窮屈なところも多い現実を忘れて、ゆったりと映画を楽しんでいただけるのかなと思います。加えて、なんと言っても美味しそうなケーキがたくさん出てきますので、視覚的にも楽しんでいただけると思います。目と心で味わってください。

映画『劇場版 パティシエさんとお嬢さん』

5月6日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開

画像: 映画『劇場版 パティシエさんとお嬢さん』

<出演>
崎山つばさ 岡本夏美 / 増田俊樹 横田龍儀 越智ゆらの 古村比呂 / 村井良大

<スタッフ>
原作:銀泥「パティシエさんとお嬢さん」(一迅社)
監督:古厩智之 脚本:蒲田子桃・古厩智之 音楽:MOKU 主題歌:りゅうと「Planet」(LINE RECORDS) 制作・配給協力:ビデオプランニング 製作:「パティシエさんとお嬢さん」製作委員会 配給:トリプルアップ
上映時間:96分
(C)銀泥/一迅社 (C)2022「パティシエさんとお嬢さん」製作委員会

★ドラマ『パティシエさんとお嬢さん』DVD
2022年4月20日発売
¥6,600(税込)
発売元:バップ

This article is a sponsored article by
''.