去る2月17日、Bang & Olufsen Japanはワイヤレスゲーミングヘッドホンの新製品「Beoplay Portal PC PS」を発売した。価格は¥59,900(税込)で、Black AnthraciteとGrey Mistを先行発売、追加色のNavyは4月11日に登場予定だ。

 BeoplayPortal PC PSは、Bluetoothと2.4GHz無線伝送に対応したワイヤレスヘッドホン。PC及びPlayStation等と接続可能な無線ドングルにより、ワイヤレスでも低遅延の接続性を発揮してくれる。音楽鑑賞だけではなく、PCやゲーム、映画、ライブ視聴など、映像と音を楽しむパーソナルエンタテインメントに最適なアイテムとなっている。

ノイズキャンセリング機能付きワイヤレスヘッドホン
「Beoplay Portal PC PS」 ¥59,900(税込)

画像: Bang & Olufsenのワイヤレスヘッドホン「Beoplay Portal PC PS」を試す。音楽、ゲームからビジネス用途まで、場所を選ばず活躍するパフォーマンスの高さに驚く

●使用ドライバー:40mmエレクトロダイナミック型
●再生周波数域:20Hz〜22kz
●対応コーデック:aptX Adaptive、AAC、SBC
●伝送方式:Bluetooth 5.1、2.4GHz無線伝送、3.5 mm ミニジャック
●連続使用時間:最大42時間(Bluetooth とアクティブノイズキャンセリング利用時)、最大19時間(同梱ドングル利用時)
●充電時間:約2時間
●寸法/質量:W167.3×H178.7×92.6mm/282g
●付属品:無線用ドングル、USB Type-A to C ケーブル、3.5mmケーブル、ポーチ、他

画像: 有線接続用の3.5mmケーブルや充電用USBケーブル、無線接続用のトングルが付属する

有線接続用の3.5mmケーブルや充電用USBケーブル、無線接続用のトングルが付属する

 ドライバーには、ネオジム磁石を使用した40mmエレクトロダイナミック型を採用。同社技術チームがエンタテインメントコンテンツに最適化したチューニングを施している。また新世代のANC(アクティブ・ノイズ・キャンセリング)技術の搭載により、騒音のある環境下でもコンテンツに没入できる。

 イヤーカップには、アルマイト加工を加えたアルミニウムを使ったタッチセンサーを採用。ラムスキン素材に包まれたメモリー形状のイヤーパッドは、クッション下部に厚みがあり、頭と耳の形にフィットした密閉性と音漏れ防止性能を実現している。

 まず、iPhone12とBluetoothでつないで音楽を聴いてみる。Beoplay Portal PC PSはコーデックとしてSBC、AAC、aptXAdaptiveに対応しているので、この場合はAACが使われることになる。アプリ設定から、リスニングモードは「Music」、ANCは「NEUTRAL」にセットした。

画像: 電源やBluetoothペアリング用のボタン、ボリュウムやANCの効果切り替えスイッチ等はイヤホン本体に搭載されている

電源やBluetoothペアリング用のボタン、ボリュウムやANCの効果切り替えスイッチ等はイヤホン本体に搭載されている

 オーバーイヤータイプなので、装着すると耳がすっぽり覆われてANCオフでも外来ノイズがある程度抑えられている。イヤホンの側圧もほどよい案配で、2〜3時間連続して付けてみたが、疲れるといったことはなかった。

 44.1kHz/16ビット/FLACや48kHz/24ビット/FLAC音源でビートルズ、ビリー・ジョエル、エリカ・バドゥ、メイヤのヴォーカル曲を聴いてみた。男性、女性を問わず声が自然で、楽器や口笛などのアコースティックな再現が心地いい。「NEUTRAL」モードでもエアコンなどの室内ノイズが気にならないレベルなので、細かい情報まできちんと聴き取れる。

 ANCの効果は「最上値」「高」「中」「低」をシームレスに切り替え可能。「最上値」や「高」に設定すると低域の再現等が若干整理されるところもあるが、耳が圧迫されるような聞こえ方にならないのはいい。試しにANCを「中」にして、家族がテレビを見ているリビングで『ボヘミアン・ラプソディ』のサントラを聴いてみたが、テレビの声は気にならなかった。

画像: aptX HDコーデックに対応したDAPと組み合わせて、ハイレゾ音源も聴いてみた

aptX HDコーデックに対応したDAPと組み合わせて、ハイレゾ音源も聴いてみた

 せっかくaptX Adaptiveにも対応しているのだから、その効果も試してみようということで、アステル&ケルンの「SP1000」と組み合わせた。Beoplay Portal PC PSとSP1000をペアリングすると「aptX HDを使用しています」と表示され、48kHz/24ビットでの伝送ができていることが確認された。

 96kHz/24ビット/WAVのはちみつぱいや176.4kHz/24ビット/FACのマイケル・ジャクソン、DSD2.8MHzの「ファリャ:バレエ音楽『三角帽子』序曲」を再生すると、iPhoneとの組み合わせよりも高域・低域ともに情報が増え、ハイレゾ音源を聴いている恩恵がしっかり感じられる(ANCは『NEUTRAL』モード)。

 ちなみにBeoplay Portal PC PSは有線接続も可能で、3.5mmのケーブルも付属している。そこでSP1000と有線接続してみると、aptX HD再生時からさらにS/Nが改善されて、空間が広がってきた。『三角帽子』序曲冒頭の音の立ち上がりもインパクトが増して、より印象的になる。高品質なプレーヤーと組み合わせるなら、有線接続も試して欲しい。

画像: 写真右が2.4GHz無線接続用のトングルで、右はUSB Type-A変換コネクター。このトングルをPCやゲーム機とつなぐことで、低遅延の再生が可能になる

写真右が2.4GHz無線接続用のトングルで、右はUSB Type-A変換コネクター。このトングルをPCやゲーム機とつなぐことで、低遅延の再生が可能になる

 先述の通り、Beoplay Portal PC PSには2.4GHzの無線接続用ドングルが付属しているのもポイントだ。PCやタブレットのUSB Type-Cコネクターに挿して使うタイプで、音質劣化や遅延の少ない伝送が可能になる。

 iPad Airにドングルを装着し、foobar2000で48kHz/24ビットの音源を再生する。Bluetooth伝送(AAC)と無線接続を聴き比べると、エリカ・バドゥ「Rimshot」で2.4GHz伝送の方が、低域が豊かに再現できている。音質面でも無線伝送にメリットがあるのは間違いない。

 続いて、タブレットのFire HD8 PLUSで動画コンテンツをチェック、Amazonプライムビデオから『ブルース・ブラザーズ』のアレサ・フランクリン「シンク」歌唱シーンを再生した。

 この組み合わせではBluetoothはAACコーデックになるが、若干のリップシンクのずれは避けられない。アレサの手拍子も、半拍遅れて音が聴こえるといった具合で、特に音楽コンテンツでは気になるかも。

画像: 付属の3.5mmケーブルを使えば有線でも音楽を楽しめる

付属の3.5mmケーブルを使えば有線でも音楽を楽しめる

 そこでFire HD8 PLUSのUSB Type-Cコネクターに無線トングルを装着し、2.4GHz伝送を試すと、確かに遅延が減っている。音の遅れがまったくないというわけではないが、体感的にはBluetoothの半分以下だ。ゲームユーザーにとってはこの点は大きなメリットになるだろう。

 なおBeoplay Portal PC PSは、Dolby Atmos for Headphones機能も搭載済みで、XboxやWindows 10との組み合わせで立体音響再生も楽しめる。残念ながら今回は再生環境が準備できなかったが、ゲームや映画コンテンツではドルビーアトモスの採用作品も多いので、気になる方は試していただきたい。

 もうひとつ、王道の使い方からは外れるが、仕事柄インタビュー音声をテキストにまとめる、いわゆるテープ起こしをすることが結構ある。今回も麻倉怜士さんの連載「いいもの研究所」用のテープ起こし作業があったので、その際にBeoplay Portal PC PSを試してみた。

画像: B&Oのアプリから、リスニングモードやANCの効果の切り替えも可能。写真右端はカスタムのリスニングモード設定画面

B&Oのアプリから、リスニングモードやANCの効果の切り替えも可能。写真右端はカスタムのリスニングモード設定画面

 ANCを「高」モードにセット、ボイスレコーダーと有線接続して、家族のいるリビングでテープ起こしにトライ。家族は普通にテレビを見ているわけだが、その音はまったく入ってこないので、作業に集中できた次第だ。これまで、別室でひとりぽっちでテープ起こしをするというのはなかなか寂しい環境だったので、こういった使い方ができるのはありがたい。

 Beoplay Portal PC PSは音楽再生としてもウェルバランスだし、無線伝送による低遅延再生で動画やゲーム用途にも使える。またANCを活かしてビジネス用としても便利なわけで、1台3役、いや4役にも活躍する注目モデルになるだろう。(取材・文:泉 哲也)

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