映画評論家 久保田明さんが注目する、きらりと光る名作を毎月、公開に合わせてタイムリーに紹介する映画コラム【コレミヨ映画館】の第73回をお送りします。今回取り上げるのは、原点回帰してサスペンス色を強めた『THE BATMANーザ・バットマンー』。2020年代の新生バットマンは、果たしてどんな展開が待ち受けているのか? とくとご賞味ください。(Stereo Sound ONLINE 編集部)

【PICK UP MOVIE】
『THE BATMANーザ・バットマンー』
2022年3月11日全国公開

 若き日のブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)が犯罪都市ゴッサム・シティを自警し始めて2年目。目の周りを黒く塗って、仮面をつけようか未だ迷っている彼のもとに、リドラーと名乗る連続殺人者(ポール・ダノ)から不吉な挑戦状が届く。

画像1: 【コレミヨ映画館vol.73】『THE BATMANーザ・バットマンー』ブルース・ウェイン、若き日のとまどい、そして己が信じる道へ。シリーズ新章を告げる注目作

 『猿の惑星:聖戦記』のマット・リーヴス監督によるバットマンの新章。ブルース・ウェインはベテラン刑事のゴードン(ジェフリー・ライト)と協力しながら、リドラーの企みに迫ってゆく。

 DCとはもともと“ディテクティブ・コミックス”(探偵マンガ)の略称だった。本作はそのオリジンを強く意識した仕上がりで、暗闇のなか探偵バットマンが酩酊しながら怪しげな人物たちの謎を追う。

 これで3時間弱とは……と思うけれど、観てみるとこの上映時間は悪くない。物語が何処へ進むのかわからず、ぬかるみばかりのゴッサム・シティで道に迷い、途方に暮れる感覚を観る者も味わえるのだ。

 バットモービルが炎のなかから獣のように飛び出してくる(予告篇にもあった)場面は我慢して我慢してついに! という爆裂ショット。それもそれほど長くはつづかないけれど、達成感は充分だ。

 とにかく彩度を抑えまくった作品なので、それを楽しめる大画面かつ精緻な画質の劇場で鑑賞するのをおすすめ。そうすればこの映画の魅惑をよりリアルに感じられるだろう。

 現在、本作にも登場したペンギン(コリン・ファレル)を主人公にしたスピンオフがHBO maxで企画中とか。スーパーマンなどのスーパーヒーローがチームを組むDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)とは異なる単独ヒーローものと位置づけられる本作、『THE BATMANーザ・バットマンー』にも何年後かには続篇の噂がある。

 個人的には、これまで『バットマン リターンズ』でミシェル・ファイファーが、『キャットウーマン』ではハル・ベリーが、『ダークナイト ライジング』でアン・ハサウェイが演じてきた人気キャラクターを、ゾーイ・クラヴィッツ(お父さんはマルチ変態プレイヤーのレニー・クラヴィッツ)が演じたセリーナ・カイル/キャットウーマンの活躍をもういちど観てみたいと思う。

画像2: 【コレミヨ映画館vol.73】『THE BATMANーザ・バットマンー』ブルース・ウェイン、若き日のとまどい、そして己が信じる道へ。シリーズ新章を告げる注目作

 キャットウーマンと抱擁して、おのれの道を歩み始めるバットマン。夜は明けた。次の戦いが楽しみだ。

映画『THE BATMANーザ・バットマンー』

3月11日全国公開

監督:マット・リーヴス
脚本:マット・リーヴス、マットソン・トリムン
出演:ロバート・パティンソン、コリン・ファレル、ポール・ダノ、ゾーイ・クラヴィッツ、ジョン・タトゥーロ、アンディ・サーキス、ジェフリー・ライト ほか
原題:THE BATMAN
配給;ワーナー・ブラザース映画
2022年/アメリカ/シネスコ/ドルビー・アトモス/2時間56分
(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM &(C)DC

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