映画評論家 久保田明さんが注目する、きらりと光る名作を毎月、公開に合わせてタイムリーに紹介する映画コラム【コレミヨ映画館】の第69回をお送りします。今回取り上げるのは、世界を魅了した最強秘密結社<キングスメン>の誕生秘話を描いた『キングスマン:ファースト・エージェント』。歴史の教科書に出てきたアノ人たちが競って登場。痛快な一本に仕上がっています。とくとご賞味ください。(Stereo Sound ONLINE 編集部)

【PICK UP MOVIE】
『キングスマン:ファースト・エージェント』
12月24日(金) 映画館だけで公開

画像1: 【コレミヨ映画館vol.69】『キングスマン:ファースト・エージェント』歴史上の偉人、怪物が入り乱れる物語。「キングスマン」誕生の秘密を描く痛快作

 『英国王のスピーチ』のコリン・ファースと、エルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』で熱演を見せた新人男優タロン・エガートンが共演した『キングスマン』(2014年)は、痛快なスパイ映画だった。

 育ちの悪い若者(エガートン)の成長記と、世界を我が手におさめんとするIT富豪(サミュエル・L・ジャクソン)のイタズラ小僧のような地球滅亡計画。ユーモアと過激なアクションの配分も申し分なく、また義足の美女ガゼル(ソフィア・ブテラ)など敵役の個性も光っていた。

 さすがは『キック・アス』『XーMEN:ファースト・ジェネレーション』のマシュー・ヴォーン監督と思ったもの。続篇の『キングスマン:ゴールデン・サークル』も悪くはなかったが、悪役のジュリアン・ムーアにちょい魅力がなく、このままシリーズが進むのもな、と心配になったものだった。

 この『キングスマン:ファースト・エージェント』はキャストを総とっかえして、時代はさかのぼって20世紀初頭のヨーロッパへ。世界大戦勃発の時代にその陰でうごめく秘密組織の暗躍と、陰謀に立ち向かうキングスマン初期メンバーの戦いがグラマラスに描かれる。

 これでいいんだよ。新しい風が吹いて新鮮! ぐっと盛り返したシリーズ第3作だ。

 主演は『シンドラーのリスト』のレイフ・ファインズと、その息子役の新人ハリス・ディキンソン。彼らを助ける家庭教師のポリー(ジェマ・アータートン)と執事のショーラ(ジャイモン・フンスー)ら。ロシア皇帝のニコライ2世や英国国王ジョージ5世など歴史上実在の人物が次々登場して、物語は虚と実の合間をすり抜けてゆく。

 もちろんアクションも満載だ。それぞれのお国柄を反映した場面が用意されており、ロシアの怪僧ラスプーチンや女スパイのマタ・ハリ、事件を陰で操る貴族エリック・ヤン・ハヌッセン(ダニエル・ブリュール=『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のバロン・ジモ)なども登場する。

画像2: 【コレミヨ映画館vol.69】『キングスマン:ファースト・エージェント』歴史上の偉人、怪物が入り乱れる物語。「キングスマン」誕生の秘密を描く痛快作

 舞台も『1917 命をかけた伝令』のような泥まみれの西部戦線から絶壁の敵陣地までさまざま。ストーリーはそうとうに入り組んでいるが、最後にはそれが秘密組織「キングスマン」の誕生に結びつくのだ。

 一年の憂さを晴らす一本にはこれ! 自信を持ってお勧めしたい。

映画『キングスマン:ファースト・エージェント』

12月24日(金) 映画館だけで公開

監督・原案・脚本・製作:マシュー・ヴォーン
脚本:カール・ガイダシュク
出演:レイフ・ファインズ、ハリス・ディキンソン、ジャイモン・フンスー、ジェマ・アータートン、リス・エヴァンス、トム・ホランダー、チャールズ・ダンス
原題;THE KING’S MAN
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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