2020年にベンチマークの製品が本格的に日本に紹介されて以来、HiVi誌「ベストバイ」を席巻している。11月号「冬のベストバイ」では「コントロールアンプ部門Ⅰ(100万円未満)」「パワーアンプ部門Ⅰ(50万円未満)」「D/Aコンバーター部門Ⅱ(20万円以上60万円未満)」「ヘッドホンアンプ部門Ⅱ(20万円以上)」で各部門該当製品がすべて "ベストワン" 製品に選出されているのだ。ここでは、その理由を「ベストバイ」選者である土方久明さんに改めて記していただこう。なお、D/Aコンバーター部門で推挙されているモデルは単機能モデルのDAC3 Bだが、プリアンプ機能を追加したDAC3 HGCもラインナップする。こちらにも注目していただきたい。(HiVi編集部)

Benchmark

画像: 【HiViレビュー】ベンチマーク製品が "ベストバイ" である理由。正確な再現性の先にある、真の感動を具現化してくれる傑作

①D/A CONVERTER
DAC3 B
オープン価格(実勢価格26万4,000円前後)
●接続端子:デジタル音声入力5系統(USBタイプB、光×2、同軸×2)、アナログ音声出力2系統(RCA、XLR)
●対応サンプリング周波数/量子化ビット数:~192kHz/24ビット(PCM)、~2.8MHz(DSD)
●寸法/質量:W249×H44.5×D220mm/1.36kg

②CONTROL AMPLIFIER/HEADPHONE AMPLIFIER
HPA4
オープン価格(実勢価格46万2,000円前後)
●接続端子:アナログ音声入力4系統(RCA×2、XLR×2)、アナログ音声出力3系統(RCA、XLRステレオ、XLRモノ)、ヘッドホン出力2系統(6.3mm標準、4ピンXLR)
●寸法/質量:W220×H98.6×D212mm/3.63kg

③POWER AMPLIFIER
AHB2
オープン価格(実勢価格46万2,000円前後)
●出力:100W+100W(8Ω)/190W+190W(4Ω)、ブリッジモード時は380W(8Ω)/480W(6Ω)
●接続端子:アナログ音声入力1系統(XLR)、他
●備考:「モノ・モード」でモノーラル・パワーアンプとして使用可
●寸法/質量:W280×H99×D237mm/5.67kg

④D/A CONVERTER/CONTROL AMPLIFIER
DAC3 HGC
オープン価格(実勢価格35万2,000円前後)
●接続端子:デジタル音声入力5系統(USBタイプB、光×2、同軸×2)、アナログ音声入力2系統(RCA×2)、アナログ音声出力3系統(RCA×2、XLR)、ヘッドホン出力2系統(6.3mm標準×2)
●対応サンプリング周波数/量子化ビット数:~192kHz/24ビット(PCM)、~2.8MHz(DSD)
●寸法/質量:W249×H44.5×D237mm/1.36kg

⑤CONTROL AMPLIFIER
LA4
オープン価格(実勢価格38万5,000円前後)
●接続端子:アナログ音声入力4系統(RCA×2、XLR×2)、アナログ音声出力3系統(RCA、XLRステレオ、XLRモノ)
●寸法/質量:W220×H98.6×D212mm/3.63k
●問合せ先:https://www.benchmarkmedia.jp

 「なぜ今までこのブランドを知らなかったのだろう」。2021年冬のベストバイのコントロール部門Ⅰでベストワン(1位)のベンチマーク社のプリアンプLA4に、僕はそうコメントを記した。

 1983年にアメリカで産声をあげたベンチマーク社の製品は、今期のベストバイで存在感を放っていた。LA4の他にも、D/Aコンバーター部門ⅡでDAC3 B、ヘッドホンアンプアンプ部門ⅡでHPA4、そしてパワーアンプ部門1ではAHB2がベストワン。快挙と言っても過言ではない結果だ。

 しかし、僕は去年までベンチマークというメーカーをほとんど知らなかった。海外のオーディオ媒体で姿は見かけた事があったものの、日本に輸入されていたことも知らず、正直ノーマークだった。

 しかし、2020年に日本でのベンチマークの販売を現在のディストリビューターが開始したことにより状況が変わる。初対面はHiVi誌2020年の11月号の取材で、上述した4製品に加えてDAC3 HGCというDAC/ヘッドホンアンプの合計5機種を一気に試した。

 第一印象は、業務用機の流れを感じるいい意味での無骨さを持っているな、というもの。そして、何よりベンチマークの製品群が持つ、スペックや技術的な仕様に僕は強く興味をひかれた。

 例えばDAC3 BとDAC3 HGCは、ジッター起因の歪みとノイズを140dB以上も抑制し、プリアンプ/ヘッドホンアンプのHPA4は、THX社の特許技術「THX-AAAテクノロジー」を採用、さらに周波数帯域は0.01Hz~500kHz、SN比135dB、歪率0.0006%を達成している。パワーアンプのAHB2は、SN比が132dB、周波数特性が0.1Hz~200kHz、そして最大29Aものピーク電流により、1.4Ωの低インピーダンスでもフル出力レベルを担保する……といった感じで、実にハイスペック。

 実際、各製品のマニュアルは、スペック説明に多くのページを割いており、ブランドとして諸特性を重視していた。もちろん、スペックが高くてもいい音がするとは限らないのも事実である。

 しかし、これらの優れた諸特性の目的は、最終的にトランスデューサーとなるスピーカーおよびヘッドホンの能力を最大限発揮させることにあったのだ。つまり、DAC、プリアンプ、パワーアンプとも、帯域バランスに驚くほどクセがない。ソースに入っている情報をありのまま出すが、無駄な色彩感や艶は加えない。あくまでも正確無比でありつつ、ソースに含まれる音楽的な旨味はしっかり出してくれる絶妙のバランスなのだ。

 試聴では僕の所有するゼンハイザーのフラッグシップヘッドホン、HD800S(インピーダンス300Ω)を全帯域とも正確に駆動。同時に持ち込んだ純正ヘッドホンアンプHDVD800と比べると、HDVD800のわずかな音色的なクセが浮き彫りになるほどだ。

 また、スピーカー環境では、2台のDACとAHB2を組み合わせ、HiVi誌視聴室のリファレンススピーカー、モニターオーディオPL300Ⅱを駆動させたが、全帯域の分解能が高く、低域のダンピングも秀逸だ。

 ベンチマークの音に感銘を受けた僕は、輸入元に依頼して自宅2FのリスニングルームにAHB2を持ち込むことにした。なぜなら駆動させたいスピーカーがあったからだ。それがカナダ・パラダイム社のフラッグシップ2ウェイスピーカーPersona(ペルソナ)Bである。実は本スピーカーを1ヵ月ほど借りてテストしていたのだが、自分の所有する複数のアンプを使っても、全帯域のスピードが合わず、特に低域の制動に苦労していた。

 そこでAHB2をブリッジモードで2台使い、ネットワークプレーヤーのルーミンX1と直結させた。結果は驚嘆するレベルで、フラットな帯域バランスで低域が鋭く、さらにベリリウムトゥイーターの表現がまるで変わった。「トゥイーターが100%制動されている」という経験は初めてのことだった。この組合せでは、自宅の2F部屋史上でもっともっとい音が出せたと思う。

 ベンチマーク製品は「正確な再現性の先に見えるであろう、今まで聴いたことのないような音」を実現させるマスターピースとなる可能性を持つ。電源ケーブルやラインケーブルの音色もよくわかるなど、音質を探求したい場合、これだけ頼りになる製品は少ない。この2点がベストバイを席巻した最大の理由だと思う。

画像: DAC3 B(上)とDAC3 HGC(下)のリアパネル。DAC3 Bにアナログ音声入力が追加され、プリアンプとしての機能拡張したものがDAC3 HGCと言える。リファンレスプリアンプとしてはLA4、HPA4があるものの、DAC3 HGCでプリアンプを兼ねるという使い方も可能だ

DAC3 B(上)とDAC3 HGC(下)のリアパネル。DAC3 Bにアナログ音声入力が追加され、プリアンプとしての機能拡張したものがDAC3 HGCと言える。リファンレスプリアンプとしてはLA4、HPA4があるものの、DAC3 HGCでプリアンプを兼ねるという使い方も可能だ

本記事の掲載号はHiVi12月号

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