弊社では、米ウェスタン・エレクトリック(WE)社が開発したスピーカー(同社ではレシーヴァーと呼称)やアンプ、真空管などについて詳しく解説した豪華上製本『WESTERN ELECTRIC SOUND』(本編と資料編の2冊1組、税別定価7万円)を、2005年に発売しました。

 この書籍はかなり高価だったにも関わらず、1年を待たずに完売してしまい、いまでも時折、問合せがあるなど、いまさらながらWEのオーディオ機器に対する注目度の高さ、WEエンスージァストたちの情熱の深さには驚かされるばかりです。

 しかも、この書籍の復刻を望む声が徐々に増えてきたことから、改めて見積りを取ったところ、当時の製本材料や用紙等の入手が現在ではきわめて困難なことなどもあり、見積り額が当時の数倍になってしまったことから、復刻を断念していました。

 しかしながら、オリジナル版の30×30cmという変形サイズの判型をB5判サイズの雑誌形態とし、しかもスピーカー篇、アンプ篇、真空管篇などカテゴリー別に分冊化すれば、可能な限りコストを抑えた形でご提供できるのではないかと考え、発売に漕ぎつけたのが、今回お届けする『Western Electric Sound―Part-1[スピーカー篇]』というわけです。

 また、本のサイズが異なることから、レイアウトを全面的に変更しました。加えて、「555」や「594-A」など、当時、独自に撮影したWEの代表的スピーカーユニットやホーンの写真のほぼすべてを、きれいなカラー印刷(オリジナル版はモノクロ2色印刷)としました(図版や流用写真等は1色ですが)。

画像: 555 Receiver

555 Receiver

画像: 594-A Receiver

594-A Receiver

「ウェスタン・エレクトリック」社とは?

 キャッチコピー的に言えば、今日の情報化時代を拓いた先駆者であり、映画や音楽を気軽に楽しめる社会――その礎を築いたメーカー――それが「ウェスタン・エレクトリック」社です。

 「ウェスタン・エレクトリック(WE)」は、正式発足が1882年という、実に永い歴史を誇るメーカーです。そのルーツは、アレキサンダー・グラハム・ベルによる電話機の発明ですが、その電話の普及に伴って業績を拡大し、やがて世界有数の電信・電話会社AT&Tへと発展します(つまり、今日の情報化時代を拓いた先駆者といえるでしょう)。

 一方で、多種多彩な研究を行なう「ベル・テレフォン・ラボラトリー」と、その製造部門を担うウェスタン・エレクトリックを併設し、今日につながる多大な業績を残してきました。

 その業績の一端を列記すると、① 真空管の実用化と各種アンプ回路の開発、② コンデンサーマイクの発明、③ ディスク・レコードのマイク使用による「電気録音法」の開発(これ以前はラッパ吹込み)、④ トーキー映画システムの開発(これ以前は無声映画)と高音質の徹底追求、⑤ ムーヴィング・コイル(ダイナミック)型スピーカーの実用化(これ以前はもっと単純な方式)、⑥ 信号の2進数符号化(デジタル化)理論の発表、⑦ トランジスターの発明、⑧ ステレオLPレコードの開発、など、すべてが今日の映画や音楽/オーディオの世界の根底に脈々と流れている音響理論およびテクノロジーです。

 こうした卓越した理論や技術に加え、弛まぬ研究・実験の積み重ねの末に、WEは傑出した製品を次々と生み出してきました。

 その初期の製品は、開発以来すでに約100年が経過していますが、それに完璧な修復を施し、念入りに調整すれば、現在でも他では得られない素晴らしいサウンドを聴かせてくれる逸品ぞろいです。

 つまり、今日の映画や音楽/オーディオの世界を築き上げたルーツであり、常にその最高峰に君臨し続けた類稀(たぐいまれ)なるメーカー――それがWEなのです。

画像: 540-AW /560-AW Receiver

540-AW /560-AW Receiver

 

[Part-1 スピーカー篇]の記事内容

 このパート1「スピーカー篇」は、別掲の「主な記事内容(目次)」の通り、佐々木秀孝氏(『カルメン故郷に帰る』『晩春』などの映画の録音技師。WE研究者)のエッセイ「映画の音」や、長島達夫/山中敬三両氏の対談「ウェスタン・エレクトリック・サウンドの秘密」をはじめ、本書のメインとなるWE銘器撰(新 忠篤氏執筆)で構成されています。

 このWE銘器撰では、世界初の業務用ムーヴィング・コイル型ドライバーユニット「555」(世界初のトーキー映画で実際に使われ、その後、長期間、全米各地の映画館で継続使用。日本全国の主要映画館でも使用実績あり)をはじめ、大口径振動板採用の「594A」コンプレッションドライバー、その前身の「D98634」ドライバー、ボストウィック型トゥイーターの「596A/597A」など、WEの代表的スピーカーユニットについて、多彩なアングルからのカラー写真や説明図・特許図などを用いて、詳細に解説しています。

 また先述の「555」や「594A」用の各種ホーンや、「TA4151A」「TA4181A」ウーファー用バッフル、主要なモニターシステムやデヴァイディング・ネットワークなどについても、写真付きで紹介するなど、まさに「オーディオマニア垂涎の書」といえる内容です。

画像: TA-4151-A Receiver

TA-4151-A Receiver

画像: TA-4181-A Receiver

TA-4181-A Receiver

■巻末に「555」「TA-4151 & TA-4153 Types」「596 & 597 Types」レシーヴァーのオリジナル(Electrical Research Products Inc.発行)資料を掲載。

 

主な記事内容(目次)

映画の音――佐々木秀孝

画像1: 主な記事内容(目次)

ウェスタン・エレクトリック・サウンドの秘密
 対談 山中敬三/長島達夫

画像2: 主な記事内容(目次)

ウェスタン・エレクトリック 銘器撰
 新 忠篤

Receiver レシーヴァー
 555, 594-A, D-98634, 596-A/597-A, 713-C, Altec-Lansing 287, Altec-Lansing 288, Westrex T-530-A, Western Electric London 2090-A, 540-AW/560-AW, TA-4151-A, TA-4181-A, 728-B, 750-A, 754-A/B, 755A, Altec-Lansing 415, Altec-Lansing 515, Westrex T-510-A, Western Electric London 2080-A

画像1: 555

555

画像: 594-A

594-A

画像: 540-AW/560-AW

540-AW/560-AW

画像: TA-4151-A

TA-4151-A

画像: TA-4181-A

TA-4181-A

Horn ホーン
 17-A/15-A, 12-A, 13-A, 16-A, 22-A, 3-A, TA-7322, 6-A/11-A/14-A, 25-A, KS-6368, KS-6373, 26-A, 24-A, 31-A/32-A, KS-12024/KS-12025/KS-12027

Baffle バッフル
 ASO-3891, ASO-6341, ASO-3863, 5-A System, ASO-6435, ASO-6436, ASO-6459, TA-7098, TA-7331, #6 Type System, TA-7331-A, Wide Range Systems, TA-7397, TA-7396, TA-7401, TA-7395, L-5/L-8/L-9/L-12, 18-W-5/18-W-8, Altec-Lansing A-1-X/A-7, Westrex T-520-B/T-521-A, Western Electric London 2082-A, 2084-C/D, 2084-E, 2085-A, 2309-A, 2081-A

Monitor System モニタースピーカー
 TA-7388, 753-C/751-B, 757-A

Network ネットワーク
 TA-7257, TA-7284, TA-7297/7297-A, TA-7332, TA-7375-A, TA-7376-A, TA-7354-A, TA-7444-A/TA-7473

Current Supply/Power Unit/Rectifier パワーサプライ/レクティファイアー
 5-A/A-5-A, TA-4035, TA-4144-A, 12-A, 20-A

●Electrical Research Products Inc.
Equipment Bulletin
Receiver
・555
・TA-4151 & TA-4153 Types
・596 & 597 Types

画像2: 555

555

 

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