三菱電機は昨日、同社の液晶テレビ事業を縮小すると発表した。これは、市場環境やニーズの急激な変化に伴い、製品競争力の維持が困難な状況となったための判断とのことだ。

 三菱電機といえば、1985年に世界初の37インチブラウン管テレビ「37C960」を送り出し、大画面の最先端を走っていたブランドだ。さらに1987年に登場した「29C-CZ1」「37C-CZ1」に始まる「CZ」シリーズが大きな注目を集め、オーディオビジュアル界に一大ブームを巻き起こした。特に1989年発売の「29C-CZ3」は、“憧れの大画面テレビ” として一世を風靡した。

画像1: 三菱電機が、液晶テレビ事業の見直しを発表。経営資源を空調冷熱システム事業やその他の家庭電器事業などへシフトし、さらなる成長・発展を目指す

 さらにCZシリーズは、テレビとして自然な色、正しい色を実現するために色(クロマ)信号の復調回路にIQ復調を搭載するなど、様々な新提案も盛り込んでいたのも特長だった。当時は、こうした高品質のためのアプローチに心をわくわくさせたオーディオビジュアルファンも多かったことだろう。

 その後のフラットテレビ時代にも、ブルーレイレコーダー内蔵機やレーザー光源を採用した液晶テレビなど、持てる技術を活かした提案を行い、独自の世界を展開していたことも記憶に新しい。だが今回、そんな由緒あるブランドもひとつの区切りを迎えたことになる。

画像2: 三菱電機が、液晶テレビ事業の見直しを発表。経営資源を空調冷熱システム事業やその他の家庭電器事業などへシフトし、さらなる成長・発展を目指す

 同社テレビの家電量販店向けなどの出荷は2021年9月に終了しており、地域家電店「三菱電機ストア」向けの自社ブランド品の出荷は2024 年3 月まで継続するが、それ以降の方向性は今後検討中だそうだ。

 今後は、液晶テレビ事業に係わる経営資源を重点成長事業である空調冷熱システム事業やその他の家庭電器事業などへシフトし、さらなる成長・発展を目指していく。液晶テレビ事業を担当している京都製作所については、最適な組織への改編等を検討している段階とのことだ。

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