シャープでは、明日(10月19日)から22日までオンライン開催される「CEATEC 2021 ONLINE」に出展する。それに先立って、出展する商品やサービスについてのマスコミ向け内覧会が開催された。

 同社では「8K+5Gエコシステム」や、それらを活かして家電を連動させる「IoT」をキーワードにした提案を行ってきている。今回の「CEATEC 2021 ONLINE」でも8Kや液晶技術を活かしつつ、さらにウィズコロナ時代を見据えた展示が多く並んでいた。以下でその様子を紹介したい。

「mini LED 次世代ディスプレイ」

画像: 「mini LED 次世代ディスプレイ」

 オーディオビジュアルファン向けの提案として一番の注目は「miniLED 次世代ディスプレイ」だ。この技術については麻倉怜士さんの連載「いいもの研究所」でもリポートし、多くのアクセスをいただいた。

 バックライトに従来よりも小さなサイズのLEDを敷き詰め、さらにそれらを細かいエリアで部分制御することで、液晶テレビのコントラスト再現性を格段に向上させるという提案だ。さらにバックライトと液晶パネルの間隔を近づけることで、漏れ光の改善や本体の薄型化が可能になるといったメリットもある。

画像: ベゼル幅が狭くなっているのも特徴。現行モデル(右)に比べても半分ほどで1cmを切っている

ベゼル幅が狭くなっているのも特徴。現行モデル(右)に比べても半分ほどで1cmを切っている

 今回展示されていたのは、その取材時に拝見したセットと同じだそうだが、バックライト制御用のアルゴリズム等は改善が進められているとのことだ。表示されている映像も透明感に優れ、色の再現がとても鮮明だ。

 分割駆動を採用した液晶テレビの画質は、バックライトの明るさと液晶パネルの制御の合わせ技に追うところが大きい。mini LEDバックライトでもそれは同様で、さらに分割数が増えることで重要性はさらに増すことになる。シャープではこれまで培ってきた映像解析やパネル駆動のノウハウを活かし、さらに画質を追い込んでいくという。

 さらに、mini LEDバックライト技術を搭載した製品版も開発中とのことで、遠くない時期に読者諸氏もこの映像を体験できるかもしれない。その際にはぜひ8K解像度で登場してもらいたい。

「透明ディスプレイパーティション」

画像: 「透明ディスプレイパーティション」

 透明液晶パネルを使った、今の時代らしい提案も行われている。シャープでは2019年のCEATECで90インチのシースルーディスプレイを展示しており、当時は2K解像度でサイネージ用として提案を行っていた。

 「透明ディスプレイパーティション」は、昨年のCEATEC ONLINEで提案された技術で、今回、広島のタテイシ広美社と共同で来年4月からグローバルで販売されることも発表された。透過率の高いノーマリーホワイトの液晶パネルを使い、アクリル板のパーティションのように置いてディスプレイ上に情報を表示したり、人がいない時は様々な映像を写しだすこともできる。

「静電ホバータッチディスプレイ」

画像: 「静電ホバータッチディスプレイ」

 同じくウィズコロナ時代の提案として、「静電ホバータッチディスプレイ」も面白い。これは液晶パネルに触れずに操作ができるというもので、画面上のボタンに指などを近づけるとそれを検知して反応する。5cm前後まで近づければいいので、接触を気にする方も安心できるはず。

 過去にはフレームに赤外線センサー等を配置して離れた位置での操作に反応するという製品もあったが、今回のモデルはパネルの静電感度を高めることで離れた場所からの操作に対応したとのことだ。縦置き、横置きのどちらでも使えるので、店頭でのメニューや街頭地図など様々な応用が期待される。ちなみに消費電力も従来のパネルとさほど変わらないとのこと。

「32型8Kカラーマネジメントディスプレイ 8M-B32C1」

画像: 「32型8Kカラーマネジメントディスプレイ 8M-B32C1」

 8M-B32C1は、32型8Kモニターとして発売中のモデルで、今回はDynabookの8K映像編集システムとのセットで展示が行われていた。

 約3,300万画素の情報量と約10億の色再現力を備えたモデルで、HDR/HLG信号の再生も可能。プロユースからハイアマチュアまで幅広い用途で活用できるだろう。8K信号はHDMIケーブル1本で接続可能なHDMI1入力と、HDMIケーブル4本を使うHDMI2入力の2系統を装備。4K信号まで入力可能なHDMI入力3とDisplayPortも搭載する。お値段は200万円前後とのこと。

「120型8Kディスプレイ8M-B120C」

画像: 「120型8Kディスプレイ8M-B120C」

 世界最大(2021年8月時点)サイズの8Kディスプレイ「8M-B120C」も展示。昨年9月に発売されたモデルで、東京・新橋の奈良まほろば館でサイネージ用として導入されるほか、個人で購入した方もいるそうだ。8K/60p信号が再生可能で、HDMIケーブル1本での8K信号入力にも対応する。市場想定価格は1,450万円とか。

「メディカルリスニングプラグ MH-L1-B」

画像: 「メディカルリスニングプラグ MH-L1-B」

 完全ワイヤレスイヤホン型の補聴器「MH-L1-B」もユニークな提案だ。外観はオーディオ用として販売されている完全ワイヤレスイヤホンと同様で、左右の耳に装着して使う。

 さらに特長的なのは、MH-L1-Bとスマホアプリを組み合わせることで、通常は店頭で行う補聴器のチューニングをオンラインでできることだろう。スマホを通じて試聴チェックの結果が転送され、それを観たプロのスタッフがユーザーに応じたチューニングを提案してくれるという。

 補聴器の場合、ユーザーに適した聴きやすい音であることは極めて重要。それがお店に足をはこばなくても実現出来るのは喜ばれるだろう。なおMH-L1-Bは通常の音楽試聴用としても使用可能だ。

「COCORO ENERGY」

画像: 「COCORO ENERGY」

 太陽光発電も重要な技術だ。シャープではAIを活用したクラウドHEMSサービス「COCORO ENERGY」を通して様々な提案を行っていくという。これは、住宅用太陽光発電システムや蓄電池を自動的に制御し、発電した電気を効率よく消費する提案となる。

 またB to Bでは初期投資ゼロの太陽光発電システム導入という提案も行う。大規模商業施設などに太陽光発電設備を設置し、発電した電気を設置した施設が安価で使えるというもの。発電設備はシャープが設置・運営するので、施設側の負担はない。SDGsが叫ばれる中、今後注目される取り組みになることだろう。

「スマートメインテナンス/管路検査ソリューション」

画像1: 「スマートメインテナンス/管路検査ソリューション」

 シャープは8Kを活用したメインテナンス、検査ソリューションにも取り組んでいる。具体的には8K映像を使った情報解析技術で、離れた場所からドローンなどで撮影した映像を使い、橋などの建築物のクラック(ヒビ)等をチェックするというものだ。8Kカメラを使うことでこれまでよりも詳細に、かつ離れた位置からの撮影ができるのもメリット。

 また下水道管の中を自走するツールに8Kカメラを搭載し、その映像から管が痛んでいる場所などを解析する技術も開発されている。従来は光ファイバーの先端につけたカメラが使われることもあったが、これであればより鮮明で明るい映像が撮影できるわけで、解析の精度もあがることだろう。

画像2: 「スマートメインテナンス/管路検査ソリューション」

This article is a sponsored article by
''.